文部科学省の内部勉強会に参加

先日、文部科学省の内部勉強会に参加してきました。「学校運営の改善に関する取組」委託事業の一環で、学校評価実施状況調査の分析をもとにした、学校評価を活かすための取り組みについての報告でした。
基礎資料は自治体単位で集計した資料なので、個々の学校の取り組みが具体的には見えてきません。しかし、自治体がどのような取り組みをしているか、その中で有効と思われることは何かを見ることで、浮かび上がってくるものがありました。

学校評価に対して効用感を持つ自治体では、学力調査、運動や体力調査などの客観的にとらえやすいものを指標にしている割合が高いようです。これは納得できます。指標を向上させるための手段も考えやすいので、効用感が高いのでしょう。
一方効用感の低い自治体では「結果の活用」を課題としている事例が多いようです。評価止まりになっていては効用感が低いのは当然です。評価指標は、その改善方法が見えるもの、また見つけるための方法があるものでなければいけません。たとえば「学校を信頼できる」といった項目を指標とした場合、何をすれば信頼度が上がるかをわかっていなければ、低い値が出ても改善のしようがありません。わからなければ、「学校を信頼できると思うのはどのような時か」といった改善のための方法につながる情報も集めておく必要があります。活用を意識したものにまだなっていないということでしょう。
また、効用感の高低は改善の手立てを話し合ったかどうかが一つの分かれ目ということも報告されました。当然と言えば当然ですが、改善点を学校全体の問題だととらえ共有することは学校評価を活かすための基本だと思います。逆に言えばこのことができていない学校があることの方が驚きです。言われたからやっている、そういう受け身の姿勢が透けて見えます。少なからぬエネルギーを使うのですから、活かすことを考えてほしいと思います。

学校関係者評価について効用感が高い自治体では、評価者が学校に行く回数が多く実際に現場を見ている事例が非常に多いようです。学校をしっかり見ているから信頼性の高い評価ができるし、信頼性が高いから参考にしようとする気持ちも生まれます。このことも大切なことです。

学校評価に関して効用感の高い自治体では、設置者自身で学校評価の分析や指導主事等による専門的な指導を実施している例が多いようです。パンフレットや手引書・ガイドラインなどの学校評価を進めるための取り組みと効用感の関係は薄く、結果を使っていかに学校を改善するかが問われてきているということでしょう。
いくつかの自治体の取り組みも紹介されました。指導主事や外部のアドバイザーが学校の改善について指導しているということを聞いたときに、やらなければいけないというプレッシャーをかけているようにも感じました。私のように学校のアドバイザーとして活動している者の視点では、学校が自主的にアドバイスを求めなければ効果は薄いのではないかと思います。自らの学校経営を考える中で自然に学校評価が意識され組み込まれていくことが理想でしょう。学校評価をうまく活かそうと考えれば、今の時代、情報はいくらでも手に入ります。その意識のある学校は外部から働きかけなくても、自ら情報を求めて学校評価をうまく活用しているのではないかと調査を担当された方が話されました。確かに私のまわりでは、積極的に情報交換する学校が多く、よい試みはすぐに広がっています。
具体的な取り組みの方法を紹介することよりも、学校経営において学校評価がいかに大きな武器になるのか、そのことを知らせることが大切なのかもしれません。愛される学校づくり研究会の過去のフォーラム(「愛される学校づくりフォーラム2012 in東京」、「ライブ感のあるパネルディスカッション(愛される学校づくりフォーラム2012 in 東京 午前の部)」参照)もそのことを意識したものでした。

今回の報告は、しばらくすると文部科学省のWEBサイトにアップされると聞いています。興味のある方は是非そちらをご覧ください。
日ごろは学校現場で活動しているので、学校評価も個々の学校や自治体での取り組みを見ることが多く、点や線でしかとらえることができません。今回のように全国レベルでの自治体の取り組みという、面でとらえた分析を聞くことは大変参考になりました。このような機会をいただけたことを感謝します。
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30