課題で意識したい要素

総合的な学習や社会科の調べ学習などで、子どもたちに考えることや達成感を与えることを意識した時に、課題に求められる要素について少し考えてみたいと思います。

1つはリアリティです。あまりに抽象的であったり、子どもたちに身近でないものを課題にしたりすると、ただ何となく調べて終わってしまいます。子どもたちがある程度知っているもの、興味を持っているものを対象にすることが必要です。わかりやすい例で言えば、地下鉄が走っていない地域で地下鉄をテーマにした学習をしてもピンときませんね。もし、地下鉄をテーマにするのならば、地下鉄に興味を持たせた後で、「私たちの町に地下鉄がない理由を考える」「地下鉄をつくるための条件を考える」といったものにする必要があります。
また、課題がただ学級のみんなの前で発表して終わりであれば、子どもたちにとっては発表することが目的になってしまいます。活動にリアリティはありません。自分たちが実際に調べて考えたことを外部の大人に聞いてもらう、提案するといったことが必要です。大人に講評してもらうだけでも、子どもたちにとってリアリティが増し、達成感を味わえます。そのためにも、子どもたちが考えたり判断したりすることが課題に含まれている必要があります。自分たちはどう考えたか、○○は△△であるかどうか、○○するためにどうするかといったことを問うのです。

もう1つは、課題の中に友だちとのかかわりが必要になる要素を加えておくことです。グループの発表であれば必然的にかかわるのでよいと思えますが、一つ間違えば、一部の子どもが仕切ってしまい、他の子どもはあまり考えることなくその子どもの指示に従っているといったことになってします。あらかじめいくつかの役割を明確にして個人に責任を持たせたりすることが必要です。その上で、グループとしての統一を求めるのです。個人で責任を持った上で、グループ内でかかわり合う必然性をつくるのです。
課題が個人での作業であっても、発表やまとめをグループ単位で行うといったやり方もあります。発表グループで発表の順番を決め、個々の発表時間や、同じ内容があればどちらかにまとめるといった調整をする。個々の作業の結果をグループで一つの紙にまとめるといったことをさせることで、より深く考えることになります。

また、発表に具体的な条件、目標をつけておくことも有効です。時間制限をつけるといったわかりやすい条件や、聞き手にどうなってほしいといったことを決めておくのです。これを活かすためには、中間発表を組み込むことが必要です。時間がなければ、いくつかのグループを組みにして聞き合ってもよいでしょう。中間発表で失敗すれば、一生懸命修正しようとします。友だちのよいところをまねしようとします。具体的にどうすればいいかわからなかった子どもには、友だちの発表がヒントになります。1回勝負では、失敗を挽回する機会がありませんし、友だちから学んだことを活かすこともできません。
中間発表を考え直す機会とするために、評価基準となる条件や目標を明確にしておくのです。

こういった要素は、総合的な学習や社会科の調べ学習だけでなく、他の教科でも有効なものです。課題を考える時に、このような要素を意識することで、子どもたちにより深く考えさせ、達成感を持たせることができるようになると思います。
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