社会科の授業について講演

昨年の秋に、市の社会科の研究発表会で講演を行ってきました。
その際、私の講演に先立って行われた2つの研究発表はなかなか興味深いものでした。子どもたちに主体的に活動させようという取り組みでしたが、特にそのうちの一つ、JRの駅の再開発に子どもたちがかかわるといった課題は、とてもリアリティのあるものだと思いました。こういった試みを知ることができたことは幸運でした。

私の講演は、次期指導要領を見据え、アクティブ・ラーニングについてお話させていただきました。
とは言っても、次期指導要領ではアクティブ・ラーニングそのものではなく、その視点から学習過程の改善を図り、「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指すこととなっています。子どもたちが活動していればよいという、いわゆる形だけアクティブな授業を目指すということではありません。子どもたちの深い学びの実現のために、授業を工夫し続けることが求められているのであって、こうすればいいという正解や形があるわけではないのです。このことをまずしっかりと意識していただくことをお願いしました。
また、「各教科等において育まれる資質・能力と教育課程全体の枠組み」という点について、中教審のまとめで紹介されている社会科の例、「思考力は、社会的な事象から見いだした課題や多様な考え方を多面的・多角的に考察して自分の考えをまとめていく過程」ということについても少し触れさせていただきました。

「何を学ぶか」「どのように学ぶか」という次期指導要領の両輪をつなぐものが教科の、「見方・考え方」になります。
社会科の「見方・考え方」については、

小学校では、
「社会的事象を、『位置や空間的な広がり』『時期や時間の経過』『事象や人々の相互関係』に着目して捉え、比較・分類したり総合したり、地域の人々や国民の生活と関連付けたりして」

中学校の地理的分野では、
「社会的事象を、位置や空間的な広がりに着目して捉え、地域の環境条件や地域間の結び付きなどの地域という枠組みの中で、人間の営みと関連付けて」

歴史的分野では、「社会的事象を、時期、推移などに着目して捉え、類似や差異などを明確にしたり、事象同士を因果関係などで関連付けたりして」

公民的分野では、
「社会的事象を、政治、法、経済などに関わる多様な視点(概念や理論など)に着目して捉え、よりよい社会の構築に向けて、課題解決のための選択・判断に資する概念や理論などと関連付けて」

と示されています。

こういった話を元に、具体的にどのような授業を目指していけばいいのかのポイントをいくつか例示させていただきました。

子どもたちが主体的に取り組むためには、天下りの問題では意欲がわきません。自分で解決したいと思ってほしいのですが、それには、リアリティがあり、子どもたちの中から疑問が湧きおこるような課題であることが大切です。そして、子どもたちに疑問を解決する楽しさを味あわせてほしいと思います。「えー?」「あれっ?」「どういうこと?」「あっ!」「わかった!」「そういうことか!」こういう言葉を引き出してほしいのです。
また、問題(課題)を見つける力も必要になります。「何が問題?」「何がわかればいい?」と自身に問いかけることが大切です。何がゴールかを意識させることで問題(課題)が明確になってきます。

どのように学ぶのかという視点では、知識と考えることを明確に区別することが大切になります。知識を「考えよう」といってもそれはナンセンスです。子どもたちに問いかけることは、「考えてわかること」でなければいけません。「答を知っていることに価値があるのではない。答を見つける力に価値があるのだ」ということを子どもたちに伝えてほしいと思います。
社会科はともすると知識の量を求めることがありますが、量ではなく、使うことを大切にし、使うことでその定着を図ることが重要です。
また、課題解決に取り組ませる時に、「解決に必要な知識はあらかじめ与える」のか、「解決する過程で知識を獲得させようとさせる」のか、という2つの方向性を意識してほしいと思います。そうすることで、子どもたちにどのような活動をさせればよいかが明確になります。

アクティブ・ラーニングを意識した時、全員が活躍する授業を目指すことになると思いますが、そのためには最初から正解を求めるのではなく、不完全な説明から出発することが大切になります。言葉足らずの説明をみんなで納得できるようなものにブラッシュアップしていく過程が子どもたちの学びにつながっていくのです。できる子どもには自分の考えではなく、友だちの考えを説明するといった役割を与えるとよいでしょう。
また、自分で答を出せなかった子どもがどうすれば参加できるかを意識してほしいと思います。結論でなく、根拠を共有すれば、「なるほどと思った?」「納得した?」と問いかけることでわからなかった子どもも参加させることができます。「どこでわかった?」と聞き返したり、友だちの説明を「あなたの言葉で説明して?」と問いかけたりすることで、全員参加につなげることができます。

このようなことを具体的な発問と合わせてお話ししました。どなたもとても熱心に聞いたいただけ、とても楽しく話をすることができました。私自身このような機会を得ることで、社会科の授業についていろいろと整理することができました。とてもよい学びをさせていただき感謝です。
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