子どもとかかわるということ

学校で教育実習生に出会う季節になりました。真剣な目で授業を見つめる姿からやる気が伝わってきます。この中から、これからの学校現場を支えてくれる人材が育ってくれることを期待しています。彼らについていろいろなことが耳に入ってきます。その中で、難しい問題だと感じるのが、子どもとのかかわり方です。

定期考査の終わったあとです。成績が振るわなくて落ち込んでいた子どもが教育実習生に勉強を教えてほしいといってきました。特定の問題を教えてくれというのではなく、定期的にいろいろな教科の勉強を見てほしいというのです。教育実習生は子どもに頼られたのでうれしくてしょうがありません。早速指導の先生に許可を求めました。先生は、「自分の教科ならばともかく他の教科を教えるということは、どういうことだと思う」とそれぞれの先生の教え方や考え方がわかってもいないのに勝手に担当以外の人間が教えることの問題を伝えました。「実習期間が終わっても、教えてほしいといったらどうする?その子どもが、あなたがいなくなったから成績が下がったと言ったらどうするの。責任を取れるの?」と問いかけました。大切なことはどう行動すればよいかを子どもに考えさせ、行動をうながすことです。それも指導の先生と相談しての上です。子どもが教えてほしいと言ったのは、教育実習生に甘えたかっただけだということを、指導の先生はよくわかっていました。事前に相談してくれてよかった。もし、勝手に教え始めたらその後始末が大変だった。そう語っていました。

教育実習生は何も責任を取ることができません。子どもと深くかかわることは避けなければいけません。裏を返せば、教師は子どもに対して常に責任を持って接しているということです。今回のことで、この教育実習生はこのことを学んでくれたでしょうか。
教師を目指す学生ですから、子どもと触れ合いたいと思うのは当然です。だからこそ、将来しっかりと子どもと触れ合うために、今学ぶべきことは何かを考えてほしいのです。それは、ままごとのように、無責任に子どもとかかわり合う体験をすることではありません。教師が何を考え、どのように子どもと接しているのか、その背中から学ぶことです。
彼らが学校現場で多くのことを学び、何年かの後、立派な教師となった姿を見せてくれることを楽しみにしています。
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