教材研究は何をする

教材研究は何をすればよいのですかと聞かれることがあります。「どのように」するのではなく、「何を」するかです。言いかえれば教材研究の目的・目標、授業は何をするものかが明確になっていないということです。漫然と教科書や指導書を読んで、指示すること、説明することを決めているのかもしれません。いろいろな考えがあると思いますが、私は次のようなことを考えることが教材研究の基本だと思っています。

・1時間の授業、単元を通じて子どもが身につけるべき力は何か
・その力をつけるために子どもにどのような活動が必要か
・その活動をするためにはどのような力が前提となるか
・その活動をさせるための発問、指示は何か
・その活動のために必要な資料や道具は何か
・子どもがどのようなつまずきをするか
・子どもを支援するためにどのような方法があるか
・子どもがその力を身につけたかどのようにして確認するか

大切なのは、子どもの活動を起点に考えることです。見たい子どもの姿を具体的にえがいて、その姿を引き出すためにどのように教師が働きかけるかを考えることが大切なのです。教材をどう教えるかではなく、子どもたちがどう理解し身につけるかという視点です。子どもの姿を意識して作られた授業は、実際の子どもの姿とのズレを敏感にとらえることができます。その結果子どもの実態に合わせて修正することも容易です。教師の視点で、いつどんな指示を出し、どんな説明をするのかだけ考えても、そこには子どもの姿が意識されていないため、子どもの実態に応じた対応ができません。子どもを見ずに教師が勝手に進める授業につながっていきます。

教材研究は教材に出会って子どもたちがどのように考え理解して、変容していくのかを過程を考えることでもあります。子どもの目線で教材をとらえ、どのような子どもの姿を生み出していくのかを考えてほしいと思います。
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