係活動の指導

学級ではいろいろな係が決められていると思います。学校全体で決められているものもあれば学級独自に決めたものもあると思います。係活動は子どもが、学級・学校という小さな社会の中で自分の役割を果たすことで自己有用感を持ち、互いに役割を果たすことの大切さを実感し、責任感を持ってくれるようになることを狙っています。
では、担任として子どもたちの係活動をどのように指導していけばよいのでしょうか。

一つは、係の仕事をできるだけ具体的にすることです。口頭で簡単に説明して済まさずに、きちんと文書で明確にしておくとよいと思います。子どもたちは自分で何をすべきかの判断はなかなかできません。こちらの期待した動きができなくて、つい注意してしまうことになってしまいます。子どもにとってみれば、「そんなの知らない」「言われていない」のに何で注意されるのとなってしまいます。わかりやすく箇条書きで指示して、チェックしやすいようにするとよいでしょう。
また、することだけでなく、この係に対する教師の思い、願いを書いておくのもよいと思います。教科の連絡係であれば、「学級の全員にきちんと伝わり、誰も忘れ物をしないようにしてほしい」などと伝えます。こうすることで、「自分はちゃんと黒板に書いた。見ない人が悪い。自分の仕事は果たした」から、「どうしたら、みんな見てくれるか。忘れないでくれるか」へと子どもの意識を変えていけるようになります。

もう一つは、評価です。自分のしている仕事が認められたいのは子どもも同じです。目立たない仕事でもきちんと見ていると子どもに伝えることです。教科の準備をだれも忘れなければ、全員をほめるだけでなく、「教科係がしっかり連絡してくれているからみんな忘れなかったんだね。ありがとう。みんなも『ありがとう』と言おう」と感謝することです。仕事をきちんとしただけで評価されたのではなく、それに友だちが応えてくれたからこそほめられたことをしっかり伝えてください。こうすることで、役割を果たすとは、その仕事をすることではなく、その仕事を通じてみんなの役に立つこと、自分がやればいいだけでなく、みんなとのかかわりが大切なことをわかるようになります。

最後の一つは、過度の責任追及が起こらないようにすることです。子どものことです。係の仕事を忘れたり、ミスしたりします。そのために他の子どもたちに迷惑がかかることもあります。そのとき、子どもたちが「係が悪い」と一方的に非難することのないように気をつけることが大切です。係の仕事を明確にすれば、その責任も明確になります。係が機能するようになればなるほど、ミスも明確になり、責任追及も起きやすくなります。ミスした本人には、係の仕事がみんなに影響する大切な仕事であることを改めて伝え、「だからこそしっかりお願いね」と励ますことです。個人の責任を果たせと迫るのではなく、みんなのための大切な役割だからしっかりやらなければという意識を持たせるのです。
また他の子どもにも、ミスを非難するのではなく、忘れているのに気づいたら声をかけるといったサポートする姿勢を持つことの大切さを伝えてください。

子どもによっては、負担になったり、積極的に取り組めないこともある係活動ですが、一人ひとりの仕事に対して感謝し、助け合う雰囲気を作ることで、前向きに取り組んでくれるようになります。係活動を通じて子どもたちの社会性をうまく育てたいものです。
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