佐藤正寿先生「わくわく社会科授業 〜全員が「わかる」「できる」授業の作り方〜」
岩手県奥州市常盤小学校副校長、佐藤正寿先生をお迎えし、「わくわく社会科授業 〜全員が「わかる」「できる」授業の作り方〜」をテーマに語っていただきました。
まずは資料に関して。社会科の教科書にはどんな資料がどのくらい掲載されているのか。学年で重点となる資料の種類は何か、重視しなければならない読み取り方は何かを意識することが大事。 資料の読み取り方とは?
グラフの読み取り方は、まず基本項目。「タイトルは?」「出典は?」「縦軸と横軸は何を表しているか?」
続いて「全体」を見て分かることを読み取らせる。「全体を見て分かる事は?」「全体としてどのような変化をしているか?」 それを押さえた後、「部分」を見て分かる事をたずねていく。 いきなり「グラフを見て分かる事は?」と言われてもわからない。どうやって事実を読み取るのかを教えないといけない。 それら事実をしっかりと押さえた上で、「思ったこと」を考えさせる。 資料の「読み取り方」を身につけさせることで、どんな子も内容を「わかる」ことができると感じました。 教材の見せ方 「切実な問題意識」をもたせる・「バスのタイヤの数はいくつですか」(あいまいなことを問う) ・「雪の多い地域は大変な事ばかりなのか」(新たな視点を示す) ・「貴族の屋敷と違う点は何か」(他の例と比べる) ・「大切に育てたキャベツなのに、なぜトラクターでつぶしているのか」(矛盾・対立していることを示す) といった「ゆさぶる」場面を入れることによって、「切実な課題意識」を持たせることで、子どもたちは追求し続けることができる。 「知る」「わかる」「判断する」の3段階を意識した授業構成を!
「知る」「わかる」「判断する」の3段階を意識した授業構成。
3年生、スーパーマーケットの学習を例に説明していただいた。 ・車いすの人のための駐車場がある。補助犬も入ることができる。(知る)(知識) ・スーパーマーケットでは、障害のある人のために工夫しているんだ。(わかる)(概念) さらに、「そのことについてどう思うか」を考えさせることによって、 ・他の施設でも同じ工夫がある。障害のある人にやさしい町作りは大切なんだ。(考える)(価値判断) ここまでやることによって、「社会的なものの見方や考え方」が育つ。 模擬授業 東京オリンピック その1
第2部、模擬授業「東京オリンピック」
オリンピックという旬の話題を取り入れた授業。 「夏季オリンピックはどのような国で開催されているか?」 「開催されやすい理由は何だろう?」 →「経済力」「インフラの整備」「安全さ」「人々の熱意」 発問の切り口のおもしろさ。授業に引き込まれました。 模擬授業 東京オリンピック その2
そして、1964年の東京オリンピックの話題へ。
「日本はどのような発展をしていたのか?」 新幹線や高速道路、テレビの普及率などの資料から、「経済発展」「豊かになった」という内容が読み取れる。 「東京オリンピックはどのようなオリンピックだったと言えるか?」 価値判断を考えさせられる内容。「戦後の復興」や「日本の復興を世界に示した」といった意見が出された。 模擬授業 東京オリンピック その3
だがここで終わりではありませんでした。
聖火ランナーの坂井さんの資料が提示される。 「坂井さんが最終聖火ランナーに選ばれた理由は?」3択から選ぶ。 正解は、「有名な陸上選手で生年月日が東京オリンピックの狙いに合っていたから」 生年月日は1945年8月6日。さらに広島県出身。そう、広島の原爆の日です。 「東京オリンピックには平和への願いが込められていた」 佐藤先生の教材研究の深さと授業の工夫に圧倒されました。 さらに、 「あなたがアナウンサーだったら、どのようなアナウンスをしますか」 「あなたなら、誰を東京オリンピックの最終聖火ランナーに選びますか」といった発問でさらに価値判断をさせる。 授業について深く考えさせられた模擬授業でした。 社会科教師として力をつけるには?
第3部、社会科教師として力をつける
まず教科書はしっかり読み込む。わかることを書きこんだり、メモをしたりする。 それだけではなく、+αの教材研究を。 歌川広重「伊勢参宮」の資料。 「子どもが柄杓を持っているのはなぜか?」 「犬がいるのはなぜか?」 進んで行動して調べていく事で教師としての力がつく。 社会科教師として力をつけるには? その2
さらに、一個人として素養を身につけることも重要。
短歌を作る国語教師、合唱団で歌い続ける音楽教師。では、社会科教師は? 「地図地理検定」などの例を紹介していただきました。 また、教師が自分で調べ追求すること、普段から教材を探すアンテナをもち、行動すること。教える側の成長することの大切さを考えさせられました。 学ぶことばかりで、2時間があっという間に過ぎてしまいました。佐藤先生、どうもありがとうございました。 【第7回】社会科授業の達人「佐藤正寿先生」登壇
■日時 1月9日(土)10時〜12時
■会場 大口町立大口中学校 ■講師 佐藤正寿先生(岩手県奥州市立常盤小学校 副校長) ■演題 「わくわく社会科授業 〜全員が『わかる』『できる』授業のつくり方〜」 ■プロフィール 有田和正先生が社会科授業の「名人」ならば、佐藤正寿先生は社会科授業の「達人」です。有田和正先生から多くを学び、自身のスタイルに昇華させた、シンプルでわかりやすく、子どもたちが積極的に活動し考える授業実践は、若手からベテランまで、社会科に限らず教科を越えて多くの学びがあります。また、ねらいがシャープで誰にでもできる効果的なICT 活用も佐藤先生の授業の魅力です。当日は、模擬授業を通じて誰にでも再現できるように明解に授業のポイントを示していただけます。教科を問わず子どもたちが引き込まれる授業づくりをめざす方、必見です。 【11/14小笠原豊先生1】子どもが夢中になる理科の授業
今回は、中部大学の准教授の小笠原豊先生を迎え、「子どもが夢中になる理科の授業」について語っていただきました。
すごい実験道具に驚き、素晴らしいスライドに感心し、そして先生の巧みな話術で参加者は大笑い。先生自身が楽しんで講演をされているなと感じました。「教える教師が楽しまないと、子どもたちは楽しくない。」授業の根本はこれだなと思いました。 理科の授業のネタをいっぱい紹介していただきました。このホームページでは、その一部を紹介します。 【11/14小笠原豊先生2】単元をつらぬく概念獲得型の探究学習
小笠原先生は、「単元の導入が大事!」「強い問題意識、達成欲求を抱かせる『仕掛け』を用意すること」が大切であると言われました。
【11/14小笠原豊先生3】からは、その具体例を紹介します。 【11/14小笠原豊先生3】小学3年生の「豆電球に明かりをつけよう」
1 自作のピカチュウのおもちゃを提示(子どもたちは興味津々)
2 ピカチュおもちゃの操作の仕方を説明 その後、次のような展開で進める。 T:このピカチュウおもちゃを作りたい人! C:(全員勢いよく手を挙げる) T:どんな材料がいるのかな? C:豆電球、導線、乾電池・・・ T:(豆電球、導線、乾電池を渡す) T:さっそく作ってみましょう。ただし、話はしません。 子どもたちは、試行錯誤しながらやっているが、10分経っても20分経ってもつかない。「どうしてつかないのかな?ひょっとしたら、ここが悪いかな?」と疑問を持ち始める・・・・・。 ※なぜつかないか、導線は金属の銅の部分を抜いてあるから。←このちょっとした工夫がよい授業になる。 ★自作の「巨大電池」→『教材は大きければ大きいほどよい』 大きな箱から何が出るかと思ったら、自作の「巨大電池」。(会場はどよめきの声)ゴミ箱を利用して作ったとのこと。子どもたちはこの巨大電池を指差しながらわかったことを発表した。「ここはだめ」「ここはついた」というように細かいところまで説明して見せてくれたという。 【11/14小笠原豊先生4】小学5年生「ふりこの動き」
小学生には単元を貫く知識獲得型の探究学習がよい!
その一例「ふりこの動き」である。 1.アンティークの掛け時計を見せ、1往復2秒の正確な振り子時計であることを説明。 2.本当に一往復2秒!? ストップウオッチで計る(代表者) 3.実際に測定する(全員で) 結果は1.9秒 →昔のだから壊れちゃった?(小芝居する) 4.「どうすると2秒になるのかな?」と発問する。 5.子どもたちは、身近な道具を使って試し実験する。 ペットボトル(おもりのかわり)、粘土、電池等、色々なものを用意しておく。 ※ペットボトルは、水を入れるとおもりの代わりにもなり、重さも変えることができる →しかし何をやっても成功しない、不十分さを実感させる 6.さらにゆさぶりをかける演示実験を行う。 蓋付きのコーヒー缶で実験する。缶の重さもひもの長さも同じにする。そうすると、ふりこの動きは同じになるはずだが、同じにならない。(実は、コーヒー缶の中におもりが入っていて、ひとつは蓋におもりがつけてあり、もうひとつの方は底におもりをつけて、重心を変えてある) 7.「なぜ缶の重さも紐の長さも同じなのに、ちがう結果が出るのだろう?」と発問。 8.子どもは「正確に調べたい!!」という。 ここではじめて教科書に載っている実験道具で実験する。 【11/14小笠原豊先生5】その他、数々の探究学習レシピの紹介
このほか、「アポロ11号のミッションから自転車の反射鏡へ」「なぞの生命体(シダ植物)」、「この骨をならべなさい」「釣り名人になろう」「ダースベーダーをやっつけろ」「気体缶A〜Hの秘密」「胎児の血液循環の不思議」「階段の電灯」「マウスの毛の色」「江戸城の石垣」などの授業を紹介された。
小笠原先生の最後の一言:「子どもに感動を与えてやれる教員になってほしい」 あっという間の2時間でした。小笠原先生から元気をいただきました。 参加者の声をまとめました。ここをクリックするとアンケート結果を見ることができます。 小笠原先生、ありがとうございました。 野口芳宏先生セミナー1
第一部 国語学力形成法を物語文「やまなし」の模擬授業を通して
第一部は、昭和46年に初めて光村図書が取り上げた「やまなし」を通して、国語学力形成法を講義いただきました。 まず、「5月」を先生の朗読の元、ポイントとなる単語や文に着目しながら読み進めていきました。 野口芳宏先生セミナー2
ノートに書かせるのが私の特徴。手を挙げさせて「はいはい」というのはうるさいだけ、考えの妨げになる。
また、わかった人が手を挙げるのはだめ、手を挙げることがいると挙げない子は安心する。 一人残らず授業に集中する、それが大事。 読解していく中で、先生の授業の手法も学ぶことができました。 野口芳宏先生セミナー3
「やまなし」は、イメージを的確に描かせることが大切。
文学の世界を味わうには、大きくは内容の世界と形式の世界がある。 「何が書いてあるのか」が内容、「どう書くのか」が形式。 文学作品は、内容美と形式美。この調和のとれた作品が完成度の高い作品。名作だ。 野口芳宏先生セミナー4
内容美には3つある。
1「理」 理屈・指導・観念・哲学:知的な価値だ。これを理解することは非常に大事。人はいかに生きるかをテーマにしたり、人生楽しんだりなど。 2「相」 姿・形・イメージ:どんなイメージで伝えるか。様子。時、所、年齢、性別、衣など。装 3「情」 感情:理屈がわかってイメージがわかると、感情がわかってくる。 内容美は、この3つで内容が構成されている。 理がわかり、適切なイメージで描かれ、適切な感情が描ける。 野口芳宏先生セミナー5
形式美にも3つある。見事な作品は形式美がある。
1「体」構造:起承転結、序破急。導入・展開・山場など。 2「律」リズム:五言絶句、五七五、七七、韻など 3「語」言葉の適切さ これらが総合してすごい作品となる。 |
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