第3回授業深掘りセミナー(その3)

第3回授業深掘りセミナー(その2)」の続きです。

後藤真一氏の「教育情報知っ得!コーナー」は、「今さら聞けない学習指導要領改訂」と題して、先生方にとって身近な教科書と学習指導要領、中教審との関係についてのお話しでした。

最初に、第1回の「教育情報知っ得!コーナー」で取り上げた「アクティブ・ラーニング」が、「課題の発見・解決に向けた主体的・協同的学び」として、次期学習指導要領の「どのように学ぶか」という「教育の方法・質」に関してのキーワードになっていることを確認した上で、簡単なクイズを出しました。

Q1.現在使われている教科書のもとになった学習指導要領は西暦何年に改訂されたもの?
Q2.アクティブ・ラーニング等に対応した新教科書が小学校で使われるのは西暦何年?
Q3.すべての新教科書が学校で使われるようになるのは、学習指導要領が改訂されてから何年後?

さて、皆さんの反応はどうでしょうか?私の目には意外と戸惑っているように映りました。
中教審の答申、学習指導要領の改訂、教科書の改訂(編集、検定・採択)、学習指導要領の実施といったことの関係と流れが今一つ整理できていないようです。

学習指導要領改訂のもとになるのは中教審の答申ですが、審議から答申が出るまでに2年ほどかかり、それを受けて教科書が1年かけて編集され、検定を受けて修正に1年、さらに採択までに1年かかります。こうして新しい学習要領が小学校で実施され、その1年後に中学校が、さらに1年後に高等学校となりますが、高等学校は年次移行なので都合完全実施に5年かかります。そうこうしている内に次の学習指導要領に向けての中教審の審議が始まってしまうのです。
2020年度に小学校で新指導要領が実施されることを考えて逆算すると、中教審の答申が今年中に出てくれないと、教科書の編集が大変なことになります。中教審も大詰めに入りましたが、文部科学省の中教審のサイトでは配布資料や議事録が公開され、現時点でも多くの情報を得ることができます。公式見解がまとまる前の「生の意見」が読める貴重なサイトとなっています。こういった情報を元に、決まっていない今だからこそ「わたしが教科書をつくるなら?」「わたしのアクティブ・ラーニング?」といったことを考えてほしいとまとめました。

学校現場にいると、日々の仕事に追われ、結論が上から下りてきて初めて「どうしよう?」と考えることが多くなります。学習指導要領がどのように決まって実施されていくのかについて先生方が疎かったのも、こういった現場の実態を象徴しているのだと思います。
「決まる前だからこそ、自分なりの視点で考えてみては?」という後藤氏の提案は、先生方に新鮮なものととらえていただけたようでした。
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