できる子どもをどう活かす

授業中に集中していない子どもを注意してみていると、意外とよくできる子どものことがあります。問題が解けたからいい、自分はわかっているから聞く必要はない。そう考えているのです。正解を言うことが評価されている学級でこの傾向が強くなります。互いに学び合う、かかわり合う場面でこういった子どもを活躍させ、評価することでより高いところを目指すようにさせることが必要です。そして、できる子どもをうまく活かして学級全体を伸ばすことにつなげていくのです。

日頃から、子どもたちには正解を求めるのではなく、その過程の説明を求めることが大切になります。そして、正解したことではなく、友だちが理解したことを評価するようにします。

「・・・になります」
「なるほど。それってどういうことか聞かせてくれる」
「・・・だから、・・・です」
「○○さんの説明で納得した人?」
「たくさんいるね。よくわかったんだね。すごいね。今、手を挙げたてくれた人。まだ納得できない人がいるようだから、もう一度説明してくれるかな。△△さん」
・・・

教師が正解を判断したり、説明したりせずに、子どもに説明を求め、子どもに判断させるようにします。説明すること、友だちに納得してもらうことに価値を置くことで、問題を解いて終わりではなく、どのように説明するか考えるようになります。

できる子どもには、自分の考えでなく友だちの考えを代わりに説明させることでより高い課題となります。

「・・・だから・・・。あれ、・・・」
「ちょっと困っちゃったね。誰かに助けてもらおうか。○○さんの考えを代わりに説明してくれる人いるかな。△△さん」
「・・・だから、・・・です」
「なるほど。○○さんこれでいい?」
「はい」
「○○さん、わかってもらえてよかったね。△△さん、よくわかったね。今の説明で○○さんの考えに納得した人?」
・・・

このようにすることで、自分は解けたからいい、わかっているからと友だちの発表を聞かないということはなくなります。意図的に、友だちの考えを説明する場面でしか指名しないようにすれば、集中して友だちの発言・発表を聞くようになります。

また、いつもわかった子どもの発表から始めるのではなく、わからない子どもを助けることから始めることも大切です(「わからないところ」から始める参照)。

教室の価値観を、「自分がわかればいい」から「みんながわかることが大切」に変えていくことが必要です。自分の説明で友だちがわかってくれる、友だちがわかってくれるからこそ自分が認められる。友だちの考えを理解することで評価される。友だちがいるからこそ自分の存在価値がある。このように変えていくのです。
他者とのかかわりで自己有用感を持つようにすることで、できる子どもがより高いところを目指すようになります。できる子どもを活かす・伸ばすことが、学級全体を伸ばすことにつながっていくのです。
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31