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最新更新日:2024/06/20 |
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ちょっといい話
兄の幸せ
今日は兄の誕生日だ。私より10才年上の兄は、私が10才の時に両親を事故で失って以来ずっと私を育ててくれた。 兄は私を育てるために大学をやめ、働きながら私を育ててくれた。口癖は「お前は俺の半分しか父さんや母さんとの思い出がないんだから」だった。授業参観にも学校祭にも体育祭にも三者面談にも、いつも兄が来てくれた。周囲のおばさま方の中で、明らかに兄は浮いていたが、それでもいつも兄は会社で休みをもらって学校に来てくれた。初めて作った料理とも言えないようなものを、「美味しい」と言って全部食べてくれた。仕事で疲れているだろうに、家に帰ってきてから私の学校での話を聞いてくれたり、宿題を見てくれたり、学校への連絡ノートも毎日欠かさず書いてくれた。土日も私と遊んでくれて、色々なところへ連れて行ってくれた。そんな兄には自分の時間なんてなかったように思う。友達のを見て、「お団子ヘアにして欲しい、友達のお母さんならやってくれた」とわがままを言った時慣れない手つきで一生懸命作ってくれたのに「こんなんじゃない、お母さんに会いたい」と兄をなじってしまった。 兄はそれを聞いて「ごめん」と泣き出してしまった。あの姿を思い出すたびに、兄も両親を事故で失った子どもだったんだと今でも泣きそうになる。 その兄が、1年前両親と同じように事故で突然この世を去った。兄が死んだ時、私は兄が両親を失った時より1才年上だった。兄はこの状態でまだ小学生の私を育ててくれたのかと思うとそれがどれだけ大変だったかと思って涙が出る。兄は私がいたせいで友達と遊びにも行けなかった。恋人も、出逢う暇さえ私が奪ってしまったんだ。たくさんたくさん「ごめんなさいとありがとう」も言えないままだった。 「ちゃんと幸せになれ」っていつも言ってくれたけど、兄の幸せはどこにあったのだろう。今も考えてる。もう兄に何も返すこともできないけど、兄のおかげでここまで来れた人生、恥ずかしくないように生きられるように頑張ろうと思う。 お兄ちゃん、天国で見ててね。今からでもお父さんとお母さんに甘えてるといいな。 |
犬山市立城東中学校
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