考えるためには課題や目標が大切

昨日の日記の続きです。

5年生の社会科の授業は、北海道の人々の生活の工夫を考える場面でした。
いったんノートを閉じるように指示し、続いてワークシートを配りながら名前を書くように指示をしました。子どもたちの動きが遅いことが気になります。5年生ですので、もう少し素早く動いてほしいと思いました。
書けたら鉛筆を置いて前を向くように指示します。「○○さんは姿勢がいいです」と固有名詞でほめることができます。その言葉を聞いて姿勢を正す子どもが何人もいますが、授業者はその子どもたちをほめません。それ以上はよい姿勢は広がりませんでした。授業者は全員の姿勢がよくなるのを待たずに、説明を始めました。ちょっともったいない場面でした。すかさず、続いて姿勢を正した子どもたちを何人もほめれば、学級全体に広がったと思います。
前回の復習で沖縄の家の工夫を授業者が確認します。子どもたちが学習したことなので、子どもたちの口から言わせたいところでした。せっかくよい姿勢になったのに、授業者が話し始めると、ワークシートの説明でもないのに子どもたちの顔が下がりはじめます。これでは、何のためによい姿勢を取らせたのかわかりません。子どもたちは個別の指示に従うだけで、そこで本当に求められていることが何かを意識していません。子どもたちに求めていることをきちんと伝えるためにも、顔を上げて聞くことを求めなければいけません。
「北海道は冬の寒さが厳しいということで、お家にどんな工夫をしているか調べてほしい」と課題を提示します。教科書と資料集のどのページに載っているかも指示します。これでは、まさに答探し以外の何物でもありません。考える要素が何もないのです。せっかく写真等の資料があるのですから、自分たちの家と北海道の家を比較させて違いをたくさん見つけさせるといった活動から始めればよかったと思います。その違いの理由を考えることで、北海道と自分たちの住んでいる土地との気候の違いに気づけたと思います。教科書の資料だけでなく一つの家の周り全部の写真を用意すると、エアコンの室外機がないといったことにも気づけるかもしれません。どのような材料があれば子どもたちが考えることができるかを意識してほしいと思います。

もう一人の5年生の担任の授業は理科の観察の場面でした。顕微鏡を使って微生物を調べているところでした。
授業者と子どもたちの関係はよいのでしょう。子どもたちが実験の途中で「先生、先生」と声を上げて呼びます。しかし、そのテンションが高いのが気になります。友だちとも大きな声でしゃべっています。それほど危険のある場面ではありませんが、こういったテンションの癖がつくと、事故が起きやすくなります。
テンション高く動きまわっている子どもがいる一方で、参加していない子どもも目に付きます。授業者は机間指導をしながら個別に指導していますが、活動している子どもにかかわることで手一杯で、そういった子どもはそのままです。全体の状況を把握して、全員が参加できるようにすることが大切です。
子どもたちから「見えたよ」「動いた」「何か変なのがおる」といった報告の声がよく発せられます。授業者は「すごいじゃん」と言葉を返したりしていますが、この観察の目的・目標は何だったのでしょう。微生物が見えればよいのでしょうか。目的や目標が明確になっていないように感じました。
「ペアでできるだけたくさんの微生物を見つけよう」といった目標や、それに続いて「見つけた微生物を仲間分けしよう」といった活動をすると、子どもたちの動きももう少し違ったのではないかと思います。
授業者は「スケッチしようぜ」と個別に声をかけたりしていますが、子どもたちは何か見つけたことに興奮して、歩き回ったりしています。5年生なので、観察とはどういうことかをきちんと意識させておくことが必要です。ただ見るのではなく、特徴をとらえて、それがわかるようにスケッチするといったことをしっかりと押さえておくことが大切です。
言葉づかいも含めて、ちょっと子どもたちとの距離が近すぎるように感じました。それが教室のざわざわした、落ち着かない雰囲気の原因のようにも感じます。子どもとの適切な距離を取ることも意識してほしいと思いました。

この続きは次回の日記で。
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