【第6回】「小野田正利先生」登壇
■日時 1月21日(土)10時〜15時
■会場 大口町立大口中学校 ■講師 小野田正利先生(大阪大学大学院教授) ■演題 「難しくなる保護者対応トラブルを考える 〜学校としてすべきこと、してはいけないこと〜」 ■プロフィール イチャモン研究会(新新・学校保護者関係研究会)代表。「イチャモンはどうしたら打開できるのか」「子どもでつながろう“ イチャモン”の裏返しは“ 連携”」など、「学校現場に元気と自信を!」をスローガンとして、現場に密着した研究活動を展開してみえます。学校への親の苦情・クレームそして無理難題要求、学校が抱える近隣住民とのトラブルなど、学校現場で深刻な問題を取り上げ、多くの共感を呼んでいます。元気でユーモアたっぷりの口演会は大人気で、顔は車だん吉さんとカンニング竹山さんを足して2で割ったような、話し方は金八先生、講演スタイルは綾小路きみまろさんのようだと評されているユニークな学者です。愛知県日進町出身。 【第5回】「田中博史先生」セミナー1
田中博史先生の「算数好きな子どもを育てる授業づくり」についてご紹介します。
<アクティブな学びについて> 昨今、アクティブラーニングという言葉を聞く機会が多くなったが、日本はずっと前からアクティブな学びを目指してきた。しかし、今またなぜアクティブラーニングがさけばれるのか、現場の教師と子どもがどこでつまづいてきたのかを考えていきたい。 <子どもの主体性について> 教師がやっていることは絶対に正しいと子どもが思っていると、教師が間違ったときに子どもは指摘しない。その時点で子どもの主体性は失われている。小学校の場合を考えると、子どもはもともとアクティブである。アクティブになれないのは教師の責任である。 <子どもの注意力について> まずは問題提示 (1) 金魚が入った水槽の絵。 (2) 水槽の絵を隠す。 (3) 2匹網ですくった場面を見せる。 「問題だしても大丈夫?」と田中先生。隠される前の水槽に金魚が何匹入っていたのか、数えていない大勢の会場の方々。「人間の注意力なんてこんなもんですよ。」とおっしゃられた。よく見ていた会場の方は5匹いたと断言。しかし、覆っていた物を水槽からとると…金魚が6匹いたということがわかる。「水槽には奥行きがあるからね」。 会場 (笑) 教師が毎回仕掛けを作ることが大切。そうすることで、子ども達はなにか仕掛けがしているのではないかと思い、集中することができる。 【第5回】「田中博史先生」セミナー2
<習熟度別学習について>
子ども達の能力差がさらに開いてしまう。フィンランドでは習熟度別学習をやめ、教え合いを取り入れている。そこで、得意な子どもを立ち止まらせてしまうのではないかという疑問が生まれる。 山登りで例えると…なぜ山登りはみんな登頂できるのか。先に行けるほど速く登れる子は後ろを振り返り、遅い子どもに声をかけたり、遅い子どもを列の前に連れてきたりするからである。習熟度別学習は別々のゴールで良いという認識ができてしまい、山登りが得意な子どもは山頂まで行け、苦手な子どもは中間地点で満足するようになる。 <得意な子への対応> 習熟度別学習でない場合、得意な子はどうするのか。一人で問題解決できる場合も、説明までできる子どもは少ない。企業をみても、仕事の役割は「開発」(企画)部門と「伝達」(宣伝・営業)部門に分かれている。子どもに置き換えると開発は問題を一人で解く場面、伝達は友達同士で教えあう場面と考えるといい。子どものプレゼンテーション能力を上げているという意識があると、教え合いは得意な子どもを立ち止まらせているわけではないということがわかる。 【第5回】「田中博史先生」セミナー3
<算数にはイメージが大事>
文章題を子どもが解くとき、問題の質として低学年の問題には読みとらなくてもできるものが多い。でも高学年になると数値の関係をしっかりと読み取る必要がある。そのため、高学年になると急にできなくなる子が出てくる。 しかし、低学年の時、問題を読み取らなくていいという考えにさせているのは教師自身。問題を解けるようにすることに対して、成果を急ぎすぎているのである。たとえば、速さの問題で、形式に入れないと解けないようではいけない。場面を具体的に想像させることが大事である。絵にしてごらんというと、一気にイメージができ、3年生でも速さの問題が解ける。 <子ども自身に説明させるということ> 中学2年生の子どもが小学校4年生に分数の説明をしている動画を見せていただいた。中学生は分かりやすく教えようとケーキの模型やテープを用意していたが、なかなか小学生が理解してくれない。これを見たあるひとりの中学生が用意していた物を取っ払い、黒板に円を描いて説明し始めた。すると、小学生が理解し始めたのである。ここから分かることは、準備していた教材・具体物が大切なのではなく、教える相手に合わせるということが最も必要なことであることがわかる。 「この問題分かる人?」と聞くよりも、「この問題どんな間違いが考えられる?」と子どもに問うと子どもはのってくる。 <全体を通して> 子どもに教えている教師が形式的に、または形式そのものを教えてしまうのは非常に危険であると警鐘を鳴らされた。子どもの主体的な学びを保証するのは、教師と子どもとの対話から始まるということを教わった講演であった。 【第4回】「野口芳宏先生」セミナー1まず、会員に考えさせ、意見交流を行いました。その中でも、学力(頭の教育)の形成と人格(心の教育)の形成が二つの柱であり、さらに掘り下げ、何のために学力や人格を形成するのかという本質に迫りました。 利他・公益を大切にし、世のため、人のために生きることで自分が幸せになれることも教えていただきました。 【第4回】「野口芳宏先生」セミナー2模擬授業の後には、野口先生からご講評をいただきました。 【第4回】「野口芳宏先生」セミナー3国語学力は三つに分けられ、その一つ目には、読字力をつけること(漢字の筆順の原則、読める感じは板書する。等)が挙げられた。二つ目に、語彙力をつけること(教科書に書かれている文章をそのまま言うのではなく、要約する。)最後の、三つ目に文脈力をつけること(教師は発問を工夫し、間違いそうなところをひろう。)ことを具体的に模擬授業の中でもお話をいただきました。 今年も、笑いあり、学びありのあっという間の1日になりました。 【第5回】「田中博史先生」登壇
■日時 11月12日(土)10時〜12時
■会場 大口町立大口中学校 ■講師 田中博史先生(筑波大学附属小学校主幹教諭) ■演題 算数好きな子どもを育てる授業づくり ■プロフィール 平成21年度以来の2度目の登壇です。専門は算数教育ですが、人間発達科学では学術修士、筑波大学人間学群教育学類非常勤講師・共愛学園前橋国際大学非常勤講師・全国算数授業研究会会長等を務め、今や日本の算数教育の第一人者といっても過言ではありません。算数教育の本質や教材研究など、多彩な経験をもとにした講演は間違いなしです。 乞うご期待を! 【第4回】「野口芳宏先生」登壇
■日時 10月10日(月・祝)10時〜15時
■会場 大口町立大口中学校 ■講師 野口芳宏先生(植草学園大学名誉教授) ■演題 【午前の部】道徳模擬授業『何のために学校へいくのか』 【午後の部1】会員による発表 「語感を磨く」の授業 【午後の部2】国語学力を向上させる基礎基本 ■プロフィール 君津市文化協会会長、千葉県教育委員会委員を歴任。本セミナーのレギュラー講師で国語授業名人。当日は野口先生の熱い語りを丸一日、3本立てで聞くことができます。昨年度は、国語学力形成法を物語文「やまなし」を通してと、道徳の教科化に向けて、新しい方向性を語っていただきました。変わりゆく教育の最先端の情報を常に捉えた野口先生の講演は必見です。今年は野口節にのせてどんなことを語ってくれるのでしょう。 乞うご期待を! 佐藤暁先生セミナー1
佐藤暁先生の実践の「考え方」を学ぶの講演内容を紹介させていただきます。
〈まず始めに〉 今回の話は哲学。 学びと勉強の違い、何を学べるか分からないのが学びである。それに対して勉強は、こういうことを知るぞという明確なものをもっている。 「困り感」 本当に困っているのは子どもである。しかし、「困り感」だけでは、子どものことを分かってあげられない。だから視線の向かわない領域を考える必要がある。 教師は、○○障がいと既成の言葉で表そうとするが、子どもはそんな言葉で表されたくないと思っているかもしれない。既成の枠に押し込めるのではなく、子ども目線で子どもに寄り添う必要がある。 佐藤暁先生セミナー2
〈視線が向かわない領域〉
『青い鳥』を解釈学、系譜学、考古学的な視点で考える。 解釈学 「解釈学は、鳥がもともと青かったという前提で再編された記憶と一体化した、チルチルとミチルのサクセスストーリーを作り出しています。」(障がいのある子の保育・教育のための実践障がい学より) 今が幸せだと過去の出来事も幸せであり、幸せなストーリーができる。逆に今が不幸せだと過去も不幸せになる。今が幸せか不幸せによって、過去にあったことも幸せか不幸せか反転してしまう。 教育に結びつけて考えると 元気に登校⇒子育ては間違ってなかった 不登校⇒甘やかしてはいけなかった 今の捉え方が過去にも繋がってくる。 佐藤暁先生セミナー3
系譜学
チルチルとミチルは、鳥が青かったと信じているが、じつはそうではなかったかもしれない。(本当は幸せを感じていなかったかもしれない)思い込んでいるだけかもしれない。 私たちにおいてもそうである。自分に合っていると思っている仕事が本当に合っているとは限らない。意外と自分が見えていないのかもしれない。 今、青く見えているのは、もともと青かったのか、途中で変わったのか ⇒系譜学の視点 もともと青かったことにしてしまおう⇒人間の心理、視点 実際にあったのか探求するのが系譜学 佐藤暁先生セミナー4
考古学的な視点
理解と支配は紙一重、自分の視線から他者を見るときに、自分の都合のいいように見ていないか。自分の都合のいいように理解してしまうとそれは支配になる。相手が望むような理解をしていく必要がある。 過去⇒現在とは無関係に過去 他者⇒自分とは無関係な他者 無関係が大切。意識しないといけない。自分と無関係に存在するのが子ども。 「鳥はある時点でもともと青かったことにされたとはいえ、ほんとうはもともと青くなかった、などとはいえない。もともとというなら、鳥は青くも青くなくもなかった。そんな観点はもともとなかったのだ。そういうことを問題にする観点そのものがなかった。」(障がいのある子の保育・教育のための実践障がい学より) 子どもは自己肯定感がある・ないは、気にしていなかった。そんなことを問題にする観点はなかったのに大人が言うから気にし始める。 自分が変わるには環境を変えるしかない。学びとは別の環境で行うことである。「そうだったのか」と思いもよらぬショックで人生が変わることこそが学びである。そのために私たちが枠を超えないと子ども達に経験させてあげられない。 視線が向かわない領域は、自分が変わらないと見えてこない。私たちが変われば、困り感の向こうに気付けるのではないか。 佐藤暁先生セミナー5
音の連なりと「過去把持」「未来予持」
「トントントン」という音を私たちはどのように受け取っているのだろうか。 一回目の音が耳に残る。二回目の音を聞き、「前と同じかな」と思う。もう一回なると、「さっきからなんだ」と思う。 一回だけなら空耳、もう一回聞こえると意味ができる。さらにもう一回なると、意味の度合いが強まる。 この流れが時間である。時間は意識から作られる。 障がいの重い子にとっては、音の連なりが「今今今」となる。音の意味が残らないから時間が作られない。 時間を作ると意味ができる。自我になる前の「匿名的先自我」。自我の始まりのようなものから自我が芽生えて「あなた」になる。 佐藤先生が冒頭でお話された、「学びとは何を学べるか分からないのが学びである。」という言葉を改めて考え、参加された人によって得られた「学び」が違う、そんなセミナーになったと思います。 【第3回】特別支援教育の第一人者「佐藤暁先生」登壇
■日時 9月3日(土)10時〜12時
■会場 大口町立大口中学校 ■講師 佐藤暁先生(岡山大学大学院 教育学研究科教授) ■演題 実践の「考え方」を学ぶ ■プロフィール 専門は学校教育学。通常学級で学ぶ発達障害児に対して、どういった支援が可能かを研究し、教室で様々な実践を試み、効果的な支援の方法を開発されている。現在は「インクルーシブ教育」の考え方のもと「協同学習」のあり方をみつめ、更なる授業改革を提案。いくつもの著書タイトルにある『困り感に寄り添う』『子どもをつなぐ』というキーワードに込められた先生の願いと子どもの学びを保障するということを考えていきます。 第2回白石範孝先生セミナー報告 1
白石範孝先生の「論理的に思考する『考える』国語の授業〜問題解決学習をめざして〜」について、簡単にご紹介します。
<アクティブラーニングへのつながり> アクティブラーニングは、基礎基本と技能の定着を土台に、その上に言語活動(思考力・判断力・表現力)、さらに上にアクティブラーニング(論理的な思考活動)がある。 国語での基礎基本は「用語」・「方法」「原理・原則」。この土台を身につければ国語の授業がぶつ切りにならず、授業内容が他へ転移できる力になる。 <漢字学習の原理・原則について> ○ 成、感、反、皮、灰という漢字の1画目はどこか。原理がある。貫く縦線があるものは縦が先(成、感、皮)など。筆順に原則がある。 ○ 漢字は「音読みしなさい」が原則。音読みをすると、2種類に分かれる。音読みがある方が形成文字、音読みがない方が会意文字。 形成文字がさらに二つに分かれる。音読みする部分を「音符」、残った方を「意符」という。その意符の部分が部首になる。 これを知っていたらどの漢字にも適用できる。 第2回白石範孝先生セミナー報告 2
<説明文の授業について>
○ 説明文の3つの基本文型 ア 頭括型・・・結論が最初にきている。低学年に多い。 イ 尾括型・・・結論が最後にきている。中学年に多い。 ウ 双括型・・・結論が最初と最後にある。 双括型は「はじめ、中、おわり」で考えると、「中」の後半で新しい情報が入る。「おわり」の内容は「はじめ」の内容に「新しい情報」が加わり、筆者の主張になる。 新聞記事を例にすると、事件記事は頭括型、コラムは尾括型(最後の結論に驚き、発見がある)、論説文は双括型(相手を説得する) ○ 筆者の意図を読み取るために、歩み寄る表現や主張する表現、文末表現等に注目する。 ○ 段落分けから入り、最初の段落から内容を確認する授業では、子どもの論理的な思考活動は行われない。段落の因果関係やつながりなど作品全体の構成を捉えると筆者の主張を読み取ることができる。作品を丸ごと捉えることが大切。 <物語文の授業について> ○ 物語文を丸ごととらえる 物語文は、中心人物がある出来事を通して、幸せになるか、不幸になるかが描かれている。一つの物語文の指導の初発と最後に「(中心人物)が(出来事、事件)によって(変容)する、になる話」と一文で書かせる。初発に書かせた一文からは子どもの読みの実態、学習の最後に書かせた一文からは子供の学習状況が把握できる。 <実践例> ○「モチモチの木」(光村図書3年)を用いて 物語全体を通して描かれている人物像に注目し、その変化と因果関係を読み取り、作品を丸ごと捉える。 ○「たんぽぽのちえ」(光村図書2年)を用いて 意味段落や三部構成を捉えるときに、形式段落の主語が同じものを一つの段落にするという原理・原則がある。主語連鎖という。 ○「いろいろなふね」(東京書籍1年) 順番を考える。1文ごとをカードにし、バラバラに並べ、その順番を考える。考えるなかで、言葉の注目の仕方や理由を考えさせ、気づかせる。 第2回白石範孝先生セミナー報告 3
<教材分析と教材研究>
それぞれの教材の特徴や論理を生かした授業をつくるためには、教材分析と教材研究が大切である。 教材分析・・・教材のもつ特徴や論理を捉えること 教材研究・・・教材分析によって明らかになった教材の特徴や論理を生かした授業を計画すること。 これらのためには「教材課の視点」が必要である。 ○「花いっぱいになあれ」(東京書籍1年) 紙芝居を作らせ、山場を理解しているか、文章を丸ごと、論理的に捉えているかを確認した。 <短歌について> ア 短歌の内容(書きたいこと)を200字ほど書く。(日記を使う) イ 言葉を取り出す。 ウ 助詞や切れ字を使って言葉を5音7音にする。 エ 組み合わせる。 オ 同じ音数の言葉を入れ替える。 カ 作品を決める。 キ 俳句から短歌へかえる。 ク 展示作品をつくる。(コーヒーフィルターを使った例を提示) 会場から感嘆の声があがりました。 【第2回】国語教育の第一人者「白石範孝先生」登壇
■日時 6月11日(土)10時〜12時
■会場 大口町立大口中学校 ■講師 白石範孝先生(元筑波大学附属小学校 教諭) ■演題 論理的に思考させる国語の授業をめざして ■プロフィール 2回目のご登壇です。昨年度まで筑波大学附属小学校教諭(H28.3 ご退官)、明星大学教育学部講師、全国国語授業研究会理事、国語ICT 研究会会長。「国語は、論理的だ。論理的な文章を論理的に読むのは当たり前であり、算数と同じ。今までの国語の授業は、『イメージと感覚』だけの授業。この問題は日本の国語教育には昔からある」(前回セミナーより)国語の力とは? 何を学ばせるのか? 何を考えさせるのか? 方法を明確に示し、論理的に思考させる国語の授業づくりについて、教材を用いて具体的に講義していただきます。 金大竜先生セミナー1
今回は、大阪市立の小学校教諭 金大竜先生をお迎えし、「やっぱり子どもが好き」から始める学級づくり〜魁・殿教師と凸凹のある子ども達〜をテーマに語っていただきました。
参加人数は197人と、セミナーが始まって以来、最高の人数となりました。講演内容も素晴らしく、考えさせられることが多くありました。このホームページでは、その一部を紹介します。 |
|