佐藤正寿先生セミナー1
1月18日に、東北学院大学教授の佐藤正寿先生をお招きし、「『真の社会科授業』をどのように作るか 〜暗記中心にしないために〜」というテーマで、セミナーが行われました。
セミナー会場のある大口町のキャラクター「ダッシュマン」を皮切りに、最近の社会的な問題である投票率の低下を伝える新聞記事から、社会科教育がいかに大切であるのかをお話されました。そして、子どもたちが社会に関心を持ち続けるための社会科授業とはどのようはものなのか、どのように作ればよいのかを教えていただきました。 第1部 真の社会科授業づくりとは 視点1 解決したいと思うような教材づくり ◎子供たちの問題意識を喚起するような情報提示 ・4月の海開きの画像 ・満州に渡って土地を耕す子供たちの画像。 ・コンビニのおにぎりの画像(画像の半分を隠す) ◎教科書の資料事実を活かす ◎子供たちが情報収集活動する時間を作る ◎すぐれた学習問題で意欲を喚起する ・仮定の場面設定→もし森林が減ったらどうなる? ・相対する事象提示→国内に工場があるのになぜ海外に? ・対立軸の提示と立場の明確化→食糧輸入を増やすことに賛成か反対か。 視点2 指導スキルを磨く 社会科らしい指導スキルは、資料読解、資料提示の仕方。 ◎ネットニュースや写真、グラフ、表を読み取る力は必須 ×「ここから分かることは何ですか?」 →賢い子だけしか答えられない。 〇基本項目の確認 〇「工業が盛んな地域だと思う場所に丸を付けて」 〇「どう思った?」 〇「みなさんは何に気づいた?」 ◎タブレット等あればGoogleMap等で調べさせる→調べ活動 視点3 選択判断の場面を作る ◎発問に自分ごとを加える⇒対話を生む ・「スーパーマーケットで様々な工夫があると知ったが、もしあなたが店長だったらどの工夫を一番にするか」 ・「どこにつくるか」 ・「賛成か反対か」(選択肢を示すのも一つの工夫) ◎少ない立場の方から聞く。 →先に多い方を聞いてしまうと、少数派は圧倒されてしまう。 勝ち負けを争う場ではない。自分と相反する立場の考えがどのようなものかを聞き、自分の考えを深める。 視点4 評価問題を考える 知識は必要だが、暗記だけでは通用しない ◎「どのような資料があればよいか」という視点が重要 →りんごづくりの盛んな地域の学習ならどんな資料が必要か。 →りんご農家の工夫や努力を調べるならどこに連絡したら良いか。 ・区役所 ・現場への取材 ・JA ⇒教材収集に苦労を惜しまない 視点5 教材研究を楽しむ 長篠合戦図屏風から、教材研究の観点で、不思議やどうしてと思うことを考えた。 〇なぜ旗を掲げるのか? →戦果の評価基準になるため。評価人は山の上で眺める。 ◎教師自身が「素材研究」として調べてみる ◎資料には製作者の意図が反映されている。 佐藤正寿先生セミナー2
第2部では、資料の提示や活用の仕方、読み取り方など、模擬授業を通して、佐藤先生に実際に見せていただきました。
第2部 模擬授業 6年生「これからの日本」 T 未来社会について「聞いたことがある」ことを教えて C AI C 冷蔵庫がしゃべる C 山奥でのドローン配達 C 無人の車・いいことばかりではなく、便利だからこその犯罪が増えるのではないか C 少子化 T 日本の年齢階層別将来人口設計の資料を読み取って、わかることを教えて C 2010年と2065年を比べると人が減っている C 薄オレンジのところがどんどん減っている C 0から14歳が比較して半分になる(2010年と2065年) C どの年も薄オレンジが一番多い T わかることとして、減っていることが挙がりました。 では、未来社会で予想される課題は何か、3人で話し合ってみよう T 課題はあった? C 将来の若者の負担が増え、年金が減るのが問題 T 高齢者が減るのは問題じゃないんだ、若者の切実な悩みだね C 働き手が減る T 働き手が減ることは問題かな? C 社会が回らない T やっぱり年金問題かな〜 C 人口減少で、人以外のものが働くことが増えるのではないか T 人型ロボット? C そうというよりかは機械かな C Society5.0 が起こりうる未来なので、そこまで働き手の減少が起こるのは悪くないの かな T なるほど。 C 世の中が無意識にそういう方向を意識している。皆が順応になれば良い。 T 素晴らしい意見だね。 T 少子化もあるけど、高齢化という課題も実はあるんだよ。どちらかについて考えたいんだけど、自分のことで考えると、少子化と高齢化どっちについて考えたい? T では少子化について考えようか。 T じゃあ、本当に少子化に向かっているのかな?根拠はあるのかな? T (日本の出生率の低下のグラフを提示) みんなが言う通り少子化が進んでいるね。 T なんでだろうね? C 結婚する人が少なくなっている C 離婚率の増加 C 子供を産んでからの国のサポートが少ない T どこから聞いたの? C ニュースです。 C 独身でいいやと思う人の増加 C グラフから、親も少ないから必然的に子も少なくなる C お金がないから。 T なんで? C 養育費を捻出するのが大変だから。 C 子育てする時間がない C 社会の仕組みが子育てするのに向いてない。 T なんで? C 大家族から核家族化、子育てに協力する人が減少しているから。 T (内閣府の子供を持たない理由の調査結果を提示) T 将来みんなが直面するかもしれない問題だよね。これって解決したいよね? T じゃあ、みんなが少子化を止めるような提案をしよう。班で話し合ってね。 T では、出てきたアイディアを班の代表がホワイトボードに書きにきて下さい。 (ホワイトボードに書いてあるのを見て) C 地域でのサポート T 例えば? C 子育て支援の充実 C お金を回す T 具体的には? C 給料を上げる、消費が上がる T つまり経済を活性化するってことだね C 1人産んだら10万円 T どんな頻度で?月で?年で? C 1回です。 C 福利厚生 T いろいろ出たけど、政府って何かしているのかな? T 実は2015年3月に政府はこういうことをいっています。 T (スライドを提示する) T 達成していることもあるけど、未達成なこともたくさんあるんだね。 T これからもこういったことだけではなく、様々な問題について考え続けてください。 T これで授業を終わります。 佐藤正寿先生の講演を通して、真の社会科授業の作り方と教師としてのあるべき姿を改めて学びました。佐藤先生に教えていただいたことを、日頃の授業で活かし、教師自身が学び続ける姿勢を、子どもたちにやって見せていくことが大切だと感じました。 |
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