企業での研修

昨日は東京で企業向けの研修を2つおこなってきました。

1つ目の研修はグループでの話し合いを中心にして進めました。メインのテーマとは別に他者とのかかわり合いの中で学ぶ、チームワークとはどういうことかを実感してもらうことも目指してのことです。おもしろかったことは、グループで結論をまとめることは必要ないと指示しても、まとめようと動くグループがあったり、だれも話の方向性を決めようとせずに、思いつくまま話しているグループがあったりといろいろだったことです。チームとして動く、グループで知恵を出し合う経験がまだ少ないのでしょう。グループでの役割意識を持つことや、具体的にどう行動すればよいかについても、はっきりと触れた方がよかったのかもしれません。
ある課題について、考えが2つに分かれました。そこで、互いに相手を説得することをお願いしました。双方とてもよい意見が出て、相手もその考えを受け入れる姿勢を見せるのですが、不思議なぐらい自分の考えを変える人は出ませんでした。これもとても面白い経験です。自分を主張すること、相手を認めることはできるのですが、そこからもう一つ新しい考えをつくりだすという発想はなかったようです。ここでその話をすべきだったのかもしれませんが、「正解はないので、それぞれの考えでいい」という形で決着させました。AかBかの対立関係があった時に、そこからCという新しいものを生みだすというのは大人でも難しいことだと知ることができました。
また、仕事における多忙感とストレス、時間と生み出す価値について少し話をしました。その中で、突発的なことに個人で対処するのはとてもストレスのかかること。そのストレスは組織で吸収しなければならないことを学校の生活指導を例に話しました。この会社でも突発的なことへの対応はよくあることです。自分の担当にこだわらず組織として、チームとして動けるようになってほしいことを伝えました。

2つ目の研修は3人一組のロールプレイを中心にしておこないました。1人は社員、もう1人は顧客、そして最後の1人は観察役です。1巡したところでよかったところ、参考になったところをグループで話し合っていただきました。ロールプレイそのものは、不慣れなせいもあり日ごろのよさを発揮できなかった方も多かったようですが、そこから気づいたことはとても大きかったようです。全員に発表してもらいました。

まず相手の言葉を受け止めること。
話をよく聞くこと。
顧客だって無理をいっていることはわかっている、でも聞いてもらいたいということ。
・・・

聞くことの大切さ、受容することの大切さにみな気づいてくれています。とてもよい気づきばかりで、私が解説しようとした基本的なことはほとんど網羅されていました。
また、皆さんの気づきは大きく2つに分かれていました。他者からの指摘や、他者のロールプレイから自分を振り返ってみてわかったこと。もう一つは顧客の役を演じて、顧客の気持ちになることでわかったことです。他者から学ぶこと、相手の気持ちになること、この2つを学んでほしかったので、とてもうれしく思いました。
研修のまとめ役の方と上司の方2人にもコメントをもらいました。
研修のまとめ役のコメントは、伝えたいことがあるとどうしてもしゃべりすぎるということです。説得しなければという気持ちがどうしても言葉を増やすことになるのです。これは教師の説明にもつながります。とても大切なことです。
上司の方のコメントは、とても素晴らしいものでした。顧客の要望や主張を単に聞くのではなく、「教えてください」とその背景にある事実、要因、顧客がどうなりたいのか、どうしたいのかという真に望むものを聞きだすことが大切であるということです。全くその通りです。これは、教師が子どもの悩みの相談に応じるときにもつながることです。
最後に、聞くことを大切にする姿勢が相手への提案力にもつながること、日ごろのコミュニケーションで大切にしたい言葉について話をして終わりました。

担当者や上司の方に助けられて無事に終わることができました。日ごろとは違う一般の会社での研修だったので少し緊張して疲れました。しかし、とても新鮮で楽しい経験でした。私が学ぶこともとても多かったと思います。参加された皆さんにとって少しでもお役に立つ研修になっていれば幸いです。
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