集中と緊張

子どもたちが姿勢を正して授業を受けている姿を目にします。しかし、必ずしも集中しているとは感じないことがあります。一方、背筋は伸びていませんが全員が集中している授業にも出会います。この違いについて考えてみたいと思います。

姿勢がよくても集中していないと感じる子どもたちは、身体や視線があまり動きません。友だちが発言したり教師が移動しながら説明したりしても話し手の方を向かないのです。次の課題や個人作業、グループ活動に移るときに、伸びをしたり体を揺らしたりする場面もよく目にします。身体が動かないということは緊張状態にあるのです。よい姿勢を維持するために緊張を続けているので、場面が変わると緩むのです。

話を聞こうとすると身体が話し手の方を向きますし、前傾姿勢になります。グループ活動でも話し合いが成立しているときは額を寄せ合うように前に傾きます。また、背筋を伸ばした状態で考えることはあまりありません。考えるときはリラックスしようと身体も動くものです。集中しているときはごそごそとは違う、自然な動きがあるものです。課題に集中していれば、次の活動に移るときでもムダな動きがなく素早く取り掛かります。

教師が子どもによい姿勢を求めすぎると、それが目的化して子どもを緊張状態にします。子どもがよい姿勢で聞いているので、ついついしゃべりすぎることもよくあります。子どもを受け身にしてしまい、ますます緊張を強いることになってしまいます。子どもの姿勢がよいからこそ、子どもに反応を求め、その反応をもとに次の活動をつくることが必要です。子どもを能動的に参加させることを意識しないと集中してはくれません。教師の説明を一方的に受けるのではなく、説明や友だちの発言を聞いて、考え・外化する場面をつくり、聞く必然性をもたせることが大切です。
子どもが集中しているのか緊張しているのかの判断をして、緊張を和らげ集中させることを意識してほしいと思います。
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