規律を守れなかった子どもの指導

社会生活において必要なことを学ぶことは学校の大切な目的の一つです。集団生活において規律を守ることもその一つです。しかし、子どものことです。時として規律を破ったり乱してしまうこともあります。叱りさえすれば行動があらたまるわけでもありません。叱り方によっては逆効果になったり、対処を間違えると集団の中で孤立してしまうこともあります。注意をして終わりではなく、上手に子どもたちの規範意識を育てていくことが大切です。

A君が授業に遅刻してきた。
「A君、どうしたの」
「ボールを片づけていた」
「ボールを片づけていたんだ。えらいね。それで・・・」
「遅くなった」
「遅くなったんだ。遅くなったことをどう思う」
「いけない」
「遅れると何がいけないの」
「授業が始まるのが遅くなる」
「そうだよね。始まるのが遅くなると誰が困る」
「みんなが困る」
「そうだよね。じゃあ、どうすればいい」
「あやまる」
「みんなの方を向いて、あやまろう」
「みんなも、これでいいかな」

子どもたちが行動を反省して改めるには、自分がやったことがどういうことなのか、なぜいけないのかを自覚させることが必要です。そのためには、教師が一方的に注意をして無理やり言わせるのではなく、子ども自身が、何がいけなかったのか、どうするべきだったかを言うことが大切です。集団の規律を乱したのですから、教師に対して謝るのではなく、みんなに謝るように指導します。

その上で遅れた本人だけでなく、学級全体の問題としてとらえることができるのが理想です。

「教室に戻るとき、A君がボールを片づけているのを見た人いる」
「何人かいるね。どう思った、Bさん」
「片づけしている」
「なるほど、それだけ」
「遅れそう」
「なるほど、遅れそうだと思ったんだ。同じように思った人」
「他にもいるね」
「A君は遅刻しちゃったけど、どうすればよかったのかな。みんなちょっと考えて」
・・・
「そうだね。教室に戻るときはみんなで声をかけ合うようにしようね」

叱られることは子どもたちにとって楽しい時間ではありません。これに時間をとられるのは、授業時間も圧迫しますし、あまりよいことではありません。毎回このような対応をとることは難しいと思いますが、ときにはきちんと時間をとって互いに規律を守ることについて学級全体で考えさせたいものです。
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