理科(実験)で大切にしたい問いかけ

理科の実験の授業を見ていて、何のために実験をしているか子どもが意識せずに、ただ指示された通りに作業をしてワークシートの穴を埋めているように感じることがよくあります。

理科は疑問や仮説を実験によって解決、検証します。疑問や仮説がないまま指示されたとおりに実験をして、「気づいたことは何」「どんなことが言える」と問われても、明確な視点で答えることはなかなかできません。
まず、子どもに疑問や仮説を持たせる問いかけが必要です。
「どうなると思う」「どうしてそう思う」と予想をさせることから始めることが大切です。子どもの意見が分かれれば、それだけで実験に取り組む意欲が高まります。
その上で、どんな実験をすればいいか考えさせることで、科学的な思考が身についていきます。
また、一部の子どもだけが気づいたことがあれば、全員が追試できるような時間を取る、時間がないようであれば教師が見せることをしてほしいと思います。実際に体験する、見ることで初めて納得できるからです。

たとえば、空気鉄砲の実験であれば、
「押し棒を押すとどうなると思う」と問いかける。
子どもが「前玉が飛ぶ」と答えれば、「どうしてそう思う」と続けて聞く。
子どもが理由を答えたら、どうすれば確かめられるかを続けて問う。
答えられなければ、理由を考えながら実験するように指示する。
出てきた疑問や仮説を整理しておく。
途中で、実験を止め、飛んだかどうかなどの疑問や仮説がどうであったか確認する。
ここで、子どもから強く押すと勢いよく飛んだといった気づきが出れば、まわりに確認し、気づかなかった子どもには次の実験で確認しようという気持ちにさせる。
「強く押すと勢いよく飛ぶことを確かめたいけど、どうすればいい」と子ども問いかける。
また、理由についても子どもの考えを聞く。
いくつかの意見が出れば、どうすれば確かめられるか問いかける。
ここで出た新たな疑問や仮説を持って、再度実験をする。
・・・

時間の関係でいつもこのようにできるわけではありません。また、子どもたちの発達段階によって進め方を変える必要もあります。しかし、実験のたびにこのような問いかけをしていくことで、子どもたちの視点が育っていきます。それに伴い子どもたちからいろいろな気づきや考えが発表されるようになってきます。子どもの言葉をつなぎ、深めることでより科学的な視点で実験に取り組むようになっていきます。
疑問や仮説を持たせる問いかけによって意識的に実験に取り組ませることで、科学的な思考力を育ててほしいと思います。
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