最新更新日:2024/06/19
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6月になりました。報道によると、今年の夏は観測史上最も暑いそうです。梅雨の時期とも重なり、蒸し暑い時期を過ごすことになります。6月は学校安全月間でもあります。事故、けがを防止するとともに熱中症に気をつけながら学校生活を送りましょう。

全校集会をしました!(2)

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続いて、保護司の近藤さんからお話を伺いました。少し長くなりますが、とても深いお話でしたので、全文を紹介させて頂きます。

こんにちは。保護司の近藤です。
六中でお話しするのも今回で4年目となりました。
初めての生徒さんもいるので、保護司って何する人か簡単にお話しします。
保護司という仕事は、窃盗事件や覚せい剤で逮捕され刑務所から出てきた人や、事件を起こした少年が、再び社会や学校に戻り、また悪いことをしないように手助けしたりアドバイスをしています。
今日は、昨年の“社会を明るくする運動”作文コンテストで最優秀法務大臣賞を取った長野県の小学生の作文を読みます。
話を聞いて、皆さんも「どうしたらいい社会になるのか?」そんなことを考えるきっかけになって欲しいと思います。

最優秀賞 法務大臣賞 小学生の部
気付いたこと −心に寄りそえる人に− 長野県・金井 みのり

ある日、毎週私が上ばき洗いに使っている石けんがなくなった。母に連れられて買いに行った場所に私は目を見張った。そこは高い塀に囲まれた 少年刑務所の隣だったからだ。
「ここは受刑者の人達が作った製品を売っている所だよ。」
驚いている私に、母はこう教えてくれた。店内にはいつもの石けんの他に、陶器や彫刻、靴や大型家具までが並べられていた。その中のくりくりの可愛い目をしたふくろうの置き物を見ながら私は、「罪を犯した人がこんな 素敵な作品を作れるなんて……。」と、信じられなかった。
犯罪者とは、「心のない凶悪な性格の人」と思いこんでいたからだ。そこで、思い切って優しそうな女性刑務官にたずねてみると、快くお話してくださった。
受刑者の人達は、このような品物を作るうちに心が落ち着いてくるそうだ。ということは、もとは善良な心の持ち主だったのかもしれない。そう考えた私は、なぜ彼らは罪を犯してしまったのか質問した。すると、
「受刑者たちは皆、『お母さんに自分の方を向いてほしかったから。』と言います。」 と教えてくれた。その答えに疑問を感じ、
「なぜ悪いことをするのですか。良いことをすればほめてもらえるのに。」 とさらに聞いてみると、驚く答えが返ってきた。
「普通はそう考えますね。でも彼らのお母さんは、子供が良いことをしてもほめてはくれなかったそうです。『手がかからなくていいわ。』と放っておくのでしょう。お母さんが子供の方を見てくれるのはいたずらをした時でした。お母さん自身が困るので子供を叱ります。だから子供は自分を見てもらうために、万引きや暴力など悪いことをするしかなかった。叱られるのが嬉しかったそうですよ。」
この答えは衝撃的だった。叱られることが嬉しいなんて……。私の犯罪者に対するイメージが変わった。犯罪者は幼いころからかんしゃく持ちで凶暴な性格で、善悪の判断がつかないから罪を犯すと思っていた。けれど本当は違った。普通の子がさみしい思いをして、ただお母さんの関心を引きたくて考えた行動が、罪を犯すことだったのだ。私は、その時初めて受刑者の人達をかわいそうに思った。そんな自分勝手な母親のもとで育ち、ずっと心に不安を抱えて生きてきたのかもしれない。
ふと、以前学んだ作文の課題を思い出した。「自分だけの辞書を作るつもりで、『安心』という言葉を説明しましょう。」そこに私は、「心配事や悩みがないおだやかな心の状態。信頼できる家族や友達がいつでもそばにいるような気持ち。」と書いたのだ。
私にとっては当たり前で、自然に出てきた言葉だった。しかし、この環境こそが子供が犯罪者にならないために必要なのではないか。いつも自分を気にかけてくれる人がいる。心の底にその安心感があれば、周りのことを考える余裕ができる。勉強やお手伝いを「やろう。」という意欲が出る。その成果が出れば、自信を持てる。 次もがんばろうと思える。このような良いサイクルの中にいれば、悪いことなど考えないはずだ。だから、子供達が犯罪や非行に 走らないためには 『安心できる環境』が必要だ。
学校でいじめをする子も、もしかしたら家族や友達とうまくいかなくて心がもやもやしているのかもしれない。以前、いじめを受けた子の力になりたくて一緒に先生に訴えに行ったことがある。いじめた子は先生に注意され反省したようだったが、それからもいじめをくり返した。
今思うと、いじめを止めさせる方法は注意してもらうことではなかった。その子だっていじめは悪いことだと分かっているはずだ。きっと心が不安定な状態だったからいじめてしまったのだろう。だから少しでもその心に寄りそって、その気持ちを理解しようとしなければいけなかったのではないだろうか。 先生に頼るのではなく、クラスのみんなや私だからこそできることがある。 例えば、クラス全員の良い所をお互い発表し認め合ったり、お弁当の日には一人ぼっちでいる子を誘っておしゃべりしながら食べたり。家庭の問題は解決できないけれど、せめて学校にいる間だけでも『安心』して楽しく過ごせるように、私たち一人一人ができることを考えていきたい。私は刑務官の方に会ってそう思うようになった。

以上です。
短い作文でしたが、大人も考えさせられる内容でした。
少し私なりにまとめてみました。
世の中には「自分」がいて、周りに「家族」や「友だち」、「学校」、「世間」などがあります。
この中でみんな生きています。
この「自分」が、もし「いじめられた」、「どうしたらいいのかわからない」と悩み、「不安」になることがあります。
そして「自分のことを知って欲しい」「振り向いて欲しい」「注目して欲しい」「話して欲しい」「声をかけて欲しい」「認めて欲しい」「不安を分かって欲しい」など話したり行動したりするかもしれません。
そこで「家族」や「友だち」が相談に乗って話してくれればいいのですが、もし相手にしなかったら、無視されたらどうなるでしょうか。
例えば「A君」なら、振り向いてもらうためにアピールするでしょう。
そのアピールは、暴力であったり、いじめであったり、ウソをついたり、虚勢を張ったり、事件や犯罪を起こすかもしれません。
あるいは「B君」なら、引きこもったり、周りを無視したり、気の合うグループに入ったり、家出をするかもしれません。
どんどん「A君」や「B君」は、「家族」や「友だち」、「学校」、「世間」から離れていき、更にエスカレートするかもしれません。
どうしたら彼らは、元に戻ることができるのでしょうか?
作文の中にヒントがありました。
「きっと心が不安定な状態だったからいじめてしまったのだろう。だから少しでもその心に寄りそって、その気持ちを理解しようとしなければいけなかったのではないだろうか。」
いじめや犯罪をなくして、明るい社会を作るヒントの一つが、「家族」や「友だち」、「学校」、「世間」が、彼らを認め、話し、いい関係を作ることだと思います。
その彼らがやったことを周りが責めたり、無視したりしても問題の解決にはならないことを分かってください。
もうすぐ夏休みです。皆さんも一度立ち止まって「自分」を見つめ直し、家族や周りの友だちのことを思う時間をつくってみてください。
今日のお話が、何かを考えるいいきっかけになればうれしいです。

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