【蒲郡市教育委員会】「豊かな心をもち 他者と共によりよく生きる子供を育む道徳教育」授業実践

1 研究のねらい
 蒲郡市道徳部会では、「豊かな心をもち 他者と共によりよく生きる子供を育む道徳教育」をテーマに授業研究を実施しました。本年度は、道徳科と他教科との関連を図りながら道徳性を育む工夫や、子供の心に響き、「考え、議論する道徳」の指導法の工夫を中心に研究に取り組みました。
2 研究の概要と考察
 主題名を「じぶんのしごとをしっかりと」とし、「おふろそうじ」(どうとく1年光村図書)を教材にして、小学校1年生で授業実践を行いました。主人公のあきらの気持ちを考えることを通して、自分の仕事をしっかり行うよさに気付き、自分が決めた仕事をこれからも続けていこうという気持ちをもつことをねらいとしました。手だてとして、生活科の授業と関連させて道徳科の授業を実施しました。また、子供が本音で話し、道徳的価値にせまることができるように発問の工夫をしました。
 (1) 他教科と関連させた道徳科の授業
 生活科「かぞくのえがおいっぱい だいさくせん」の学習に関連させて道徳科の授業を行いました。子供たちが夏休みから継続して家庭で手伝いを行う中で、続けようか迷う場面やきちんとできず大丈夫かなと心配になる場面を授業で取り上げ、自分を見つめる場となるよう設定しました。主人公のあきらの気持ちを考えるときに、「もっと掃除をやると笑顔が増える」「ずっと続けてきた仕事を諦めたくない」と、自分たちが家庭で実践している手伝いの様子を思い浮かべた発言がありました。子供たち全員が手伝いに取り組んでいるという同じ土台で話し合いを進めることで、より深く主人公の気持ちに寄り添うことができました。
 (2) ねらいにせまるための発問の工夫
 主人公のあきらは、姉に冬の寒さの中で風呂掃除を続けられるか心配されたときに「ぼく、やるもん」と、続けることを宣言します。そのときの主人公の気持ちを考えるときに、子供たちがより自分事として話し合うことができるように「みんながあきらだったら『やる』『できない』のどちらかな」と補助発問をしました。これによって、子供たちは本音で話し合い、「家族の笑顔が続いてほしいからやる」「自分で決めた仕事だからやる」「違う仕事に変えてもそれを諦めずにやりたい」と、家族のために自分の仕事を続けていきたいという気持ちをもつことができました。
3 研究のまとめと今後の課題
 生活科の授業で実際に実践している手伝いと関連させて道徳科の授業を行うことで、子供たちがより自分事として考え、道徳的価値についての理解を深めることができました。今後も子供たちの実態を見据えた上で、豊かな心を育むための道徳教育の実践方法や手だてを考えていく必要性を感じました。(2024年1月17日)