研究会でPTAと学校の信頼が生まれるために必要なことを学ぶ

先週末は愛される学校づくり研究会に参加してきました。今回のメインはホームページを通じてPTAの立場から学校を応援している保護者と会員である校長との対談でした。

この「PTAの部屋」では、保護者や地域の方へのPTA活動の報告に留まらず、学校への応援、時には保護者の立場で意見も発信されています。もはや学校のホームページの付属ではなく、独立した一つのホームページとなっています。
このホームページの管理を任されるようになったきっかけは、学校のことはすぐにアップされるのにPTAの活動の様子がなかなかアップされないということだったようです。アップされてもタイムラグがあるので、記事の鮮度は落ちます。PTAの関係者は残念に思っていたようです。このことから、皆さんがPTA活動に積極的に取り組んでいるということがわかります。そうでなければ、記事がすぐにアップされないことを残念に思ったりしないからです。とはいえ、PTA関係の窓口で「PTAの部屋」の管理も担当している教頭に、記事を早くアップしてくださいとはとても言えません。教頭がとても忙しいという学校側の事情もよくわかっているからです。非常にバランス感覚のある方たちだということがわかります。
そこで、コンピュータに関する知識もあるので、自分が記事をアップすると学校側に申し出たそうです。学校側としては願ったりかなったりで2つ返事かというと、そうはなりません。負担になっては申し訳ないと、教頭は「気持ちはありがたいが、大変だからやめたら」と返事をします。それでも、管理人となったということは、自分たちの活動をもっと多くの方に伝えたいという思いが強かったということだと思います。PTAの役員以外の方に、PTAの活動をよく理解していただけていないと感じていたのかもしれません。

私もこの「PTAの部屋」を欠かさず見ていますが、管理人が保護者に代わってからしばらくは、PTA活動の簡単な報告が主でした。ポイントは当然そのアップの速さです。管理人が全部の委員会や活動を記事にすることはできません。委員会の担当者にデジカメか携帯で撮った写真を簡単なコメントと共に送ってもらい、それをアップするのです。一方、管理人が直接書く記事は、そのボリュームも内容も違います。そこには単なる報告に留まらず、管理人が保護者に伝えたいことが詰まっています。校長がその思いを発信している。ならば私もと、「学校や子どものことに無関心な保護者に少しでも関心を持ってもらいたい」「自分の子どもしか見えていない保護者にもう少し広い視野で教育をとらえてほしい」と、自分の思いを発信したのです。
これだけでもすごいと感じていたのですが、次第にアップされる記事に変化が見えてきました。ホームページでの学校や校長の発信に対して、保護者の立場でコメントをするようになってきたのです。その理由について校長がたずねます。「先生たちは頑張っている。しかし、学校の頑張り、校長先生の思いが、保護者には伝わっていないと思った」というのがその理由です。学校みずから、自分たちは頑張っているとは言いにくいものです。校長には校長の立場があります。ストレートに言えないこともあるのです。そのことを察して、保護者の立場からバックアップしようとしたのです。すごい保護者です。でも、それだけではこのような発信にはつながりません。学校が頑張っているからこそ、校長がその思いを発信しているからこそ、そのことを受け止めバックアップをしてくださるのです。学校と校長への信頼がなければ、このようなことは起こりえないのです。我が校にもあのような保護者がいればと思う校長もいるでしょう。たまたまこの学校に保護者としてこの方がいたから起こったことなのかもしれません。しかし、記事の内容が変わっていったのは必然なのです。このことは、この後の記事の変化にも言えることです。記事は学校に対する応援という側面が強くなっていくのですが、保護者の視点からの学校への意見や要望といったものもアップされるようになっていきます。これは学校批判とは違います。学校が自分たちの意見や要望を聞く耳があると思うからこそ、信頼しているからこそ発信できることなのです。たとえ要望したことが「難しい」と実現しなくてもそのことを真摯に受け止めてくれれば納得できるのです。学校とのやり取りの中で、そのような信頼が育ってきたのです。

発信を続けるにはエネルギーがいります。そのエネルギーはどこから来るのでしょうか。保護者からの反応は予想したほどではなかったそうです。しかし、真剣に学校や子どもと向き合っている保護者からは反応があったそうです。使命感といったものが強いのではという話の中で、会場から「面白くなければ続かない」という意見がでてきます。確かにその通りでしょう。自分の考えを受け止めてくれる、それに対して保護者や学校も反応してくれる、このことは理屈抜きに面白いことだと思います。明言を避けられましたが、きっとそういう手ごたえがあるから続くのだと思います。

では、この保護者が学校からいなくなったら、校長が変われば、「PTAの部屋」はどのようになるのでしょうか。おそらくは別の形になっていくと思います。それでいいのです。今の形に縛られる必要はありません。その時、そこにいた人たちでつくっていけばいいのです。
しかし、このような発信が起こった要因を人の問題だけに帰してはいけないと思います。校長が赴任してすぐに、新しいことを始めたいとPTAに相談し、そこで決まったことを即実行したことに驚いたと話されました。保護者からこのような発信が起こってきたのは、まず学校が、校長が保護者を信頼して相談したこと、聞く姿勢を見せたこと、そのことを素早く実行したことが、その根底にあったのです。
PTAに対して、学校で決定したことを協力してほしいとお願いするだけでは、やらされている感しか残りません。「困っているから一緒に考えてほしい」と互いに寄りそう姿勢を見せて初めて、共に子どもを育てるという協力関係が生まれます。このような関係があればこそ、保護者向けのネット講習会(「地域の枠を超える動き」「PTAや地域と学校の信頼が育つ様子を見る」参照)といった企画が可能になるのです。

今回の対談は、ホームページを通じてのPTAの発信のことだけでなく、PTAと学校の信頼関係が生まれるために大切なことを教えてくれました。
とてもよい学びをすることができました。去り際に「○○○○な校長をよろしく」という言葉を残されました。この言葉にPTAと学校の強い絆を感じました。

この後、来年2月のフォーラムについての準備や検討が行われました。着々?と準備は進んでいます。もうしばらくすれば、詳しいことをお知らせすることができると思います。参加を検討されている方、今しばらくお待ちください。

この日も充実した研究会になりました。皆さんに感謝です。
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