式　　辞

（略）
　頼もしい卒業生の皆さんに、はなむけの言葉として「継続は力なり」という言葉を贈ります。
　みなさんは、この２月に開催した、元バレーボールＶプレミアリーグの監督、元全日本女子バレーボールコーチ、安原貴之さんの「夢の教室」を覚えているでしょうか。卓球、野球の選手だった安原さんが、高校入学後、ある友人の誘いを受け、思ってもいなかったバレー部に入部してから、３０年余り、バレー一筋に人生をかけてきたお話でした。その中で、２００６年　名古屋で開催された女子バレー世界選手権大会の時、安原さんは、対戦相手チームの左利きのエースのモデルとなって練習を助けてくれないか、と頼まれ、引き受けました。そして、その功績が認められ、翌年　２００７年から、正式に全日本女子バレーのコーチとして要請を受けたのです。安原さんは、タイミングを逃さず「ハイ、行きます！」と答え、大きなチャンスをつかむことができました。これは、安原さんが、常に努力を継続しているという自信と根拠があったからなのです。

（中略）
　今、日本は、いや世界は、先の見えない漠然とした不安の中にいます。国内外の各種イベントが中止され、施設も休館に追い込まれ、みなさんの学校も臨時休校となり、外で満足に遊べない状況です。日本国内だけでなく、世界経済全体にも深刻な影響が及んでいます。しかし、人とウイルスの関係を紐解くと、それは共生と闘いの歴史であり、克服の歴史です。そうした、困難で漠然とした不安の今だからこそ、困っている時に、仲間同士が理解し合い、助け合い、知恵を出し合ってほしいのです。不安を克服し、新しい希望を作っていくのは、まぎれもなく、人間の叡智であり、人間の行動なのです。あなたたちの知恵、あなたたちのあるべき行動が、今後の日本を、そして世界を動かしていくのです。

（中略）
　卒業生の皆さん、いよいよ　お別れの時が近づいてきてしまいました。名残は尽きることはありませんが、大切な、大切なあなたたちの幸せを願う、全ての人達の気持ちを束にして、この言葉を贈ります。
　「命を大切に　命を輝かせて」力強く生きていってほしい。皆さんの輝かしい未来に、幸多からんことを　心からお祈り申し上げ、式辞と致します。

令和２年３月１９日
一宮市立富士小学校長　渡邊博司