子どもの挙手を増やすには

ノートを見ると考えや意見が書かれているのに、なかなか挙手をしてくれない子どもがいます。
何が原因なのでしょう。

「合っているか自信がない」
「間違えたら嫌だ、恥ずかしい」

みんなの前で発表するということは、恥をかきたくないというプレッシャーがかかるのです。
自信を与えるためには、机間指導でノートに○をつけて、「いい意見だね」と声をかけます。
発表させたければ、「いい意見だから、みんなに聞かせてあげて」と続ければいいのです。

恥ずかしいという気持ちに対しては、たとえ間違いでも「なるほどね」と認める姿勢が教師や学級にあれば、安心して発表してくれるようになります。

教師のちょっとした働きかけで、子どもは安心して挙手してくれるようになります。

主語を意識する

教師が子どもに話す時、どうしても上から目線になることが多いように感じます。

「よいことをしましたね」

これはほめているのですが、教師が価値判断をして、上から評価しているようにも感じられます。

「よいことをしてくれて、うれしいな」

と、自分の気持ちを付加するとどうでしょうか。
言われた子どもも先生が喜んでくれてうれしくなります。
また頑張ろうと思いますね。

相手を評価する時の主語は「YOU」です。
自分の気持を伝えようとすると主語は「I」です。

次の例はどうでしょう。

「本を開いて」
「問題を解いて」

やさしい口調で言っても、これは命令文です。
主語は「YOU」です。
主語を「WE」に変えると、

「本を開こう」
「問題を解こう」

となります。
「やらなきゃいけない」という受け身から、「やろう」という自発に変わります。

主語を「YOU」から「I」や「WE」に変えることで、子どもの受け止め方は変わります。
主語を意識して話すことで、子どもとの関係をよくしていただけたらと思います。

「考えて」では考えられない

子どもたちの発言内容が不十分と感じると「もう少し考えてごらん」と促すことがよくあります。
もっと考えてほしいと思う場面はよくあるのですが、子どもはどう思うでしょうか。

「今まで一生懸命考えてもわからなかったのに、まだ考えるの・・・」
「考えろと言われてもどうすればいいの・・・」

「考えて」という抽象的な指示では、実際にはなかなか考えることはできません。
「この2つを比べてごらん」「・・・の言葉を抜き出してごらん」のような具体的な指示が必要です。
このようにして問題解決を経験することで、考えるとは具体的にどうすればよいのかを学びます。

「考えて」という言葉の代わりに、考えるための具体的な方法を指示することが、子どもに考える力をつけることにつながるのです。

笑顔は訓練でつくる

私の若い先生へのアドバイスで一番多いのは、「笑顔をつくりましょう」です。
子どもたちに素敵な笑顔を見せてくれる方はたくさんいらっしゃいますが、それでも「笑顔」なのです。

教師の感情は意外なほど顔に出ます。
子どもが間違えたり、ピントはずれなことを言ったりすると、特に若い先生は、とっさにどう対応してよいかわらなくなり、困ったり、戸惑ったりした表情になります。
子どもはすぐに、「ああ自分はおかしなことを言ってしまったんだ」とがっかりして意欲がなくなってしまいます。
こういう時こそ、まずは「笑顔をつくる」ことが大切になります。
子どもは先生に受け止めてもらえたんだと安心しますし、先生にも余裕ができるので次の対応を考えることができます。
普段は素敵な笑顔の方でも、このような場面ではなかなか自然には出せません。
意識して「笑顔を作ろう」としなければダメなのです。
ですから、鏡を見ながら自分の意思で笑顔をつくる訓練をしてほしいのです。
困ったと思ったら、自然に笑顔になるくらい意識してほしいのです。

どんなん時でも教師が笑顔で受け止めることが、子どもとの関係をつくる第一歩だと思います。

子どもを見る

若い先生への授業アドバイスで一番多いのが「子どもを見る」ではないでしょうか。
私自身もよくこのことをアドバイスするのですが、実際にはなかなか子どもを見られるようにはなりません。

子どもを見ることができない先生の話を聞いたところ、「子どもを見てわからない顔をしていたらどう対応していいかわからない。だから、子どもを見るのがこわい」ということでした。
そこで、子どもは授業中にどんな行動をするだろう。
それに対してどう対応するとよいのか考えるようにしました。
その結果、子どもの顔をしっかり見て授業ができるようになりました。

子どもの「何を見る」と「それにどう対応する」をきちんと具体的にしないと子どもを見ることができないのです。

コミュニケーション力は受容力

新学習指導要領でコミュニケーション力が重視されているためでしょうか、コミュニケーションを意識した授業が増えてきたように思います。
ところが、実際の授業では、コミュニケーション力は発信力ととらえて、発表者の視点ばかりを重視されている方が多いようです。
コミュニケーションは双方向です。
発信者がいれば受信者がいます。
発信者の視点に立てば、「わからせよう」という押し付けになります。
受信者の視点に立てば、「わかろう」という受容になります。
人間関係を考えればどちらの視点がより大切かすぐにわかりますね。
ですから、発表の場面でも上手に発表することよりも、よく聞いて理解しようとすることを大切にしてほしいのです。
コミュニケーション力をつけるということは、相手を思いやり、理解しようとする姿勢を育てることなのです。

「正解」は思考停止のキーワード

授業を見学していて私が特に気をつけている言葉があります。
それは「正解」という言葉です。
指名された子どもの発言に対して、教師が「正解」と言った時点で答えがわかるので、子どもは考えるのをやめてしまします。
たとえ正解であっても「なるほど、そう考えたんだ」と受けておけば、子どもはその答えでよいのかどうか考え続けます。
「正解」という言葉は子どもの思考を止めてしまうことと意識して授業をしてほしいと思います。
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