活動のつながりを意識する

授業を見ていると教師が話をしているのに、子どもの視線が教科書やワークシートに向いていることがよくあります。プロジェクターや電子黒板で教科書を映している時でも同じような光景を見ることがあります。このような場合、教師の指示や活動の順番が間違っていることが多いように思います。

教科書の○○ページを開きなさいと指示した後、教師が説明を始めても一度教科書に移った子どもの視線はすぐには戻りません。教科書を開けば、誰しも何が書いてあるだろう、今日は何を学習するのだろうと気になります。気にならない子どもの方が心配です。それをそのままにして話をしても子どもの注意は教師に向かいません。少なくともいったん顔を上げるように指示して、全員の顔が上がってから話し始める必要があります。それよりも今見る必要がないのに教科書を開いたことが問題なのです。もし、プロジェクターや電子黒板で教書を映すのなら、手元の教科書を見る必要がありません。そもそも大きく前で映すのは子どもの顔を上げさせるためです。手元の教科書を見ることが必要になった時に、開くように指示をすればいいのです。

ワークシートを配るタイミングも同様です。ワークシートの説明するためには手元にあった方がいいと思うかもしれません。しかし、手元にあればやりたくなります。それを我慢して説明を聞かせると、子どもはおあずけ状態に置かれます。気になって落ち着きませんし、顔も上がりません。子どもが集中して聞いているか、理解できているか、子どもの反応から確認することもできないのです。
ワークシートを配らずに、できれば実物投影装置を使ったり、もし環境がなければ拡大コピーしたものや板書を使ったりして説明した方がずっといいのです。説明が終わって、「じゃ今から配るから、名前を書いたら始めていいよ」とすれば、配られてすぐに取り組むことができるので、おあずけ状態になりません。

子どもたちに指示した活動に対して、その次の活動はつながっていることが大切です。教科書を開いたのなら読む。ワークシートが配られたのなら取り組む。この間に直接関係のない活動を挟まないようにするだけで、子どもの動きが滑らかになり、集中力が増します。このことを意識してほしいと思います。

全員が活動することを意識する

子どもたちの活動量を確保したいと考えると、全員一斉に活動することが一番確実に思えます。一斉に音読する、一斉に答える。こうすることで全員が同時に活動するのでムダがありません。しかしいつも全員で同じように活動できるわけではありません。音読も1人で読もうとすることで、全体で読むより集中して力がつくという側面もあります。そのため順番に音読させるというのもよくある活動です。問題は音読していない子どもが活動しているかどうかです。きちんと教科書を目で追い、友だちの音読を聞いていることが求められます。読み終わった子どももが気を抜かないようにすることも意識しなければいけません。音読していない子どもにとってムダな時間にならないようにすることが大切です。同じことではないにしろ全員が活動することを求めなければなりません。誰かが発表する時には、全員がきちんと聞いていればムダなく活動しているわけです。数人の子どもが活発に意見を交わしているが、他の子どもは議論についていけなくて参加できなくなっていることもよくあります。一見活発で子どもたちが活動しているように見えても、ほとんどの子どもの活動量は確保されていないのです。

一斉の活動でない場合は、それぞれの立場での活動を明確にしておき、きちんとできているかを確認することが大切です。先ほどの音読の例であれば、聞いている時に何をするかを指示しておくのです。例えばどこを読んでいるか指でなぞるように指示すれば、参加できていない子どももすぐに見つけることができます。誰の読み方がよかったかを注意して聞くように指示をして、最後に指名して確認するといったやり方もあるでしょう。
子どもたちの意見を聞く場面であれば、次々に意見を聞くのではなく、必ずその意見に対しての発問をするようにすると、子どもたちに聞く必然性が出てきます。よく聞くようにという指示だけでは、なかなか集中して聞きません。自分の意見と違うなら、まだ指名のチャンスがあると挙手しようとうずうずしたり、自分の意見と同じだと思ったら指名されるチャンスがなくなったとがっかりして集中力を失くしたりします。「今の意見に対してどう思う?納得した?どこで納得したか聞かせてくれる」「似た意見の人、どこが同じか聞かせてくれる」「ちょっと違うよという人、どこが違うか聞かせてくれる」というように、その意見を聞くことが必要になる発問をいつもしていれば、子どもたちに聞く必然ができ、集中するようになります。英語であれば、”Do you 〜?” と個別に質問して答えさせた後、答に応じて一斉に”He(She) 〜.” “He(She) doesn’t 〜.” と言わせたり、”Does he(she) 〜?” “What does he(she) 〜?” と質問したりすると聞く必然性が増します。

子どもたちの活動量を確保することを考えるのであれば、指名された子ども、代表となっている子ども以外の子どもたちに明確な指示を与え、その必然性を与えることや確認することが大切になります。全員が活動することを常に意識してほしいと思います。
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