【第5回】「田中博史先生」セミナー1
田中博史先生の「算数好きな子どもを育てる授業づくり」についてご紹介します。
<アクティブな学びについて> 昨今、アクティブラーニングという言葉を聞く機会が多くなったが、日本はずっと前からアクティブな学びを目指してきた。しかし、今またなぜアクティブラーニングがさけばれるのか、現場の教師と子どもがどこでつまづいてきたのかを考えていきたい。 <子どもの主体性について> 教師がやっていることは絶対に正しいと子どもが思っていると、教師が間違ったときに子どもは指摘しない。その時点で子どもの主体性は失われている。小学校の場合を考えると、子どもはもともとアクティブである。アクティブになれないのは教師の責任である。 <子どもの注意力について> まずは問題提示 (1) 金魚が入った水槽の絵。 (2) 水槽の絵を隠す。 (3) 2匹網ですくった場面を見せる。 「問題だしても大丈夫?」と田中先生。隠される前の水槽に金魚が何匹入っていたのか、数えていない大勢の会場の方々。「人間の注意力なんてこんなもんですよ。」とおっしゃられた。よく見ていた会場の方は5匹いたと断言。しかし、覆っていた物を水槽からとると…金魚が6匹いたということがわかる。「水槽には奥行きがあるからね」。 会場 (笑) 教師が毎回仕掛けを作ることが大切。そうすることで、子ども達はなにか仕掛けがしているのではないかと思い、集中することができる。 【第5回】「田中博史先生」セミナー2
<習熟度別学習について>
子ども達の能力差がさらに開いてしまう。フィンランドでは習熟度別学習をやめ、教え合いを取り入れている。そこで、得意な子どもを立ち止まらせてしまうのではないかという疑問が生まれる。 山登りで例えると…なぜ山登りはみんな登頂できるのか。先に行けるほど速く登れる子は後ろを振り返り、遅い子どもに声をかけたり、遅い子どもを列の前に連れてきたりするからである。習熟度別学習は別々のゴールで良いという認識ができてしまい、山登りが得意な子どもは山頂まで行け、苦手な子どもは中間地点で満足するようになる。 <得意な子への対応> 習熟度別学習でない場合、得意な子はどうするのか。一人で問題解決できる場合も、説明までできる子どもは少ない。企業をみても、仕事の役割は「開発」(企画)部門と「伝達」(宣伝・営業)部門に分かれている。子どもに置き換えると開発は問題を一人で解く場面、伝達は友達同士で教えあう場面と考えるといい。子どものプレゼンテーション能力を上げているという意識があると、教え合いは得意な子どもを立ち止まらせているわけではないということがわかる。 【第5回】「田中博史先生」セミナー3
<算数にはイメージが大事>
文章題を子どもが解くとき、問題の質として低学年の問題には読みとらなくてもできるものが多い。でも高学年になると数値の関係をしっかりと読み取る必要がある。そのため、高学年になると急にできなくなる子が出てくる。 しかし、低学年の時、問題を読み取らなくていいという考えにさせているのは教師自身。問題を解けるようにすることに対して、成果を急ぎすぎているのである。たとえば、速さの問題で、形式に入れないと解けないようではいけない。場面を具体的に想像させることが大事である。絵にしてごらんというと、一気にイメージができ、3年生でも速さの問題が解ける。 <子ども自身に説明させるということ> 中学2年生の子どもが小学校4年生に分数の説明をしている動画を見せていただいた。中学生は分かりやすく教えようとケーキの模型やテープを用意していたが、なかなか小学生が理解してくれない。これを見たあるひとりの中学生が用意していた物を取っ払い、黒板に円を描いて説明し始めた。すると、小学生が理解し始めたのである。ここから分かることは、準備していた教材・具体物が大切なのではなく、教える相手に合わせるということが最も必要なことであることがわかる。 「この問題分かる人?」と聞くよりも、「この問題どんな間違いが考えられる?」と子どもに問うと子どもはのってくる。 <全体を通して> 子どもに教えている教師が形式的に、または形式そのものを教えてしまうのは非常に危険であると警鐘を鳴らされた。子どもの主体的な学びを保証するのは、教師と子どもとの対話から始まるということを教わった講演であった。 【第4回】「野口芳宏先生」セミナー1まず、会員に考えさせ、意見交流を行いました。その中でも、学力(頭の教育)の形成と人格(心の教育)の形成が二つの柱であり、さらに掘り下げ、何のために学力や人格を形成するのかという本質に迫りました。 利他・公益を大切にし、世のため、人のために生きることで自分が幸せになれることも教えていただきました。 【第4回】「野口芳宏先生」セミナー2模擬授業の後には、野口先生からご講評をいただきました。 【第4回】「野口芳宏先生」セミナー3国語学力は三つに分けられ、その一つ目には、読字力をつけること(漢字の筆順の原則、読める感じは板書する。等)が挙げられた。二つ目に、語彙力をつけること(教科書に書かれている文章をそのまま言うのではなく、要約する。)最後の、三つ目に文脈力をつけること(教師は発問を工夫し、間違いそうなところをひろう。)ことを具体的に模擬授業の中でもお話をいただきました。 今年も、笑いあり、学びありのあっという間の1日になりました。 |
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