早い時期に個別に話をする

新学年が始まった4月は、とてもあわただしい時期です。とても忙しいのですが、できるだけ早い時期に子どもと個別に面接をおこなうことを勧めています。

まだ子どもたちのことをよくわかっていないのに何を話せばいいのか。子どもたちも学級に慣れていないこの時期に「なぜ?」と思うかもしれません。
環境が大きく変わるこの時期は、どうしても子どもたちは不安定になりやすいときです。いつも以上に緊張して学校生活を送っています。子どもの今の状況を的確につかむために、個別に話すことはとても意味のあることです。
教師が何か話そうとする必要はありません。ほんの4、5分でいいのです。子どもの話を聞いてください。このとき、「学級には慣れた」といった具体的な質問ではなく、「どんな調子」といった、あいまいな軽い問いかけをしてください。何気なく出てくる答の中に、気になっていること、意識していることが隠れています。「まあまあ」といったあいまいな答であっても、「それってどういうこと」と問いかけることで具体的なことを聞き出せます。

「絶好調!」
「それってどういうこと」
「仲のいいやつと一緒のクラスになったし、勉強も頑張っている」
・・・

新しい学年になって頑張ろうとしている。
この学級は楽しい。
仲のよい子がいなくて、さびしい。
雰囲気になじめない。
よくわからない。
・・・

子どもたちは、思った以上にいろいろなことを話してくれます。簡単でよいので、一人ひとりメモしておいてください。この時期の話と次の面接での話を比較することで、子どもがこの学級の中でよい状態になっているのか、それともよくない方向に変化しているのかをつかむことができます。
また、ここで教師が話を聞く姿勢を見せることで、子どもとの人間関係をはやくつくることができます。「話を聞けてよかった。ありがとう」とIメッセージで終わることを忘れないでください。

5月病という言葉があります。ゴールデンウィークが明けた頃が不適応の子どもが出始める時期です。この面接で予防できるとは思いません。しかし、面接で「頑張っている」と話したのであれば、どこか無理をしていたのではないかと判断の手助けにはなります。また、初めて1対1で話すのが不適応を起こしてからでは、コミュニケーションもうまくとれません。このようなとき、面接で教師が聞く姿勢を見せていたと子どもが感じていれば、話もずいぶん違ったものになります。

この時期に全体の場で見せる子どもの姿は、よそゆきであったり、様子見であったりします。仰々しくする必要はありません。立ち話のようなものでもけっこうです。彼らの緊張をほぐし、殻を破りやすくするためにも、早い時期に学級の全員と個別に話をしてみてください。
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