中学校の入学者説明会で講演

先日、中学校の入学者説明会で、保護者の方に子どもの中学期をどう支えるかについてお話をさせていただきました。もう何年もこのような機会をいただいています。例年と同じく中1ギャップの話を中心にしましたが、今回は特にLINE等の子どもたちのネット環境にかかわる問題について時間を多く割きました。
毎回ネットトラブルに関することは話題にするのですが、LINEの急激な普及にともうトラブルの話をあまりに多く聞くようになったので、詳しく話をすることにしました。

LINEを含め新しいサービスが普及するたびに、キャッチアップすることは一般の保護者にとってそれほど簡単ではありません。学校や地域が一体となって情報交換する場を定期的に設けることが必要になっていると思います。

携帯電話が子どもたちに普及するとともに、いろいろなトラブルが起こってきました。私が保護者にネットトラブルについてどのような話をしてきたかを書き出してみると、わずかな期間にずいぶんと変化していることに驚きます。

・友だちとの通話
夜遅くまで自分の部屋で友だちと通話している。
何を話しているかわからない。
通話料金が高額になる。

・携帯メール、チャット
1日に何百通もメールをやり取りしている(メール中毒)。
すぐにレスをしないと非難される(仲間外れ)。

・インターネット
出会い系サイトでトラブルに巻き込まれる。
プロフから個人情報が流出する。
裏サイトなどによるネットいじめが目立つようになる。
流出したデータは回収不能(ネットの怖さ)。

・ケータイゲーム
無料のネットゲームにはまる。
先に進めるにはお金が必要になる(無料の落とし穴)。
親のクレジットカードを勝手に使う。
友だちのIDを使ってアイテムを盗むといった加害者になる。

・LINE
グループの閉じた世界で外部から内容が見えない。
簡単にグループから仲間はずれにできる(いじめにつながりやすい)。
既読が相手にわかるので、すぐに返事をしないと非難される(3分間ルール)。
設定をきちんとしないと、電話帳、連絡先がサーバーに吸い上げられる(個人情報の流出)。
IDを使うことで、知らない人ともつながる危険がある(出会い系サイトにとって代わる)。

・何でもネットにつながる
ケータイやスマホを持たせなくても、携帯音楽プレーヤーや携帯ゲーム機でネットにつながってしまう。
家庭でネットにつながらないようにしても、無料WiFiスポットを利用してネットにつながってしまう(ゲーム機を持ってコンビニにたむろする子どもたち)。
ケータイ、スマホを持たせないからといって安心できない。

昨年と違ってほとんどの保護者がLINEのことを知っておられました。改めてネットにかかわる社会の変化の速さを実感しました。今後どのようなサービスが現れ、どのようなトラブルが起こる予想もつきません。すべてのトラブルを未然に防ぐことは不可能です。トラブルにあった時、まわりの大人に相談できずに一人で悩んでしまい、対応が後手にまわってしまうことがよくあります。いつもお話ししますが、子どもと何でも話し合える関係をつくることが大切です。そして、これも毎回のことですが、家庭内で話し合ってケータイやスマホの利用ルールを決めるようにお願いしました。ネットで被害にあうまでの期間は「ケータイやスマホを使い始めて1年以内」というケースが全体の約74%というデータがあります。これからぼつぼつ考えようでは遅いのです。
ネットの問題に限らず、家族で何でも話し合える関係が子どもたちの健やかな成長を支えます。このことを特に強調させていただきました。今回の話が、家族の話し合いの話題の1つになれば幸いです。
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