入学式で式辞を考える

昨日は、中学校の入学式に来賓として参加しました。

着なれない制服姿が初々しい子どもたちの姿と先日の卒業式の子どもたちの姿が重なります。3年後にはあのような立派な姿に成長するのだと思うと、子どもたちの3年間がいかに大切なものかよくわかります。子どもたちの成長にわずかでもかかわれることの幸せを感じました。

新任校長の式辞も、子どもたちと同じく初々しいものがありました。日ごろとはちょっと違う緊張した姿に、校長としての意気込みを感じました。失礼ながら、式辞のときは子どもたちの話を聞く姿を観察することが常で、その内容や言葉が強く記憶に残ることは少ないのですが、今年は「涙をたくさん流せるような生活をしてください」という言葉がしっかりと残りました。「うれし涙」「感動の涙」「悔し涙」をたくさん流せるように、一生懸命中学生活を送ってほしいとの願いです。私の耳にも残ったのですから、きっと子どもの心にも残っているはずです。教室で新しい担任はこの言葉を子どもたちにもう一度問いかけてくれたでしょうか。子どもたちに、たくさんの「心の涙」を流して成長してほしいと思いました。

自宅に戻って、何人かの校長の式辞を読ませていただきました。HPに式辞を載せる学校が増えたので、こういったこともできるようになりました。原稿にすると短い式辞でも、伝えたいことがシャープであると、きっと子どもたちの心に残ると感じました。校長として言いたいこと、伝えたいことがたくさんあります。しかし、伝わらなくては意味がありません。話が終わった後に何が子どもたちに残っているかです。短い式辞の校長は、きっとそのことを意識されたのでしょう。

式辞のメインは子どもたちに向けての話ですが、担任はそれをどのように聞いているのでしょうか。式典をただの通過儀礼にしてしまうと、静かにしていればよいという表面を取り繕う子どもになってしまいます。式後の学級で、子どもに「校長先生の話はどうだった」「どんな言葉が残っている」と問いかけてほしいのです。人の話から何を学んだか、何を学べたのか、子どもに意識させてほしいと思います。担任がこのようにすることで、校長の式辞もより洗練されていくと思います。式辞を形式的なものではなく、子どもたちの成長につながるものにするのは、式辞を述べる校長だけでなく、担任の働きも大切なのです。
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