第1回は、5月11日10時〜12時です。講師は『田中博史先生』です。田中先生は算数科教育の第一人者です。算数の授業を通して、学級経営や子どもとの接し方を学びます。ふるってご参加ください。

2/14 吉永幸司先生3

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 国語科授業ということで大事にしたいのは、めあてである。めあてが具体的であると、評価ができる。勉強したことが学習成果として力になったか、振り返る時間が必要だと考えた。まとめの段階で、5分なり10分なり振り返りの時間を設けた。これで授業が引き締まった。「授業のめあてについて学習しました。こういう力がつきました。」と授業を振り返ると成果がはっきりと自覚できる。振り返りは、低学年の場合は、学習したことを振り返らせ、事実を書かせる。中学年は、学習にどのように関わったかということを書かせる。高学年では、「ここまで、わかった。」「ここまで、できた。」など成果と次の課題を書かせる。
 振り返りに着目をしたのは、学習の時間の後半を書くことでまとめたいということからだった。鉛筆事件がきっかけだった。授業が中途半端で終わった教室は、机の上が散らばっている。当然、鉛筆も筆箱からはみだしている。ある日、鉛筆が休み時間になくなった。それは、机に体が触れた影響で、鉛筆が床に落ち、落ちていた鉛筆を拾った子が「だれの?」と言えばいいのだが、黙って、近くの机の上に置く。その机の子が自分のではないのに自分の筆箱に入れる。いつの間にか、鉛筆を取ったと思われたという出来事があった。
 書く時間の確保は、授業のおしまいをしっかりすることになり、混乱は起きないという効果もある。鉛筆の持ち主は「鉛筆がなくなった」と捜す。言葉の力がない子は説明できない。いつの間にか、鉛筆を取った人というようになっていく。そうならないためには、授業のおしまいをしっかりする必要があると考えた。まとめの時間を設定し、書く活動を位置づけると、教室がひきしまり混乱がなくなり、落ち着いて書くことに集中するようになった。
 言語活動は平等に時間を確保したと思うようなったことがある。そのきっかけは、授業の初めの音読を見た時である。ある授業で、全員が立って読む。読み終わった子は着席をする。読みが遅い子は、一人になっても読む。その間、他の子は待っている状態だった。読みが遅い子が読み終わったら、すぐに次の活動が始まる。これが普通にならないようしたいと思うこともあった。書くこと、読むことでは、時間を平等にという考えかたは、大事だと思う。
 話すこと聞くことは、日常生活で鍛えるという考え方も大事である。丁寧語を使うことを日常生活で徹底して指導をすると学校がかわる。トラブルを、話し合いで解決をしようという雰囲気が生まれる。整った言葉で話しをしようとする子が増えてくる。先生の言葉が丁寧になる。先生がきちんとお手本を示して、生きる力に、希望や未来につながる言葉で、子どもに語りかけるような学学校に変わっていく。
日常の言葉に敏感になると、子どもへの話し方も変わってくる。事実と考えを区別することを教えると、考えて話す子が育ってくる。「いまの話しはどこまでは事実ですか。」「自分の考えはどこまでですか。」と問い返すだけで、話し方が変わる。「叱られた。」「注意をされた。」という言葉を「指導を受けた」とい言いかえると教える側が責任をもつようになり、教える側の気持ちが真剣になる。
少し、国語の授業とは話題がはなれるが、小学校で大事なのは、3つあると考えている。
 一つは声の大きい子を育てること。声は一生の宝である。日常的に地域では、大きいこえで「おはようございます。」と挨拶をすることでいい子だと褒められる。大きな声は、明るい声へ広がっていく。
 二つ目は書く力を育てる。一番いいのは、日記を書かせる。つまり、自分を振り返る。その子が、生きていた証になる。日付を書くから。子どもは、日記大好き。子どもの家庭での様子を知ることができる。日記が書けない子は、書かなくていいから白紙でも出させる。白紙の日記には、教師が朱書きでその子のいい所を書いてあげる。日記でコミュニケーションをとる。日記に子どものいい所を書くと、子どもは親に見せる。親は、教師が自分の子どもをしっかりみてもらっているということで、教師を信頼する
 三つ目は嫌いを作らない。小学校は全人教育を目指す。勉強を嫌いにさせない。書くことを嫌いにさせないなど、好きにさせることを目指すともに、嫌いを作らない努力が必要である
 これまでお話をしたことを、「ことばの力」育成という面でまとめると3つの側面がはっきりしてくる。「知識内容の理解」とともに「自分が豊かになっていることの自覚」、そして、「考える力」である。細かくは、考える、気づく、行動するという側面から授業を見ていくと新しい授業が見えてくる。
 特に、「考える力」は想像する力。考える力は選ぶ、判断をするという活動が原点である。相手にどうのように伝えれば、事実が伝わるかと考えさせる。見たり聞いたりしたことを具体的に説明させることも考える力である。
「気づく力」は感じる力。問題場面に出会ったとき、問題をどう感じ、どのように解決をしていくかという力。自分の考えが正しいと思っていたけれど、こういう考え方があるのかと思考の中心を柔軟に変える力である。
「行動する力」言葉を選び、行動をする。行動は具体的な活動と結びつく。読む、線を引く、図に書くことから新しい考えが生まれる。行動は意思決定。
 わたしの出会った子どもには、4つのまとまりがあった。1「自分から進んでなんでもできる子」、2「自分の力で課題や問題を乗り越える力持っている子」、3「条件が整うと意欲が盛り上がる子」、4「丁寧に指導を受けることを求めている子」である。
 教室にいる様々な子、一人一人が生きる授業づくりは難しいが、国語力の育成をキーワードにすると光りが見えてくる。授業を変えると子どもが変わる。子どもが変わると学校、学級が変わる。言葉の力は生きる力である。

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