子どもは教師を見透かしている

昨日仕事でお会いした方から面白い話をお聞きしました。
その方は小学校の早い段階で、授業でほとんど発言しなくなったそうです。その理由を聞くと次のようなものでした。

授業で先生の質問に対して、先生の求める答を言わなければならないというプレッシャーがある。たとえ先生が間違いと言わなくても、表情から「ああ、先生のほしい答じゃなかったんだ」とわかる。その表情を見ると何も言えなくなってしまう。

先生は間違いと否定せず、子どもが安心して発言できるようにしているつもりなのでしょうが、子どもには見抜かれているようです。どんな発言に対しても、いつも笑顔でうなずくことの大切さがわかります。子どもの間違いを含む多様な発言を楽しむ、喜ぶ姿勢が求められるということです。

また、このようなことも話されました。

授業参観や他の先生が見に来るようなときは、いつもは指名しない子どもにも発言の機会を与える。ああ、今日は特別なんだなと思う。いろいろな子どもの意見を聞くことはいいことだけど、普段はめんどくさい、進むのにじゃまだと先生が思っていることがよくわかる。そんな特別なときでも、いつも何を言っているのかよくわからなくなる子はやっぱり指名しない。先生は、その子が授業のじゃまになると思っていると感じた。

どうでしょう。何も反論できません。こうして子どもは教師を信頼しなくなっていくのです。学校の勉強は嫌いだったと言われる理由がよくわかります。この方が特別なのではありません。どの子も同じように感じていたようです。
教師は子どもには自分の思惑はわからないと高を括っているのかもしれませんが、子どもは教師のことを見透かしているのです。あたりまえのことですが、子どもだからと見くびらず誠実に対応することがとても大切なのです。子どもにとって保護者以外に接する大人は教師以外ほとんどいません。その大人の代表が子どもに見透かされるような態度をとっていては、大人全体や社会が子どもの信頼を失くしてしまいます。
子どもは私たちが思う以上にちゃんと教師を見ている、気持ちを見抜いていることを忘れてはいけません。このあたりまえのことを改めて気づかせていただきました。
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