思いの深さと実現力

昨日は学校改革に成功した私立高校を訪問して、校長先生からお話を伺いました。

一番に感じたのは、子どもたち、学校への思いの深さです。「子どもたちを育てたい、学校をよくしたい」という思いがなければ学校はよくならない、という当たり前のことをあらためて実感しました。
しかし、思いだけでは学校は変わりません。それを実現するためにとった行動が素晴らしいのです。

「するな」の指導ではダメ。内面を育てれば自然に変わる。

地域に出て行って触れあうだけではダメ。地域によい影響を与えることが大切。それが子どもの自己有用感につながる。

教師に思いを持たせる。その思いを実現していくことで教師が育つ。

子どもたちの姿を見てもらうことが学校のよさを伝えること。

挑戦を繰り返して歴史と伝統がつくられる

学校をよくするためには思うだけでは何ともなりません。それを現実のものにする実現力が必要です。ここには書ききれないほどたくさんのことを学ばせていただきました。
この話は、後日まとめて記事にしたいと思います。

指導案検討会に参加

研究発表のお手伝いをしている学校で、公開授業の指導案検討会に参加しました。教科単位での検討会でしたが、広い会議室で同時に行っていたので話し合いの様子が比較でき、こんなところにも教科の個性といったものがでるのだなと思いました。

とはいえ、私が目にした指導案は、どれも子ども同士がかかわり合う場面が工夫されていて、子ども同士のかかわりを大切にすることが教科を越えて根付いてきたことを感じました。こんな子どもの姿が見たいという思いも伝わってきます。
いくつかの指導案について授業者と話をしましたが、目指す子どもの姿が明確なので、具体的な発問や活動についての検討も論点がはっきりしたものになりました。

本時の目標につながる活動はどれか。
子どもたちが学ぼうとするにはどういう仕掛けが必要か。
子どもたちにリアリティを持たせるには、どのような教材よいのか。
ペアでの活動を生かすために全体活動で何をしておく必要があるのか。

皆さんと話すことで、私もたくさんのことを学ぶことができました。
検討会が終わった後も、授業のことを話し続けている教科がありました。この学校が目指す姿をそこに見たような気がします。研究発表会の研究協議では授業について楽しくかつ真剣に話し合う姿をきっとたくさん見ることができると思います。私も当日はこの学校の素敵な姿をたくさん皆さんに紹介したいと思います。

会場と舞台をつなぐ難しさ

昨日は市の研修会で模擬授業の解説を行ってきました。200人が参加する大規模なものでした。

この市では初めての試みで、しかも大きな市民会館の大ホールでの模擬授業ということもあり、最初会場の雰囲気は固かったのですが、次第に模擬授業を見ながらいろいろな反応を見せてくれるようになりました。しかし、私の取り回しが悪く、なかなかうまく拾って全体の問題とすることができません。私の視点での問いかけが多く、会場の先生方の疑問とうまくリンクしていなかったのかもしれません。
模擬授業も終わりに近づいたころ、授業者が、ここはどのように進めるといいか、どのような問いかけがいいかを子ども役の先生と相談しながら進め始めました。授業者の先生と子ども役の先生が自然に一体となって授業を考え始めたのです。
これが模擬授業のよさです。会場の先生方も一緒になって考えているのがよくわかります。模擬授業の中で自然に出てきた疑問や課題であったので、会場全体に広がり、舞台とつながっていったのでしょう。

授業者の先生と子ども役の先生のおかげで、授業をみんなで考えるよさを伝えることができたと思います。ありがとうございました。
最後に取りまとめの校長先生から、この研修を材料としてそれぞれの視点から各学校で料理してくださいという挨拶がありました。私もこの研修から会場と舞台をつなぐ難しさをあらためて実感しました。よい経験として今後に生かしたいと思います。

ベテランと若手が参加する研修

昨日は終日市主催の授業力研修の講師を務めました。各学校からベテランと若手2〜3名が参加して、その内容を校内に広めてもらおうというものです。若手教師2名が午前と午後にそれぞれ模擬授業を行ってくれました。

私が研修で行う模擬授業は、よいと思った場面、気になる場面があればすぐに止めて、その場面を参加者と振り返ります。今回は基本的なスキルの部分に焦点を当てたかったので、最初の授業はどうしても短い間隔で止めることになってしまいました。授業者にとっては流れが中断してしまうので大変やりにくかったともいます。それにもめげずガッツで最後まで乗り切ってくれた授業者のおかげで、具体的な話ができました。

午後の模擬授業は、1学期に実際にやった授業を再現してくれました。子ども役から出た意見が、教師の予想とはかなり異なったものなので授業者が困って助けを求めるシーンがありました。これが模擬授業のよいところです。このあと、どうすればよいのかを全体で考えることができました。最後に実際の子どもの発表の資料を見せてもらい、教師の考えと子どもの考えの違いがよくわかり、授業者が戸惑った理由も納得できました。

また、授業者はグループ活動に入る前に個人の考えを最低一つは持たせようと個人で考える時間をとっていました。その意図を聞いたところ、グループになった時に聞くばかりでなく話せるようにしたいからということでした。一方では、時間をかければわからない子が自分の考えを持てるようになるわけではない。時間で切るべきだという意見も出てきました。そのとき、わからない子は自分の考えをなかなかもてないので、どこがわからないかだけははっきりさせる。グループでの話し合いは、わからない子が、どこがわからないかを発表して、他の子がそれにこたえることから始める。このことをルールにしていると、自分の実践を発表してくださる先生がいらっしゃいました。この話に参加者全員が納得!! 私自身も大変よいことを教えていただきました。

若手教師のガッツや素直さ、ベテラン教師の実践力。ベテランも若手も参加する研修は、それぞれのよさの相乗効果で、実りの多いものになりました。次回は、私が仕切らずに各グループで授業を検討してもらいます。若手とベテランがどのような化学反応を起こしてくれるのか楽しみです。

やっぱり教師は授業が好き

昨日は中学校の現職教育で模擬授業をコーディネートしてきました。

この学校では模擬授業は初の試みです。先生方も、授業者もどうなるかとやや緊張気味でした。
中学校ですので、参加される先生の教科はばらばらです。教科の特性に影響されやすい、授業の流れより、個々の場面で起こったこととその対応を一緒に考えてもらうことを中心にしました。日ごろ手を焼いている生徒がいるのでしょう、問題のある生徒役の先生はとてもリアルに演じてくれます。思わずこんなシーンあるあるとうなずいていました。

机間指導は何をすればよいのか
友だちの発言を聞けていなかった理由はなぜなのか
指名されていない生徒が答えをつぶやきやき教師の気を引こうとしているときどう対応するのか
教師の発問意図がなぜ子どもに伝わらないのか
グループ活動のあと子どもの発言を引き出すためにどう問いかけるか
・・・

模擬授業から気づいたたくさんの疑問や問題を先生方と考えることができました。

最初かたかった先生方の表情もほぐれ、若手は子どもの立場に立った素直な感想を、中堅は生徒役で迫真の演技を、ベテランはこの問題の原因はここにあるのではないかとさすがの指摘を、授業者の先生は自分の行動や発問の意図を、それぞれの立場や経験に応じた活躍を見せてくださいました。模擬授業を通じて先生方がつながっていくのを感じました。たくさんの笑顔と真剣な表情に、先生は授業が好きなんだとあらためて実感しました。私自身もたくさんのことを学ばせていただいたとても楽しい時間でした。

継続すること

昨日は、授業力アップのセミナーにオブザーバーとして参加しました。このセミナーは先生のグループが自主的に開催しているもので、市教委などの後援はあっても基本的には手弁当の会です。
今年で8年目になりますが、参加者、スタッフの熱気あふれる大変よいセミナーです。新任の参加者が多いのですが、自腹を切ってこのような研修に参加するということは、この市の新任研修が受講者にとって有意義なものであることの証だと思います。(研修嫌いの若手が多い市町も結構たくさんあります)

このセミナーのスタッフには、毎年若手が参加していますが、何年か前に受講者の中に見た顔がスタッフとして成長した姿を見せてくれることはうれしい驚きです。しかも、裏方だけではなく、グループでの実習のリーダーとして進行から受講生へのコメントまでをこなしています。この会のリーダーの先生方がいかに若い先生をフォローし育てているかがよくわかります。

今回は、特に若手がリーダーをしているグループを中心に参観しました。若さあふれる、決して上から目線ではない、参加者とともに学ぶ姿勢が印象的でした。スタッフとして活躍することで、彼らもより多くのことを学んだことと思います。
先日授業参観した若手教師もスタッフとし参加していましたが、緊張している受講者を持ち前の笑顔でほぐしながら、見事に進めていました。この先生の学級がよい状態であった理由がよくわかりました。

余談ですが、雑談の中で、先日の私のアドバイスをすぐに実行して、子どもの変化を手ごたえとして感じ始めているとのことでした。素直に他人の言葉を受け止める姿勢が素晴らしいと思いました。次にお会いする時はより成長した姿を見せてくれることでしょう。

また、毎年新しいことにチャレンジしていることもこのセミナーの特徴です。評価の高さに安住することなく、より高いものを目指すからこそこれだけ会を重ねることができたのだと思います。当然参観する私もたくさんのことを学ぶことができます。このセミナーに欠かさず参加するようにしている所以です。

毎年同じことの繰り返しでは、その先に待つのは穏やかな死です。新しい血を取り入れながら、常により高いところを目指さなければ継続していきません。このことをあらためて教えていただいた一日でした。

読売教師力アップセミナー打合せ

昨夜は、この秋に行う読売教師力アップセミナーでも模擬授業の検討会でした。
授業の内容を検討するときに大切になるのは、当然のことながらゴールはどこかということです。ところが、キャリア教育のゴールが具体的に見えないのです。中教審の資料等を読んでもなかなか明確になりません。キャリア教育とは何か? その話し合いの内容はとても面白く、当日のパネルディスカッション担当としてはこの内容で進めれば成功間違いなしとの確信を持つことができました。
一方、模擬授業の担当者は今頃・・・。
愛知県を代表する2名の先生です。きっと次回の打ち合わせでは我々が唸る案を持ってきてくれることでしょう。いやいや、次回が楽しみです。

模擬授業の楽しみ

昨日は、来週行う研修の打合せを行いました。

この研修は、ベテランが模擬授業をおこない、授業の見方を会場の皆さんと考えるというものです。授業者とは大体の方向性を確認しながら、どう授業をつくるかを話し合いました。この会話のなかに、教材研究のエッセンスが詰まっていました。当日この内容を再現できたらと思っています。

今年は模擬授業をベースにした研修をいくつか企画しました。

気になる場面があればすぐに止めることができる。
やり直しができる。
子ども役から、子どもの視点での意見を聞ける。

などのメリットがあります。
また、中学校などでは教科性が強いため、なかなか他教科の授業について意見が言いにくいのですが、子ども役として参加することで、教科の枠を超えて話し合いに参加できます。

昨日の打合せの結果、どのような授業展開になるかは、実際に模擬授業の場面まで私も知らされません。どのような研修になるのか当日になってみないと予測できませんが、参加者と一緒に私も楽しんできたいと思っています。

子どもたちだけを見る授業参観

昨日訪問した学校では、若い先生方と一緒に授業を参観しました。暑い一日でしたが、子どもたちはとてもよく集中していました。とくに、子ども同士が関わりあう場面では、とてもよい表情がたくさん見られました。

今回は、校内を回りながら、教師の行動は一切見ないで、子どもたちの様子を中心に見ることにしました。教師を見ない授業参観は新鮮だったようです。

どんな場面で子どもたちの集中力が落ちるか?
参加できいない子が復活するのはどのような時か?
わからない子は、どのような行動をとるのか?
指名された後、子どもの様子はどのように変わるか?
教師が机間指導している時に子どもはどのような態度をとるのか?
同じ学級で、同じような活動場面でも子どもの集中度が違うのはなぜか?

こんな疑問を先生方と話をしながらの参観はとてもよい勉強になりました。先生方も自分の授業での子どもの様子はどうなのか、とても気になるようでした。
授業中に子どもを見ているつもりでも、意外に見ていないものです。今回の授業参観が今まで以上に子どもをしっかりと見るきっかけになってくれればと思いました。

また、授業後若い実技教科の先生2名の質問を受けました。
1学期の授業を振りかえって、授業の進め方に関して悩んでいることを具体的に相談していただけました。子どもたちにただ作業をさせるのではなく、考えたり、工夫したりして実習に取り組ませたいという、目指す授業像はとてもよいものでした。それだけに実際の自分の授業とのギャップがとても気になり、またどうしてよいかわからず苦しんでいるようでした。子どもの視点に立って授業の組み立てを考えることで、少し見通しが持てたのでしょう。明るい顔で席を立たれました。

この学校には、2学期もたくさん訪問しますが、若い先生方の授業がどのように進歩しているかとても楽しみです。

うれしい悲鳴

昨日は若手の先生方の授業のアドバイスを行いました。研修主任のお声掛けもあり、15名ほどの希望者がありうれしい悲鳴状態でした。

前回訪問した時は、先生と子どもたちの関係があまり良好でない印象でしたが、今回は子どもたちのよい表情をいろいろな場面で見ることができました。わずか1月ほどしかたっていませんが、子どもの変化は本当に早いものです。特に子ども同士が関わる場面を意図的に作っている学級では、子どもの笑顔をたくさん見ることができました。

先生方と授業後たくさんお話をする機会をいただきましたが、どの先生にも共通しているのが、授業に対する真剣な姿勢とそれ故に生まれるいろいろな悩みです。そんなお話を聞くことで私も大変勉強になりました。先生同士がそれぞれの課題や悩みを共有して、互いに助け合って解決していく、そんな学校になってほしいと強く思いました。

また、子どもたちにわからせたい、理解させたいという思いが強いためか、全体的に先生がしゃべりすぎる傾向にありました。大切なのは、子どもが自分たちで考えることです。そのためには、子どもが自然に考えるような発問、考えるための時間・量を確保することが必要です。先生の一方的な説明と子どもたちの作業だけで終わらない授業を目指してくれることを願って、アドバイスをさせてもらいました。

来週から夏休みです。若い先生方です。部活指導や2学期に向けての準備等で忙しいでしょうが、リフレッシュして一段とパワーアップした姿を秋には見せてくれることでしょう。

先輩が後輩を見守っている学校

昨日は、アドバイスを初めて足掛け3年になる学校を訪問しました。

ベテランの学年主任の授業は、子ども同士がしっかり学び合うとても素晴らしい授業でした。この先生が子ども同士の学び合いを意識した授業へとスタイルを変え始めてまだ2年目ですが、目を見張るほどの進歩が見られます。
よくベテランは変わらないと言われますが、ベテランが変わろうとした時は、蓄積したものがあるだけに、その進歩と変化のスピードは若い人以上です。自分に厳しい先生が、この日の授業に95点をつけられたことを、とてもうれしく思いました。
また、学年の運営の話で、子どもたちと先生の関係作りに力を入れている話になり、2年目、3年目の先生が安心して頼れる存在になっているとおっしゃっていました。この先生に若い先生のことをたずねると、しっかりと答えが返ってきます。日ごろから若い先生のことを気にかけているのでしょう。

7年目の先生の授業も、子どもたちが先生、友だちの言葉を本当に集中して聞く素晴らしいものでしたが、それ以上に、そんな子どもたちの姿に満足せず、ワークシートをどう使うかという次の課題を持って授業に臨んでいたことが立派だと思いました。
授業後、アドバイスをしている時に、サブとして入っている新任とのTTの授業についてのアドバイスを求められました。小規模の学校で、学ぶべき先輩がいない中で苦労をしてきたからでしょう。彼らの役に立ってあげたいという気持ちを感じました。

また、教頭先生が雑談の中で、「2年目の教師に私のネタが盗まれているんですよ」と嬉しそうに話していたのも印象的でした。

先輩が後輩をきちんと見守っている。後輩もそれに答えるように努力をしている。そんな雰囲気の中で、この学校の若い先生は急速に成長しています。この日授業を参観した新人の先生方も、来年にはきっと見違えるような授業を見せてくれることが期待できると思いました。

質問することの意味

昨日は研究会で、この秋の学会発表に関する検討を行いました。

私は授業評価に関する発表を行うのですが、その中で学び合いを意識した学校での授業評価項目の例を取り上げています。その項目に関して、熱心な校長先生から質問を受けました。
一つは「教師の声の大きさが適切か」という項目は保護者にとって評価しやすくまた大切なことであるから、入れてはどうかというものでした。

とてもよい質問です。実はこの項目は意図的に外しています。なぜなら、適切な声の大きさはとても判断が難しいからです。明るく、教室の端まで聞こえるような大きな声がよいと考える方が多いと思いますが、子どもに集中して聞かせるために、わざと声を低くして話す方法もあります。その学校が、その教師がどう考えるかで違ってくるのです。その項目がなくても声の大きさが適切でないと考える保護者がいれば、きっと自由記述欄に書いていただけると思います。それに答えることで、評価ができるのではないかと考えていると説明しました。

また、もう一つの質問が、「子ども同士の学び合いの場面があるか」に対して、自分の考えを持つことも大切なので、「一人で考える場面があるのか」も聞いてはどうかというものでした。これもよい質問です。一人で考える場面というのは大切ですが、考えられない子ども、見通しが持てない子どもにとってはすぐに集中力が切れてしまう場面です。そこで、あえて「一人で考えなさい」という時間をとらずに、最初からグループで活動する考え方もあります。だから、項目に入れていないと説明しました。

この校長先生は「自分が不勉強で」とおっしゃっていましたが、決して不勉強なわけではありません。評価項目を検討して自分ならどうするかを真剣に考えたから生まれた疑問です。質問は、前向きに学ぶ姿勢があるから起こるのです。しかもその質問は、私がこの評価項目に込めた思いに直結するものでした。まだ校長1年目の方ですが、この学校は間違いなくよい学校なっていくと思います。ぜひ一度訪問させてくださいとお願いしました。

学校間での学び合い

先週末は小学校で、熱心な若手3人の授業とベテランの授業研究を中心に参観しました。落ち着いた授業と明るい子どもたちの姿が印象的でした。

ベテランの授業研究には、この学校の先生が隣の学校に声をかけたところ2名の先生が参加されました。このことは特に若い先生にとっては大変意味のあることです。同じ市町の学校でも、子どもたちの気質は違いますし、学校の取り組みも異なっています。先日もある学校で若い先生に、このようにすれば子どもがしっかりと友だちの話を聞く姿が見られるようになると話をしたところ、そんな学校があるのですかと驚かれました。自分の学校だけ見ていてはわからないことがたくさんあるのです。

短い時間の検討会でしたが、子どもたちの様子をこの学校の先生とは違った視点で話してくれました。その観察報告をもとに、グループ活動において役割を決めるべきか、子どもの聞きあう姿勢をどのように作るかについて話をさせていただきました。
他の学校の先生も参加することで検討会の視野が広がり、授業からの学びの質は間違いなく向上します。

このように、授業研究に他校の先生が参加することが最近増えてきました。とてもよい傾向だと思います。しかし、残念ながら小中、中高の交流はまだまだ少ないようです。子どもたちがどのような授業を受けて入学してくるのか、卒業後どのような授業を受けるのか知ることは、今の授業を考えるよい機会を与えてくれます。学校間での学び合いが活発になるように願っています。

ベテランが伝えること

昨日は、ベテラン2名と若手1名の授業研究に参加しました。
子どもたちは明るく、よい姿をたくさん見せてくれました。

授業後、先生方とお話しさせていただいて印象に残ったのが、ベテランの方の今回の授業に対する姿勢でした。ベテランですからいつも通りの授業を見せれば無難に過ぎていきます。しかし、ベテランだからこそ新しいことにチャレンジして若い人に見てもらいたいと、今までとは違った教材を用意して臨まれました。
ベテランが伝えるべきものは、授業技術だけでなく、常に授業改善に前向きに取り組む姿勢そのものであると教えられました。
もう一人のベテランも、以前と比べると確実にそのスタイルが進化しています。
若手の先生も前向きにアドバイスを受け止めることができていますし、確実に進歩しています。
ベテランが授業に取り組む姿勢を伝え、若手がそれを学ぶことで、学校全体の授業改善への取り組みが進んでいくのだと実感しました。

ベテランのチャレンジ

昨日は、授業研究に参加してきました。ベテランの先生の音楽の授業でした。

新学習指導要領で「言語活動」がどの教科でも取り入れられていますが、そのことを強く意識されていました。

合唱でどのように表現したいかを子どもの言葉で発表させ、その言葉をキーワードに音楽表現を考えさせる。
そのことを意識して、ペアで練習する。音楽表現にこだわり、互いにアドバイスし合う。

子どもたちは、驚くほど一生懸命に取り組み、最後の合唱では、誰の目にも明らかにうまくなっていました。
ペアでは、声がしっかり出るように互いの距離を大きく取らせるなど、ベテランらしい細かい配慮も行き届いていました。

ベテランが新しいことにチャレンジした方が、もともと持っている引き出しが多いので、子どもの状況に細かく対応でき、よりよい授業となることが多いように思います。
授業研究の場で、ベテランが今まで培ったものをただ披露するのではなく、新しいことにチャレンジするということは、学校全体の活力アップにもつながります。

ベテランがチャレンジすることが、ベテランのよさを生かすことだと感じました。

授業後も先生の音楽の授業と子どもへの思い、次のチャレンジへの意欲たくさん聞かせていただきました。私自身がたくさんのことを学べた1日でした。

子どもを見ることから学ぶ

昨日は、市の中堅対象の研修会でコーディネーターを務めました。授業を参観してのグループでの検討を中心にしたものです。いろいろな市町や学校から研修をお願いされるのですが、講演は極力お断りして、授業を見ての勉強会を中心としたものを提案させていただいています。この市でもこういう形式で4年目となります。毎回新しいメンバーなのですが、私自身たくさんのことを学ばせていただいています。

学力も高く指示されたことをきちんとこなせる学級での授業でした。グループでの話し合いの後の発表の場面では、本当に多くの子どもが挙手をして発表してくれました。先生はどの子の発言にも否定的なことを言わず、受容的な姿勢で子どもと接していました。そのせいか、子どもたちのテンションも終始落ち着いていました。

授業後の参加者による検討会では、教師の発問や支援といったことよりも、子どもの事実をもとに話す姿たくさん見られました。

子どもたちは書く力はすごくある。けれど、グループの活動では、自分の書いたものを順番に発表するだけで、自分と反対の意見がでていてもそのまま互いに認めて議論にならない。なぜだろう?

非常にできる子が、客観的なことを書いていたが、グループの話し合いで他の子が主観的に書いているのを知って、書きなおしていた。グループにするとこんなことが起こるのだ。

個人の作業で手がつかなかった子が、グループになって友だちの発表を聞いてから、自分の考えを書き始めた。何を書いてよいのかよくわからなかったのが、友だちの発表で分かったのだろうか?

このような話がたくさんされていました。
発問や支援といった教師の行動に注目しても、この「教科」、この「単元」、この「学級」でしか通用しない話になってしまうことが多々あります。どの授業にでも通じることをそこから見つけて話し合うことはなかなか難しいものがあります。また、「自分はこのやり方をしない。自分ならこうする」と思った時点で学ぶことはなくなってしまいます。
それに対して、子どもの姿は、どの授業でも目にする可能性のあることがたくさんあります。その姿は明日の自分の授業でも起こりうることです。また、こういう話し合いをすると、自分の授業での子どもの様子が気になるようになります。そこから、授業の改善すべきところが見えてくるようになります。

授業を見る時は、教室の後ろから教師を見るのではなく、横や前に移動して子どもの姿もしっかり見てください。きっと多くのことを学べると思います。

子どもが積極的になるには

先週、学校訪問の研究授業と学校公開日の2回訪問した学校でのことです。

子どもの積極的な姿をいくつかの授業で見ることができました。

英語の授業でのことです。

教師がペンを子どもに渡す動作を見せて、子どもがその動作を英語で全員が説明する場面です。ペンを渡そうとする様子を見せて未来形、動作をしながら現在進行形、動作終えた後は過去形を使うのです。この間日本語は一切使いません。大人でも真剣に考えないと難しいのですが、子どもは集中して取り組んでいます。子どもが分からなくても、先生は絶対に正解を言いません。何回か先生が動作をするうちに分かった子ども声に出します。すぐに全員が大きな声で答えを言います。とても積極的な態度です。

先生やCDの後について全員が英語を話す場面では、これはほど積極的な姿は見られません。何が違うのでしょうか?

積極的になるには、興味・関心が大切だとよく言われます。また、興味・関心を維持するためには、分かること、できることが大切です。この例では、これにつけ加えて達成感の大きさが大きな要素となっているように思います。
同じ分かる、できるにしても、言われたことをそのままやるのと、一生懸命考えてクリアするのとでは達成感がまるで違います。分かった喜びの大きさの違いといってもよいでしょう。本当に真剣に考えて分かったので、そのあとの発声がとても大きなものになったのです。

子どもたちの積極性を引き出すには課題設定が大切です。子どもたちが一生懸命頑張ってちょうどクリアできるような課題設定はとても難しいのです。また、この課題を個別に取り組ませても、クリアできない子がたくさんになって、積極的になるどころかやる気をなくしてしまいます。
この例のもう一つのポイントは全員で取り組むことです。誰かが発声することで、それがヒントになります。仲間の声を聞くことで答えが分かってきます。友だちの声に支えられて自信を持って答えます。しかも、先生が正解と言わないので、自分たちでクリアした気持ちなります。

個別的な学習では、子どもを積極的にするにはスモールステップを意識しないと全員がクリアできません。学級全体やグループをうまく使って難しい課題にチャレンジすることも、子どもたちの積極性を引き出すにはとても有効な方法になることを再認識させられました。

参考:今回は紹介した英語の授業はGDMという授業法によるものです。

英語教授法研究会ホームページ

映像による紹介
School55.net映像コラム
「指導と評価のワンポイントアドバイス」

学校が落ち着くということ

先週末は、初めての訪問から3年目の学校で終日授業参観をしました。

初めて訪問した時は生徒指導面で大変な時期でしたが、そのころと比べて子どもたちはとても落ち着いて授業を受けていました。特に3年生は1年生の時と比べて見違えるほどよい表情を見せてくれました。先生方が子どもとの関係作りに非常に多くのエネルギーを注いだ結果だと思います。生徒指導で苦労していた時の様子はほとんど感じられません。普通の学校になっていました。

授業を参観していて、授業規律の失われているような学級はなく、指示も子どもにきちんと伝わっています。先生の表情も穏やかです。ただ、残念なのは先生の指示や説明が多く、子どもが受け身になっている時間が長いことです。生徒指導で苦しい時は授業規律を維持するだけでも多くのエネルギーを必要とします。子どもの積極的な活動時間を増やすことは、また、授業規律が緩むのではないかと不安に思うのでしょう。
しかし、学校が落ち着いている今だからこそ、教師と子ども、子ども同士の関わりあいを増やし、互いに認め合うことで子どもたちに自己有用感を持たせるチャンスなのです。子どもたちが学校で過ごす時間の大部分は授業です。その授業で子どもたちに自己有用感を持たせることが、生徒指導上も一番効果的なのです。

「表現力」「思考力」がこの学校の今年のキーワードです。全体会では、仲間や先生との関わりあいの中で、表現する、考える必然性を持たせる工夫をするようにお願いしてきました。先生方はきっと授業改善に向かって新たなチャレンジをしてくださることでしょう。
次に訪問する時が楽しみです。

学校が落ち着くということはゴールではなく、次のステップへのスタートだと思います。

基本がしっかりできていること

昨日は、4年目の小学校の先生の授業を参観しました。

昨年まで大変な学年で、授業中歩きまわっていた子が何人もいると事前に聞かされていました。ところが、見てみると授業規律が確立した、やる気のある子どもたちです。目を凝らして見るのですが、どの子が去年苦労した子かわかりません。

特に印象に残るのが、教師の表情や話し方です。終始にこやかで、教室の隅々までしっかりと指示が届く落ち着いた話し方です。そのおかげで、子どもは安心して授業に参加しています。また、教師が子どもの言葉を聞く姿勢も受容的で、当然教師と子どもの関係も良好です。教材や発問など、授業で考えるべきことはたくさんありますが、このような基本がしっかりできてからのことです。
授業後は、教材や発問、子どもへのせまり方などたくさんの話をすることができました。

若い先生への期待

昨日は、要請訪問の研究授業の参観に出かけてきました。

午前中は、若い先生方と一緒に校内の授業を参観しながら、授業を見る視点と簡単なアドバイスをしました。
感じたことは、一人ひとり授業に真剣に取り組んでいることと、その一方では、いろいろな悩みを抱えていることです。
目の前で起きている子どもたちの事実はわかっても、どうしていいかわからない苦しさを感じました。若い先生方は、こんな基本的なことを相談するわけにはいかないと思っているのかもしれません
「こういう方法もあるよ」というちょっとしたアドバイスにも、みなさん素直にうなずいてくれました。

自分は分かっているからと友だちの発言に関心を示さない子に対して、何もかも先生が説明するのではなく、分かっている子どもに説明させたらいいというアドバイスをしたところ、参加した中の一人から早速4時間目にやってみましたと報告を受けました。
まだ復習の場面ですがと言いながら、分からない子に2人の子が説明することで、分かってくれたとうれしそうに話してくれました。その明るい笑顔に私もとても幸せな気分になりました。すぐに試してみる行動力が、若い人の強さだと感じました。

研究授業は、新任と2年目の先生の授業でしたが、子どもたちとの基本的な関係ができていることを感じさせてくれるものでした。
授業後2人にこういうことができるようになってほしいことをいくつか話をし、最後に、明日からでもできそうなこと、やりたいことを聞かせてもらいました。
1人は、「Iメッセージでほめたい」、もう1人は「ほめる場面をつくって、ちょっとしたことでもほめてあげたい」と答えてくれました。
2人とも子どもとの基本的な関係をつくる「ほめること」を選んでくれたことをとてもうれしく思いました。また、一言も言わなかった「ほめる場面をつくる」ことを気づいたことに大変驚きました。「ほめる」ためには、「意図して」ほめる場面をつくることが大切です。これに気づけるのですから、間違いなく今後力をつけていくと思います。

若い先生は未熟な面が多いことは確かです。しかし、素直に伸びようとする気持ちがあれば、急速に進歩します。彼らにちょっとしたアドバイスや励ましの言葉をかけることでその進歩をより確実なものにすることができます。素直で行動力のある彼らが、この学校をより素晴らしい学校にする原動力になってくれるものと期待します。
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