最新更新日:2024/06/13
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そろそろ熱中症に注意。睡眠時間の確保もしっかりと!

ちょっといい話 2月12日(金)

泣ける映画と本のホームページより

   男の手   

 俺に父はいない。俺が生まれるずっと前に癌にかかり、妹が生まれて暫くしてから亡くなったらしい。
 俺と妹が小学生になったある日。学校から帰ってのんびりしているときに隣家で火事、あっという間に俺たちの家に火は燃え移った。母は仕事でいなかった。妹の手をとり部屋から脱出しようしたが、ドアノブが火の熱によって溶かされて出れそうにない。(このとき俺は右手を火傷した)部屋は二階だし、窓から脱出しようにも出来ない。俺は助けが来るまで、熱から妹を守るため、布団で妹を包み必死にだきしめた。ただ、俺も妹も限界に近い・・。そんときだった。誰かが俺の体を包み込んだんだ。
 俺たちは無事助かり、どういう経緯で家から脱出したかは覚えてはいない。ただその時、微かに覚えてるのは、助かったときに見たグシャグシャ泣き顔の母の顔。それと、あの火事のなかで聴こえた「手、痛いだろ・・偉いぞ。男の手は、愛する人を守るためにあるんだ。」ていう言葉と、ずっと、誰かが抱きしめててくれたこと。確かその人は、坊主頭でちょっとたれ目、左目の下には傷痕があった。
 後々大きくなった俺たちに、母から父の手紙をもらった。それに俺たちが生まれて間もない頃の、家族写真が何枚か入っていた。写真の中で笑う父は、坊主頭でちょっとたれ目、左目の下に傷痕があった。薄くて誤字だらけの手紙は読むのがやっとで、手紙の最後にはこう書かれてた。「男の手は、愛する人を守るためにあるんだ。あの世にいっても、俺は家族を守る。」
 俺はもうすぐ父親になる。妻と、生まれる子どもをこの手で守っていくよ、あなたを見習って。
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