「スペシャリスト直伝! 中学校数学科授業 成功の極意」が届く第1章「玉置流授業づくりの大原則30」は、数学だけでなく多くの教科に共通する授業の原則がたくさん書かれています。つき合いの長い私の目には、その原則の背景も浮かんできます。そこには、自ら出会いを求め、学び続けてきた玉置先生の姿が、玉置先生が学んできた多くの先生の姿と重なって見えます。 第2章「学習指導要領のここを外すな!」は学習指導要領に書かれているが、実は見落とされやすいことをコンパクトにまとめています。試験の問題が解ければいいという発想の授業ではなく、数学を学ぶということはどういうことか、数学を通じてどのような子どもたちを育てる授業を目指すのか、学習指導要領を例にして玉置先生の思いが語られています。 第3章「これを使えば必ず盛り上がる! とっておきのテッパン授業ネタ」は、タイトルから見れば単なる How to に思えますが、そうではありません。授業を通じて、子どもたちに何を考えさせたいのか、考えさせるべきなのか。それは教材とどのようにかかわるのか、どう発問し、どのような活動をすることで可能となるのか。この章を読み解くことで見えてくると思います。もし見えなければ、下手にアレンジなどせずに素直にこのネタを実践してみるとよいと思います。きっと子どもたちがその姿で教えてくれると思います。 第4章「授業の腕を磨く! 数学教師修行」は、玉置先生がどのような姿勢で授業力を磨いてきたかよくわかります。ここに私も登場するのでこんなことを言うのは恥ずかしいのですが、玉置先生の人から学ぼうとする姿勢こそが本当に学ぶべきことです。ここには、数学に関係する出会いのことしか書かれていませんが、ICT活用や学校経営、趣味(副業?)の落語に関しても常にこの姿勢を崩されていません。教えてくれるのをただ待っていては、いつまでたっても成長できません。自ら求めることが大切であることを教えてくれています。 この本は若い数学教師すべてに読んでほしい本です。というよりは、手元に置いて、事あるごとに見直すバイブルとしてほしいと思います。また、ベテランもこの本を読むことで授業のあるべき姿を見直すよいきっかけになると思います。私にとっては、玉置先生と学び合ったことをあらためて思い出させてくれる、またその学びを再整理させてくれる、懐かしい「学びのアルバム」のような本です。素敵な本をありがとうございました。 |
|