【豊川市立小坂井中学校】道徳科の授業実践「本当の友情とは」

 本年度より、中学校で道徳の教科化がスタートしました。本校でも、教科化にあたり「考え、議論する道徳」を大切にして授業を行っています。
 本校の2年生は、「みんなでとんだ!」の教材を通して、「本当の友情とは何か」を考える授業を行いました。運動をすることが極度に苦手な生徒(矢部ちゃん)に対し、「長縄大会の本番で一緒に跳ぶか、応援してもらうのか」を考える学級会の場面を中心に、教科書では取り上げられています。
 本文を途中まで読んだあと、「もしも自分だったらどうするか」という課題を考えました。生徒からは、「どうしても決めなきゃいけないの」「難しい」などの声が上がりました。しかし、実際の学級会であれば、決断する必要性があります。自分自身の思いと向き合いながら、課題について考えました。黒板にそれぞれの考えをまとめる際、「入れる」「入れない」の思いを左右の矢印に、さらに「矢部ちゃんのため」「学級のため」という考えを上下の矢印にして、構造的に考えられるようにしました。それぞれの微妙に違う思いから、多様な価値観を知ることができました。
 振り返りでは、「実際の場では悩むと思うし、難しいです」「矢部ちゃんのために入れる気持ちも分かるし、入れない気持ちも分かった」など、自身の思いを語るものが多くありました。いろいろな価値観を知る、有意義な時間となりました。

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【安城市立安城西中学校】より深い学びを目指して

 本校は、今年度、愛知県教育委員会より「道徳教育の抜本的改善・充実にかかる支援事業」の一環として、研究実践校に指定されました。そこで、道徳科において、「自分の思いや考えを伝え合い、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方について考えを深める生徒」をテーマに、研究を進めています。素直に自分の思いを表現できる生徒が多く見られるため、自分の思いを書きとめる時間を確保し、話合いにつなげています。発問を工夫し、生徒の発言に応じて問い返しや切り返しを行うことで、より深い学びを目指しています。また、内容項目について、授業の初めと終わりに問うことで、考えの変容に気づけるようにしています。
 9月に、2年生で実践した「松葉づえ」では、思いやりについて考えました。授業の始めでは、思いやりとは「困っている人を助けること」と考えていましたが、授業の終わりでは、「相手が必要とするときに必要な分だけ助けること」「自分がいいと思ったことではなく、相手がいいと思うことをすること」と考えを深化させることができました。松葉づえをつく級友に対して、先回りして助けていた人が、自分の都合が悪くなると助けるのをやめてしまうところを取り上げ、生徒が初めにもった考えと比較して、「困っている人を助けているけれど、この人には思いやりがないということ」と問い返すことで、自分本位の手助けでは意味がないことに気づき、考えの深化につながりました。以下は、生徒の振り返りです。
・積極的に助けるもの思いやりだと思うけれど、相手の気持ちを考えて様子を見るのも思いやりだと思いました。
・自己満足な優しさは思いやりではないと思いました。相手の気持ちを尊重しながら生活できるようになりたいです。

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