【豊橋市教育委員会】令和5年度豊橋市授業検討会の取組

 令和5年度、豊橋市の道徳研究部では、「豊かなかかわりの中で自己を見つめ、よりよく生きる子供を育てる道徳教育」をテーマに、4つの視点『1.心に響く『道徳科』の指導法の工夫(道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方について考えを深められる「道徳科」の指導法を工夫する。)2.共に考え、主体的に自己課題に取り組むことのできる教材の活用や開発(主たる教材として教科用図書を使用することを中心としながら、児童生徒が問題意識をもって、多面的・多角的に考えたり、感動を覚えたりするような充実した教材の活用や開発をする。)、3.道徳科と他の各教科等との関連を図りながら道徳性を育む工夫(道徳科と他の各教科等との関連を図ったり、家庭や地域との連携を通したりして、道徳性を育む工夫をする。)、4.児童生徒一人一人の人間的な成長を見守り、指導の改善に生かす評価(児童生徒一人一人の人間的な成長を見守り、自己のよりよい生き方を求めていく努力を評価し、それを勇気付けるとともに、指導過程や指導方法を検証し、その改善に役立つ評価方法の工夫をする。)』をもって、道徳教育の授業実践に取り組み、授業検討会を重ねてきました。(2024年1月22日)

【知立市教育委員会】知立南中学校の取り組み

 知立市教育委員会では、令和4年度から令和5年度にかけて知立南中学校に研究を委嘱し、「多文化共生社会を生き抜く生徒の育成〜多様なルーツをもつ生徒がかかわり合う授業づくりを目指して〜」というテーマで教科を横断した研究を行っている。道徳科では、多様なルーツをもつ生徒たちの「共にかかわりあいながら、多様な考え・価値観を受け入れることで道徳的価値への理解を深め、道徳的実践意欲と判断力を養うことができる」姿を目指した実践を行った。
 2年生では、「みんなが納得する決め方を考えよう」という主題で、修学旅行のプランを立てる話し合いについて、満足度を確認し、みんなが納得できる話し合いを行うにはどうしたらいいかを考えた。多様なルーツをもつ生徒たちが主体的に授業に参加できるように、日本語の習熟度に合わせて座席を配慮したり、タブレットで教材文を翻訳しながら確認したりした。また、満足度はタブレットの円グラフで意思表示することで、生徒はルーツに関わりなくみんなの考えを視覚的に捉えることができていた。「好きな案」と「望ましい案」の違いについて考えた生徒たちからは、すぐに多数決で決めてしまうのではなく、「折衷案」が作れるとよいという意見が出た。
 振り返りでは、学びの確認だけでなく、他者の考えに触れた変化も確認し、生徒自身が自分の価値観の変容を捉えられるようにした。(2024年1月19日)

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【蒲郡市教育委員会】「豊かな心をもち 他者と共によりよく生きる子供を育む道徳教育」授業実践

1 研究のねらい
 蒲郡市道徳部会では、「豊かな心をもち 他者と共によりよく生きる子供を育む道徳教育」をテーマに授業研究を実施しました。本年度は、道徳科と他教科との関連を図りながら道徳性を育む工夫や、子供の心に響き、「考え、議論する道徳」の指導法の工夫を中心に研究に取り組みました。
2 研究の概要と考察
 主題名を「じぶんのしごとをしっかりと」とし、「おふろそうじ」(どうとく1年光村図書)を教材にして、小学校1年生で授業実践を行いました。主人公のあきらの気持ちを考えることを通して、自分の仕事をしっかり行うよさに気付き、自分が決めた仕事をこれからも続けていこうという気持ちをもつことをねらいとしました。手だてとして、生活科の授業と関連させて道徳科の授業を実施しました。また、子供が本音で話し、道徳的価値にせまることができるように発問の工夫をしました。
 (1) 他教科と関連させた道徳科の授業
 生活科「かぞくのえがおいっぱい だいさくせん」の学習に関連させて道徳科の授業を行いました。子供たちが夏休みから継続して家庭で手伝いを行う中で、続けようか迷う場面やきちんとできず大丈夫かなと心配になる場面を授業で取り上げ、自分を見つめる場となるよう設定しました。主人公のあきらの気持ちを考えるときに、「もっと掃除をやると笑顔が増える」「ずっと続けてきた仕事を諦めたくない」と、自分たちが家庭で実践している手伝いの様子を思い浮かべた発言がありました。子供たち全員が手伝いに取り組んでいるという同じ土台で話し合いを進めることで、より深く主人公の気持ちに寄り添うことができました。
 (2) ねらいにせまるための発問の工夫
 主人公のあきらは、姉に冬の寒さの中で風呂掃除を続けられるか心配されたときに「ぼく、やるもん」と、続けることを宣言します。そのときの主人公の気持ちを考えるときに、子供たちがより自分事として話し合うことができるように「みんながあきらだったら『やる』『できない』のどちらかな」と補助発問をしました。これによって、子供たちは本音で話し合い、「家族の笑顔が続いてほしいからやる」「自分で決めた仕事だからやる」「違う仕事に変えてもそれを諦めずにやりたい」と、家族のために自分の仕事を続けていきたいという気持ちをもつことができました。
3 研究のまとめと今後の課題
 生活科の授業で実際に実践している手伝いと関連させて道徳科の授業を行うことで、子供たちがより自分事として考え、道徳的価値についての理解を深めることができました。今後も子供たちの実態を見据えた上で、豊かな心を育むための道徳教育の実践方法や手だてを考えていく必要性を感じました。(2024年1月17日)