提案授業から大いに学ぶ

愛される学校づくり研究会が主催するフォーラムでの算数の提案授業の撮影にでかけました。2時間完了の1時間目と、2時間目の先行授業でした。

撮影前の授業での子どもたちのようすを見てちょっと落ち着きがないことを心配していたのですが、実際にはしっかりと集中した姿を見せてくれました。子どもたちが真剣に黒板のスクリーンを見ている姿に、ICTの威力を感じました。決して凝ったものではないのですが、だからこそ気軽に使える、子どもにもわかりやすいものになっていました。これならば、自信を持ってフォーラムで紹介できます。今から会場の反応が楽しみです。

しっかり練られた指導案で、機器の利用の工夫もされている授業なので、多くの気づきがありました。子どもが興味を持って取り組んでいるので、子どもの集中力が下がる場面に、教師の働きかけの大切さが浮かび上がってきます。今回印象に残ったのは次のようなことでした。

一つは、挙手に頼るかどうかです。
子どもが作った三角形を発表させる場面で、授業者は挙手をさせました。今回は最大で19種類の三角形が出てくるはずです。最初のうちは元気よく手が挙がっていたのですが、残った数が減ってくるころには、挙手も減り、指名との間に時間もかかるようになってきました。挙手できない子は集中力をなくしてきました。だれてきたのです。
全員5種類の三角形を作っているのですから、挙手に頼らずどんどん進めればいいのです。日ごろ発言できない子を中心に指名する、列で指名する。いずれにしても、単調になりやすい場面ですので、テンポよく素早く進めることが大切です。

もう一つは、違った考えの子どもをどう取り込むかです。
三角形を分類する場面です。子どもの発表に対して授業者は同じ分け方の子どもに挙手させました。同じ考えをつなぐよい指示です。その後、その理由を説明するように求めました。ここから、挙手できなかった子どもの集中力が落ちてきました。自分は違う考えだから参加できないと感じたのです。授業者は、違う考えの子どもに友だちの考えを理解させ説明させようと考えたそうですが、手が挙がらなかった子どもを見るとボーとしてよく理解できていないようだったので断念したそうです。
では、どうすればよかったのでしょうか。

「違う分け方の人にもわかるように説明してね。違う人もどうやって分けたのかよく聞いてね。あとで、説明してもらうからね」

と違う考えの子どもに課題を与える。こうすることで、彼らも参加することができます。

「どうやって分けたのか説明できるかな。違う分け方の人も、よく見て考えてね。まわりの人と相談してもいいよ」

と考える時間を与える。違う考えに接していきなり理解するには時間がかかります。いわんや説明はもっと大変です。また、まわりと相談するということは、そのわけ方をした子どもともかかわる機会をつくれます。全体で発表するより多くの子どもが活躍できます。

どちらかが正解というわけではありませんが、違う考えの子どもを参加させるような働きかけが必要だということです。

授業者にとっても、参観者にとっても刺激と学びの多い授業でした。
授業検討を受けて、明日、2時間目の授業に再挑戦です。授業者はきっといろいろと考え工夫をしてくれると思います。私もどのような変化を見せてくれるのかとても楽しみです。
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