第2回白石範孝先生セミナー報告 1
白石範孝先生の「論理的に思考する『考える』国語の授業〜問題解決学習をめざして〜」について、簡単にご紹介します。
<アクティブラーニングへのつながり> アクティブラーニングは、基礎基本と技能の定着を土台に、その上に言語活動(思考力・判断力・表現力)、さらに上にアクティブラーニング(論理的な思考活動)がある。 国語での基礎基本は「用語」・「方法」「原理・原則」。この土台を身につければ国語の授業がぶつ切りにならず、授業内容が他へ転移できる力になる。 <漢字学習の原理・原則について> ○ 成、感、反、皮、灰という漢字の1画目はどこか。原理がある。貫く縦線があるものは縦が先(成、感、皮)など。筆順に原則がある。 ○ 漢字は「音読みしなさい」が原則。音読みをすると、2種類に分かれる。音読みがある方が形成文字、音読みがない方が会意文字。 形成文字がさらに二つに分かれる。音読みする部分を「音符」、残った方を「意符」という。その意符の部分が部首になる。 これを知っていたらどの漢字にも適用できる。 第2回白石範孝先生セミナー報告 2
<説明文の授業について>
○ 説明文の3つの基本文型 ア 頭括型・・・結論が最初にきている。低学年に多い。 イ 尾括型・・・結論が最後にきている。中学年に多い。 ウ 双括型・・・結論が最初と最後にある。 双括型は「はじめ、中、おわり」で考えると、「中」の後半で新しい情報が入る。「おわり」の内容は「はじめ」の内容に「新しい情報」が加わり、筆者の主張になる。 新聞記事を例にすると、事件記事は頭括型、コラムは尾括型(最後の結論に驚き、発見がある)、論説文は双括型(相手を説得する) ○ 筆者の意図を読み取るために、歩み寄る表現や主張する表現、文末表現等に注目する。 ○ 段落分けから入り、最初の段落から内容を確認する授業では、子どもの論理的な思考活動は行われない。段落の因果関係やつながりなど作品全体の構成を捉えると筆者の主張を読み取ることができる。作品を丸ごと捉えることが大切。 <物語文の授業について> ○ 物語文を丸ごととらえる 物語文は、中心人物がある出来事を通して、幸せになるか、不幸になるかが描かれている。一つの物語文の指導の初発と最後に「(中心人物)が(出来事、事件)によって(変容)する、になる話」と一文で書かせる。初発に書かせた一文からは子どもの読みの実態、学習の最後に書かせた一文からは子供の学習状況が把握できる。 <実践例> ○「モチモチの木」(光村図書3年)を用いて 物語全体を通して描かれている人物像に注目し、その変化と因果関係を読み取り、作品を丸ごと捉える。 ○「たんぽぽのちえ」(光村図書2年)を用いて 意味段落や三部構成を捉えるときに、形式段落の主語が同じものを一つの段落にするという原理・原則がある。主語連鎖という。 ○「いろいろなふね」(東京書籍1年) 順番を考える。1文ごとをカードにし、バラバラに並べ、その順番を考える。考えるなかで、言葉の注目の仕方や理由を考えさせ、気づかせる。 第2回白石範孝先生セミナー報告 3
<教材分析と教材研究>
それぞれの教材の特徴や論理を生かした授業をつくるためには、教材分析と教材研究が大切である。 教材分析・・・教材のもつ特徴や論理を捉えること 教材研究・・・教材分析によって明らかになった教材の特徴や論理を生かした授業を計画すること。 これらのためには「教材課の視点」が必要である。 ○「花いっぱいになあれ」(東京書籍1年) 紙芝居を作らせ、山場を理解しているか、文章を丸ごと、論理的に捉えているかを確認した。 <短歌について> ア 短歌の内容(書きたいこと)を200字ほど書く。(日記を使う) イ 言葉を取り出す。 ウ 助詞や切れ字を使って言葉を5音7音にする。 エ 組み合わせる。 オ 同じ音数の言葉を入れ替える。 カ 作品を決める。 キ 俳句から短歌へかえる。 ク 展示作品をつくる。(コーヒーフィルターを使った例を提示) 会場から感嘆の声があがりました。 |
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