時間を与えることの意味

子どもに問題を解かせたりワークシートなどの作業をさせたりしている時に、「まだできていない人がいるから、あと○分あげるね」と作業時間を延長する場面によく出会います。また、発問して子どもの手が挙がらない時に、「もう少し考えて」と待つ場面もよくあります。このように子どもに時間を与えることについて少し考えてみたいと思います。

「全員ができてほしい」
「少しでも多くの子どもに考えてほしい」

教師であればだれでもが願うことです。しかし、子どもに時間を与えればできるようになるのでしょうか? 与えられた時間、考え続けることができるのでしょうか?

例えば、与えられたプリントが終わらない子どもの状況を考えてみましょう。
計算が遅い、調べるのが遅いなど作業スピードの問題で時間が足りないのであれば、作業が遅い子には与えられた時間は有効です。ただし、作業が速い子にはその時間が無駄にならないような工夫が必要です。(参考:作業スピードの差をどう埋めるか)
注意が必要なのは、単に作業スピードの問題でない場合です。子どもは「時間が足りない」以外の理由で行き詰っているのですから、単に時間を与えるのではなく、その原因を取り除く必要あります。そのための手立てをせずに時間を延長しても、「できる子は与えられた時間遊んでいるだけ」「できなかった子は最後までできずに終わる」ことになり、結局時間の無駄になってしまいます。

この場合、子どもができない理由をきちんと判断して、必要に応じて友だちに聞くことを促したり、教科書等のどこを見るか具体的に指示する。一旦作業を止めて、見通しを全体で確認するなどした上で、時間を与えるようにする必要があります。

時間を与えることは、その時間が子どもにとって有用な時間になって初めて意味を持ちます。単に遊ぶ時間を増やす、手がつかないで苦しむ時間を増やさないようにしてください。
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