友だちの発言を聞く意欲を高める

授業を見ていると、子どもが友だちの発言を聞こうとしてないと感じることがあります。授業に集中していないというわけではありません。教師が説明して板書をすると素早くノートに写します。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

一番の理由は、聞いていなくても子どもたちが困らないことです。
友だちの説明はわかりにくいので、聞かない。聞かなくても、最後に先生がわかりやすくまとめてくれる。また、算数などは説明ができなくても、手順がわかれば問題は解けるので困らない。友だちのよい気づきは先生が復唱したり、板書してくれるから先生に注目していればいい。こう思っているのです。

子どもの発言を安易に教師がまとめず、子どもの言葉を活かして、自分たちでわかった実感を持たせることが大切です。
子どもの説明が不十分であれば、「それってどういうこと」とより詳しい説明を求めたり、「だれか、○○君の考え説明できる」と友だちの考えを理解しようとすることを意識させます。
また、教師がまとめずに、子どもに自分でまとめさせることも大切です。「みんなの気づいたことで、なるほどと思ったことを自分のノートに書き足してください」「まとめたことを隣同士で確認してください。友だちの気づいたことでなるほど思うものは自分のに足しましょう」というように、自分たちでまとめる作業を取り入れるようにするとよいでしょう。

この他にも、そもそも課題に手がつかない、何をやったらいいかわからなかったというときは、手がついていないので、友だちの発言を聞く意欲が薄れてしまいます。自分の考えが持てているときの方が友だちはどう考えたのか気になるので聞こうという気持ちになるのです。解決のための見通しを持たせてから課題に取り組ませたり、できるだけ課題を具体的に提示するなどの工夫が必要です。また、活動を途中で一旦止めて、結論でなくどこに注目しているかを全体で共有することで見通しが持てることもあります。

子どもが友だちの発言を聞かないのには理由があります。聞こうとする意欲をどう高めるか、聞く必然性をどうつくるか。教師の工夫が求められるのです。
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