第1回は、5月11日10時〜12時です。講師は『田中博史先生』です。田中先生は算数科教育の第一人者です。算数の授業を通して、学級経営や子どもとの接し方を学びます。ふるってご参加ください。

【1/10 秋田喜代美先生1】

 東京大学教育学研究科教授の秋田喜代美先生にご登壇いただきました。
 今回は「子どもがつながる授業、質の高い学びのある授業をめざして」という演題でご講演され、子どもがどういう大人になるかを見据え、幸せでより良く生きるための方法を考えるということ、そのためにどうするかをパワーポイントや実際の授業映像を使って語っていただきました。
 秋田先生がご自身の目で見られた実践を熱く語ってくださり、教師がどのように子どもとつながっていくかを深く考えさせられる、とても学びのあるセミナーとなりました。その内容を紹介します。
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【1/10 秋田喜代美先生2】

 まず、「質」の高い学びについて話されました。
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 子どもの経験から考えると教育の質には二つの次元がある。
・「安心・居場所感でつながっている」次元
・「文化的価値ある対象に夢中になれる」次元
 そのために、様々な授業方法を持ち、目の前の子どもに合わせて、もっともよい授業方法をとることが大事である。そして、質の高い学びのための保障が必要である。
 それは、
1 参加の保障
2 対話の保障
3 共有の保障
4 多様性の保障
5 探究の保障
 である。この五つを継続的に行うことでさらに学習が深まっていく。
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【1/10 秋田喜代美先生3】

 次に、具体的な授業デザインについて話されました。
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 質を深めるための手立てとして
1 誰もが参加し良さを認め合う
2 学びを深め創り出す
3 思考や理解を吟味する
 ということがある。
 さらには、いい教師や上司は「待つ・聞く」ことが必要であり、子どもがゆっくりと他の子どもの発言を聞き考えたいときに、子どもの様子を観ずに、話も聞かずに教師が話をし続けてはいけない。教師も、子どもを待って観る間が大事である。例えば、落ち着いている教室には「あいづち、自然な拍手、つぶやき、相手を見ながらの言い方や聞き方」などの特徴がはっきりと見られる。

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【1/10 秋田喜代美先生4】

 そして、「どの学年でも挑戦のある学び」をしてほしいということで、そのための「課題」の一例を紹介されました。
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 ほとんどの子が夢中になっていても、一部の子どもがうまく課題に取り組むことができていないことがある。常にすべての子どもが満足することは難しいが、その中からも得ることがある。失敗して立ち止まったとしても、そこから、さらに学ばせることでさらなる成功につながることもある。
 そのために、「課題」を工夫し、手立てを考えていくことが必要である。しかし、東京大学付属中学校でも協働学習を10年取り組んでいるが、今でも不安を抱えながらやっている。必要なのは、その不安の中身を明らかにしながら、良さを考え、授業に取り入れていくことが大切である。

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【1/10 秋田喜代美先生5】

 最後に、授業を良くしていくための「学校間や教師の意識の高まり」の大切さをお話しされました。一人でできることは限られているかもしれないが、多くの人と協力し、より良い授業を作り上げていこうという意識を高めることで、次第に良いものが全国に広がっていく。それができる日本の教育界の素晴らしさを強調されました。
 秋田先生の講義を聞いた教師が、これまでの自分の授業を見つめ直し、より良い未来を築くことができるのではないか、そんな事が思える、学びの多いセミナーでした。
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【11/8 和田裕枝先生5】

受講された先生方のお声の一部を紹介します。

・子どもを大切に、子どもの考えを生かす授業が学べました。
・算数の授業の組み立て方を基本的な所から学ぶことができた。
・算数の授業づくりに悩んでいたので、とても晴れやかな気持ちです。問題文と図だけから、子どもの実態を第1にして、教材研究する。とても大切な視点を得ました。
・2つめの授業例は目から鱗だった。児童の実態を見極めそれをもとにして、組み立てを考えることの大切さや振り返りの時間を確保することの大切さを改めて実感することができた。
・和田先生の一人ひとりの子どもに声をかける細やかな教育技術をみることができ、大変参考になった。
・学級全体で授業を進めていくための、子どもたちの指名の仕方・発言、作業のさせ方等、運営の方法についても分かったことがたくさんあり良かった。
・和田先生のはきはきとして話し方と笑顔に元気づけられる時間でした。
・和田先生の講演を拝聴したのは2度目でしたが、一貫されたお話で本日も勉強になりました。

算数の授業の組み立て方や教材研究の仕方に加え、子どもへのはたらきかけ方や接し方を学ぶことができました。クラス全員が活躍し、全員で作り上げる授業を教えていただきました。
当日はもっと多くの具体例を出し、きめ細かく説明をされました。あっという間の2時間。和田先生、ありがとうございました。
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【11/8 和田裕枝先生4】

 セミナーの後半では、まず、受講者の先生方に5年「整数」の単元を使って授業の流れを考えてもらいました。その上で、和田先生に模擬授業を行っていただきました。
 
【問題】
たて6cm横8cmの長方形のタイルをならべて、正方形を作りたいと思います。1辺の長さは何cmになりますか。

◎指導のポイントをまとめてみました。
・教科書の表記の「できるだけ小さい正方形」を抜いて問題提示をする。これにより、できるだけ=最小公倍数ということを子どもが発見できるような授業展開にする。
・長方形の具体物を並べ、正方形を作る。1辺が24cmの正方形だけでなく、1辺が48cmの正方形も作り、1辺が72、96・・・cmの正方形もできることを予想させる。できる正方形が一つでないことを気づかせる。
・集団解決の中で、72cmの見つけ方を発表させ、48cmや72cmを公倍数として認識させる。
・1辺が24cm、48cm、72cm、96cm・・・となる正方形の中で、できるだけ小さい正方形を選ばせる。「できるだけ」という条件を後から付け加えることで、スモールステップの授業展開にする。
・適用題として100cmに近い正方形はどれか選ばせる。
・最後にできるだけ小さいということが最小公倍数だということを気づかせる。
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【11/8和田裕枝先生3】 45分の流れを決めるポイント

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当日は、L字型の図形の求積を例に授業の流れを決めるポイントを教えていただいた。

1 まずは、問題文と図から児童の実態を予想する。

2 導入段階でやっておくことを決める

3 自力解決(机間指導)で集団解決への力をつける

4 集団解決で新しい学びを身につけさせる

5 振り返りで達成感をもたせ、次時につなげる
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【11/8和田裕枝先生2】 45分の授業モデル

1 導入(7分程度)
2 自力解決=机間指導で個別指導(5分程度)
3 集団解決(20~23分程度)
4 振り返り(10分程度)
(1)適用問題を解く
    自力で解くことで本時の問題に対する力をつける。
(2)本時の課題に対するまとめをする
    「書く」ことで論理的思考の習慣化
    本時の問題を通して、補完、仮定、一般化などの数学的思考の習慣を身に
    付ける。
ポイントは、振り返りの段階で概念形成の段階まで伸ばすことである。振り返りを10分間確保できる授業はなかなかない。しかし、この時間は個に応じて能力を伸ばせる時間帯である。得意な児童はたくさんの学びを35分の間にみつけ、次々にいかせる。もし直角じゃなかったら、もし割り切れなかったら、などと条件を変えて考える力がつけば、学級全体の学び合い(23分程度)の濃度が変わってくる。
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【11/8和田裕枝先生1】

 豊田市立小清水小学校、和田裕枝校長先生、本セミナー3回目のご登壇です。今回は、「45分の授業モデルを作ろう―児童の考えをもとに組み立てる授業―」という演題でご講演いただきました。45分の授業モデルや5年「整数」の単元を使った授業の流れを、模擬授業を交えながら語っていただきました。授業の組み立て方や教材研究の仕方、授業での子どもへのはたらきかけ方などを教えていただきました。とても内容が濃く、学びの多いセミナーでした。
 セミナーの様子は【11/8和田裕枝先生2〜5】、アンケート結果は、ここをクリックすると見ることができます。
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野口芳宏先生セミナー7

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その後、道徳教育の流れについてお話いただき、最後に道徳の模擬授業をしていただきました。

道徳の模擬授業では、「ハンガー」の絵を使い、上からみたら一本の棒。しかし、横から見たらハンガーに見えることから、ものの見方によって見え方が変わる。見方、考え方、受け止め方・・「観」についての授業でした。

同じ事態にぶつかって、それをどう観て、どう考え、どう受け止めるかで大きく変わってくる。

「観」を磨くことで幸せになるし、立派になるし、楽しく暮らせると思う。逆に「観」が乏しいと貧しい人生しか送れなくなる。

「私の道徳は、価値をはっきり教える。ぼかさない。」

今回のセミナーも心に残る言葉があふれていたセミナーでした。

野口芳宏先生セミナー6

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【午後の部2】 野口流「道徳」の授業 道徳の教科化に向けて

道徳授業についての野口先生自身の基本的な考え方・教科化及び評価についてお話していただきました。

「特定の価値を押しつけていけない」という考えが非常に広まっている。
しかし、「基礎基本の本質は変わらないということ。」変わったら基本でない。

義務教育の間は、「是は是。非は非。」を教えるべきである。これが私の基本的な考え方である。

国語の学力が無くて、世の中を乱すことはない。
しかし、道徳の落ちこぼれは怖い。
道徳の落ちこぼれは、世の中を不安に陥れる。

しかし、その道徳教育の効果が発揮されていないことを残念に思う。

野口芳宏先生セミナー5

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子どもは経験もなければ、知識も浅い。
もっと質の高いものに出会わせて、「あぁ、そうなんだ」って思わせて少しずつ成長させていく必要がある。

今言語活動は重視されている。

しかし、学校ではしゃべるのをやめなさいという。静かにしないと・・と。それでは充実していかない。言語活動の充実と言うのは、短い言葉ででき書くに無駄を省いてしゃべらせることだ。

野口芳宏先生セミナー4

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その後、野口先生からご指導をいただきました。

活動があって指導がない。活動が長すぎて、何をいっているのかが分からない。では何をしたらいいか。話す指導である。
「お前の話は長すぎる。今の3分の1ぐらいでいってみろ」
それだけで短い言葉で的確に言う指導となり、子どもが変わっていく。

野口芳宏先生セミナー3

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【午後の部1】 会員による実践発表 中学2年「言葉の力」

「言葉の力」という教材を使って、一文の言いたいことをグループで話し合って考えさせ、要約させるという授業を野口先生にみていただきました。

野口芳宏先生セミナー2

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言語活動には、公的言語活動、私的言語活動があるが、意識的、意図的、目的が入らなければ上達しない。

書かれていることは、現象、会話、事実。書いてあることを元にして、書いてないことを合理的推論する・・それが鑑賞。そして、物語の深層義を読み取る・・これも鑑賞。

子どもの頭に漢字のイメージがあって、ノートにひらがなで書くことが書字力。声に出して読むのが読字力。読字力が大事。

今よくあるのは、辞書をひかせる。これを下りの指導という。書いてかんがえさせるのを上りの指導という。抽象的な言葉は大事。抽象語をおさえることが学力。

学力形成に必要なことを、模擬授業を通して教えていただきました。

「教材を深く味わうのは第一義。これを通して教材内容をきちっと教えていくと、それは次の教材に生きるようになる。」


野口芳宏先生セミナー1

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【午前の部】テーマ 国語力形成法 物語文 「海のいのち」の模擬授業を通して

今回は、模擬授業の形を取りながら、読解力、観賞力形成の話をしていただきました。
「教材内容」と「教科内容」の違いをしっかりおさえ、教科内容に関わることを黄色の文字で板書をしながら、「学習用語」をしっかり押さえる模擬授業をしていただきました。


横山浩之先生9

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「虐待」は何を思いつく?身体的?それだけではない。普通は、「児童の心身の正常な発達を妨げるような・・・」と説明されるが、朝ご飯を食べさせないも、立派なネグレクトである。来ている服が汚い、これもネグレクトである。心理的虐待は、言葉の暴力や無視も含まれる。問題は、虐待を受けている子は人を信用すると思うか?しない。ここで失敗するので、しつけられない。たとえば、高学年のクラスを受け持って、女の子がグループ化して、影で男の子をいじめたとする。その場合、いじめる側には虐待を受けていた子が多い。その子に、「・・しなさい」ではだめ。いかにしつけるかではなく、いかに人を信用させるかが対処法となる。今は、そういう子が多い。

横山浩之先生8

私が授業案を作成するときに心がけていることは、子どもが情報を得るところから始める、最初には、誰でもできることから始める、子どもの作業をできるだけ多くする、できるだけ説明しない、評価の問題。特別支援が必要な子には、教育目標が異なってもよいと考えている、子どもの反応は予測できない、クライマックスとなる発問は一つに絞る。
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横山浩之先生7

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変化の繰り返しで、できる子はわかってしまう。ここで歩き回っているは、先生役をしている。できる子が得をする仕組みだ。このクラスは、今まではできる子が活躍したことがない。できる子を不満だらけにしておかないためにこうした。
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