新人がチームとして動けるようになってくる

私たちが担当する企業の新人研修の4日目のようすです。

この日は、午前中は、社内でリーダーが発信しているコラムの大賞を決めるという課題です。審査の基準や決め方もグループで考えます。このことは告知してあったので、事前にそれなりの準備はしていたと思いますが、それに加えて社内にビデオを通じて発表することも課題に加えました。

非常によい雰囲気で検討が進んでいきます。どの新人もしっかりと自分の考えを話しています。グループの中でそれぞれの役割が出てきているようです。それぞれのグループがチームになってきたのがわかります。途中で進捗状況を発表する場面をつくりました。互いに、真剣に他のグループの考えを聞いています。まず候補を出してそのよいと思う理由を共有して審査基準を考えたグループ、予断を廃して審査基準を考えてから審査に移ったグループといった具合に、進め方はまちまちです。このように課題の解決にいたるアプローチがいろいろあることを実感してくれていると思います。
各グループ5分間の大賞発表は、ぶっつけ本番にしてはそれなりに進め方やパフォーマンスを工夫していました。さすがに最近の若者は違うという印象です。審査基準とその過程が明確なもので、私が予想した以上にしっかりしたものでした。これなら、受賞を逃したリーダーも納得してくれると思います。「新人が読みたい、読ませたい」という、自分たちの立場で考えられる大前提を設定したので、やりやすかったようです。課題につけるちょっとした条件がその後の動きに大きく影響するのは授業と全く一緒です。
審査に時間を取られて発表の準備ができなかったことを反省する声もありました。どんないい仕事をしても期限に間に合わなければ意味がありません。限られた時間をどのように使うかも、仕事をする上で大切な要素です。このことに気づいてくれたようです。

午後からは、翌日のプレゼンテーションの準備です。1昨日に決めた分担に沿って2人、2人、8人のグループで作業をしています。発表は個人ですが互いに相談しあう姿が見られます。この日は作業だけで終わるのではなく、中間発表をする時間を取りました。この中間発表でどれだけのことを互いに学んでくれるかが研修の勝負所です。自分の発表の準備に追われて集中できない新人がどのくらいいるだろうかと見ていましたが、仲間の発表を自分のこととして真剣に見ていました。彼らの素晴らしいところは、聞くことをとても大切にできることです。この姿だけでも、この研修の目的が達成されていると思えます。
面白かったのは、ほとんどの新人が問いかけたり、反応を求めたりとインタラクティブな発表をしたことです。この一連の研修が、常に講師が問いかける形で進んでいたことが影響しているようです。ひょっとして仲間の発表を聞いて急遽取り入れた者もいたかもしれません。いずれにしても、新人とは思えない進め方でした。これもうれしい驚きでした。
中間発表ですので途中でも持ち時間の5分が来たらそこで終わりとしました。時間内でどう伝えるかを意識させたいからです。ほぼ全員が時間オーバーでした。
全員の発表終了後、もう一人の講師の方に講評をお願いしました。実にシャープに共通の課題を指摘してくださいます。「時間内で話せない理由は何だろう?」と伝えたい内容を絞ることの大切さに気づかせます。12人で個別に話すが、一連の発表として伝えたいものがあるはずだ。こういったことを伝えます。
この後どういう動きをするかが楽しみです。司会を買って出る者、書記が必要だからと一番端にいるにもかかわらず、前に出てくる者、手で書くよりPCで打ち込んでスクリーンに映した方が効率的だと指摘する者、見事にチームとして動きます。すぐに全体で自分たちが伝えたいことを整理し始めました。一人ひとりがその受け持ちで何を伝えたいのかを発表し、全体とのかかわりを整理します。それこそ侃々諤々、全員がしっかりと参加しています。予定時間を過ぎても納得するまで進めていました。これなら放っておいても自分たちでブラッシュアップできそうです。この後、個人でどう仕上げていくのか楽しみです。これは新人だけで聞き合うのはもったいないと思い、社内の知り合いに発表を聞きに来ていただけるようにお願いしました。きっと素晴らしい発表会になると思いました。
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