新年度のスタートの様子を見る

10連休の前に中学校を訪問してきました。今年度のスタートの様子を見せていただくためでした。

3年生は昨年度からの状況が大きく変わっていませんでした。一見すると落ち着いてよい状況に見えるのですが、子どもたちは非常に消費者的です。自分にとって都合のよいことを優先します。教科や授業者によって態度が変わることもよく目にします。
例えば、授業者が手を止めて顔を上げるように指示をすれば従います。しかし、説明を始めると板書を写すことを優先し、写し終れば顔を上げます。まわりと相談するように指示すると、授業に関係したことを相談しますが、隙間を縫って雑談をしたりします。授業者が注意をしても言い訳ができる状況を上手につくります。この先生はどこまでなら注意をしないかを少しずつ試しながら、授業者に応じて自分たちに都合のよい状況を作っているようです。ある意味、非常に賢い子どもたちです。また、彼らとかかわらずマイペースの子どももいます。この状況を変えようとはせず自分の領域を守る、これもある意味消費者的な態度と言えます。人とかかわりながら互いに学び、高め合うということのよさを子どもたちは感じていないようです。
実際に様子を見るまでは、3年生なので受験を意識して、例え個人主義的であってももっと授業に集中しているかとも思ったのですが、それ程ではありませんでした。いろいろな意味で自分たちのペースで緩く生活をしているように見えました。表面的にはここがいけないと子どもたちに注意しづらい状況でした。
進路意識を持たせて自分たちにとって何が大切なのかを考えさせるような働きかけが必要だと思いますが、目先の進学を意識させると、それこそ試験や内申ばかりに目が行ってより消費者的になってしまう危険性を感じます。10年先、20年先の未来を見つめて、自分たちが何を学びどのような力をつける必要があるのかを考えさせることが大切でしょう。授業でも結果ではなく見方・考え方を大切にし、そのことを意図的に価値づけるようにしたり、子どもたちがかかわり合えたことを評価したりすること意識してほしいと思います。

2年生は昨年度末と雰囲気が大きく変わっていました。1年生の後半になると、学力的に苦しい子どもが授業のやり過ごし方を身につけ、学習から逃げている姿がどの学級でも見られるようになっていました。しかし、2年生になって学級も変わり、そんな子どもたちの姿が見られなくなっていました。新学年になって気持ちがうまくリセットされたのでしょう。よいことですが、これで問題が解消されたわけではありません。これを機会に彼らの学習に対する参加意欲を維持しより高めていかなくてはなりません。参加しようとしている姿を認め、ほめ、友だちとつないで関係を作り、子どもたちが手ごたえを感じるような結果を出させることが大切です。最初の定期試験までに何らかの結果を出せなければ、また元に戻ってしまう可能性があります。試験の順位で追うのではなく、まず何をできるようにする、この内容は確実に点数につなげるといった目標を与え、そのために何をすればよいのかを明確に伝えることが大切です。
全体的な雰囲気は、よくも悪くも2年生でした。リラックスして学校生活を送れているように感じる一方で、目標がはっきりとせずに流されているようにも見えます。学年全体で目標を共有して、それを意識した学級経営を行ってほしいと思いまいた。

1年生はとてもよい雰囲気でした。意欲やエネルギーを感じます。ただ、小学校の時のよい状態がそのまま中学校に引き継がれているだけのようにも思えます。授業の振り返りなどはしっかりと書けていますし、積極的に挙手する子どももたくさんいます。リーダーシップを取れそうな子どもも目に付きます。しかし、これらの姿は中学校で先生方が意識して育てた結果ではありません。よい点を強化したり、伸ばしたりすることが必要です。小学校で身に付けたよい行動をほめ、中学校ではもっと上に行こうと次の目標を与えることを意識してほしいと思います。よいつぼみをつけている花でも、水やりや肥料を怠れば枯れてしまったり、小さな花しか咲かなかったりします。評価しなければよい習慣も次第に消えてしまいます。小学生のようなエネルギーの高さはテンションが上がりすぎる状況につながっています。ここをきちんとコントロールしなければ、深く考える姿勢は育ちません。
よい子どもたちが入学してきたと気を緩めていると、入学した時はあんなによかったのになんか変だなという状態になってしまいます。そんなことにならないためにも、子どもたちをどう伸ばすかを学年全体できちんと共有してほしいと思います。

全体に対してこの日子どもたちの様子を見て感じたことをお伝えしました。
共通して気になったこととして、子どもたちが先生の方を向いて発言し、聞いている子どもも発言者を見ずに先生の方を向いていることがありました。発言を子どもたちに評価させずにすべて先生が受け止め評価しているからです。友だちの話を聞くことを価値付けし、発言者には友だちに認められるよさを感じさせてほしいと思います。
また、グループで考えを深めるためには、個人の考えを先に持たせることにこだわらないことも大切であることをお話ししました。まずグループで話し合ってから個人の考えをまとめ、それをもとに再びグループで話し合うのです。一人で考えさせると自分の考えを持てず集中力を無くしてしまうことがあります。自分の考えが持てなければグループでの話し合いには参加しづらくなります。一方、自分だけで考えて結論を持つと、その考えにこだわるあまり友だちの意見を聞くことより説得することに力を入れてしまうこともあります。どれが正解ではなく、多様なアプローチを持つようにしてほしいと思います。

全体の話の後、若手が何人か話に来てくれました。この学校に来たばかり、担任を初めて持ったばかりの少経験者が中心です。個別の相談や指摘もあったのですが、一緒に話を聞いてもらいました。うれしかったのが、他人事ではなく自分のこととして聞いてくれていたことです。仲間から学ぼうという姿勢を感じました。日常的にこうやって話をする機会を持ってくれるように強くお願いしました。互いに気軽に相談できるようになれば、強いチームとなり学校全体の力が上がっていくと思います。今後を楽しみにしたいと思います。

この時期はまず聞くことを大切にしてほしい

今週の頭、中学校の授業参観日に訪問しました。4月当初の子どもたちの様子を見せていただくためです。

どの学年も子どもたちは落ち着いていて、人間関係も良好でした。先生方も笑顔が多く、柔らかい雰囲気の教室が多く見られました。1年生と3年生は学級活動だったことも影響しているかもしれません。
全体的に気になったのは子どもたちの視線です。発言者の方を向いていない子どもが多いのです。全体の発表では、顔が上がらない、上がってもだれもいないところを見ていたり、先生や黒板の方を見ていたりして視線がバラバラです。グループでも仲間が発言している時に自分のメモを見ていて顔が上がらない子どもが目立ちます。

この時期はまず授業規律を確立することが大切です。授業規律と言っても先生の指示に従い少しも姿勢が乱れないようにするといったものではありません。授業に向かう基本的な約束事を身につけると言ってもよいかもしれません、その一番は聞くことです。先生の話はもちろん、友だちの発言を相手の目を見て受容しながら聞く姿勢を身につけさせるのです。新年度が始まってすぐに子どもたちに意識させれば、意外と簡単にできるようになるはずです。ところが、今回見せていただいた先生方は発表者の方を向いて発言を受容していますが、他の子どもたちの様子を見ている方は非常に少ないのです。また、発表者が先生に向かって発言し、友だちの方を向いていなくてもそれが当然だと思っているようにも見えます。
1年生では学年共通で授業のルールが決められていましたが、聞く姿勢に関するものが無かったのが残念です。

今ならまだ間に合いますが、このまま連休に突入してしまうとこの状況がヒドゥンカリキュラムとして定着してしまいます。この時期は、授業規律に限らず子どもたちに何を求めるのかを先生が意識し、子どもたちにどう意識させ、どう評価していくかを考えることが大切です。そのためにも先生が子どもたち一人ひとりに視線を落とすこと常に忘れないでほしいと思います。

涙が止まらなかった本

子どものための「命の授業」という本をいただきました。娘さんを小児がんで亡くされた鈴木中人さんの著書です。鈴木中人さんと娘さんのことは以前から聞き及んでいましたので、自分なりに鈴木さんの思いは理解しているつもりでした。しかし、あらためていただいた本を読んで、鈴木さんの娘さんへの思い、「いのち」への思いの深さに涙が止まらず、わかった気になっていた自分を恥ずかしく思いました。
私がこの本についていくら述べても、その思いはとても伝わるものではありません。一人でも多くの方に読んでいただけることを願います。

「授業と学び研究所(所長 玉置崇)」「いのちをバトンタッチする会(代表 鈴木中人)」の主催で、「いのちの授業」づくり実践セミナーが開かれます。鈴木中人さんと娘さんの実話をもとにした道徳の模擬授業とパネルディスカッションを通じて道徳授業の実践力を高めるものです。子どもたちに「いのち」について深く考えさせたい、「いのち」の大切さに気づかせたいとお思いの先生方に強く参加をお勧めします。

グループ活動の前に自分の考えを持たせることを考える

グループ活動に入る前に個人で考える時間を与える授業をよく目にします。自分の考えを持たないとグループ活動で意見を言えないので参加できないと考えるからです。かつて私もそのように考えていた時期がありました。
しかし、実際の授業では、課題がよく理解できなかったり、手がかりがなかったりして、途中で考える意欲をなくしてしまう子どもをよく目にします。そういう子どもはグループで「発表」や「話し合い」する場面で自分の考えを発表することができませんので、ますます参加意欲を無くしてしまいます。

では、どう考えればよいのでしょうか。
一つは自分の考えを持てるようにすることです。「どの子どもも自分の考えや意見が持てるような課題や発問にする」、「興味をもって主体的に取り組むような活動にして、参加意欲を高める」というように課題や活動を工夫することが大切になります。また、最初からグループの形にして、手詰まりになった子どもが他の子どもに相談できるようにするのもよい方法です。授業者は困っている子どもに教えるのではなく、「友だちに聞いてごらん」と子ども同士をつなぐようにするのです。子ども同士の関係ができていれば、教師が声をかけなくても自然と相談する姿を目にします。

これとは逆の発想もあります。個人の考えを持つためにグループを使うのです。課題を与えた後、まずグループで相談させます。自分の考えを主張しやすい、比較的学力の高い子どもも、すぐに自分の答を持てるわけではありませんので、「こうかな?」「○○を調べるとわかるんじゃない?」と主張ではなく相談モードになります。友だちの考えや意見を聞き合うことで考えるための足場ができます。そこで、「では、聞き合ったことをもとに自分の考えをまとめて」と個人の活動に切りかえるのです。こうすることで、例え友だちの意見をもとにしたとしても、自分の考えを持ちやすくなります。
この後は、もう一度グループにして結論を聞き合ってもよいでしょうし、全体で個人の考えを聞き合い、「どんな考えが参考になった?」「何をしたら上手くいった?」とメタ認知を働かせるような場面を作ってもよいでしょう。

どのやり方が正解というわけではありません。子どもたちの実態や学習内容に合わせて使い分ければよいのです。グループの話し合いの前には自分の考えを持たせなければいけないと思い込まずに、引出しを増やして柔軟に対応してほしいと思います。

新年度になりました

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