子どもの実態に応じて、上手に授業規律をつくる

昨日の日記の続きです。

4年生の道徳はお話の内容を理解する場面でした。
挨拶が終わった後、子どもたちは私たちの姿を見て少しざわつきます。授業者は優しく声をかけ、子どもが落ち着くのを待ってから始めます。上手に子どもたちをコントロールできていると思いました。
この日の教材は「100点を10回とれば」です。漢字テストで10回続けて100点とったら欲しかったサッカーシューズを買ってもらえる約束を主人公は母親とします。10回目の試験は100点だったのですが、先生の採点ミスがありました。どうしようかと主人公が悩むお話です。

話の題名を板書して、子どもたちにどんな話と思うかを問いかけます。子どもたちは口々にしゃべってテンションを上げます。テンションが上がりやすい子どもが多いように感じました。しかし、数人が挙手したので授業者が指名をすると、すぐに静かになって発表者に注目します。気持ちの切り替えができます。上手に授業規律をつくっていると思いました。
返事が小さかった子どもがいた時には、どんな返事をすればよかったのか全体に問いかけて言わせることで、特定の子どもではなく全体の問題にします。友だちの話を聞いていない子どもには、聞きなさいと注意をするのではなく、「○○さんのように、話をしている人の方を見ていると聞いているとわかるんだけれど、窓を見ていると聞いているかいないかわからないから」と取るべき行動を示します。授業規律のつくり方のポイントがわかっていると感心しました。

話の内容を予想させることで上手に子どもの興味を引きつけました。数人に発表させた後、授業者が話を読みます。資料は配りません。途中で登場人物を聞くことを確認した後、聞く姿勢を取らせました。なかなか集中力が続かない子どもたちなのでしょう。授業者は緩んでいいところと集中すべきところを意識してコントロールしています。
途中で誰が出てきたかをたずねます。授業者が自分で確認しながら読んだ方が時間の節約にはなると思いますが、受け身の時間を減らすことで集中を持続させようとしているようです。
子どもたちと授業者の関係がよいのでしょう。子どもたちは指名されたくてしょうがありません。テンションを上げるのですが、最初の場面と同じように友だちの発表はよく聞いています。授業者が子どものテンションに影響されず落ち着いて授業を進めていることがよい影響を与えていると思います。

子どもたちに発表させながら内容を確認した後、話の続きを読みます。主人公が採点の間違いに気づいたところで、子どもたちから「見なきゃよかったのに」と声が上がります。「書き直しちゃえ」という言葉も聞こえました。授業者はそのまま読み続けましたが、ちょっともったいないと思いました。授業者の予定している流れがあるのでなかなか難しいとは思いますが、こういった言葉を拾っておいて、そこから主人公の葛藤を自分のこととして引きつけさせることができたかもしれないからです。流れを完全に止めなくても、ちょっと板書しておいて、後でこの言葉をきっかけにして考えさせてもよかったかもしれません。

主人公が採点ミスを申し出ようかどうか悩んでいるところで、読むのを止めました。子どもたちは先ほどと違ってテンションは上がりません。真剣に考えています。どうしようと、自分に引き寄せて考えているように見えました。
時間の関係でここまでしか見ることができませんでしたが、実態に合わせて上手に子どもたちをコントロールし、授業規律をつくっていました。

経験年数の少ない授業者の特別支援学級での授業は、子どもたちが親にほめられた時などのシチュエーションでどんな気持ちになるかを考える場面でした。親にほめられた時の気持ちを温度計の目盛りで表わす活動です。
授業者は落ち着いて子どもと接することができるようになっていました。子どもたちに発表させる場面では、理由を言えた子どもに、「理由も言えたね、素晴らしい」と大きな声でほめることもできます。子どものよいところを見つけてほめようという姿勢ができています。
同じ気持ちになった子どもを確認して、「○○さんも同じなんだね」とつなごうとしますが、そこで終わっています。もう一歩進めて、同じであることをよいことだと、人とつながることをポジティブにとらえられるようにするとよいと思いました。「○○さんも同じなんだね」と言う言葉の後に、「いいね」とちょっと一言足すだけでも、人とかかわろうとする意欲が増すと思います。
同じようにほめられた時でも、人によって気持ちの温度が違うことを確認した後、最高にうれしい時はどんな時かを聞きます。発表する子どもの言葉をしっかり受容します。ただ、すべて授業者が受け止めて、他の子どもとつなぐことはしませんでした。コミュニケーションがなかなか難しい子どもたちかもしれませんが、だからこそ、他の子どもがどう思うか、どう感じるかを聞いてつなぐことも必要だと思いました。
特別支援では一人ひとりとしっかりかかわる時間を多く取ることができるので、個をしっかりと見る力がつくと思います。ここでの経験が、授業者に大きな進歩をもたらせると思います。

この続きは明日の日記で。
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