介護の研修で家庭への連絡を考える

2月に行った介護職員への研修で、利用者の様子を家族にどう伝えるかを考えていただきました。

具体的な事例を元に、何をどのように伝えればよいかを考えていただきます。研修に参加される方は、デイサービス、老人ホーム、訪問介護と職場は違いますが、互いに気軽に考えを聞きあえるようになってきました。連絡文をどのように考えて書いたかをしっかりと話し合っていただけました。当たり前のことですが、連絡を受ける家族の気持ちを考えることが大切です。その上で、伝えなければならないことをどう伝えるかを考えます。
例えば認知症のある利用者がトラブルを起こしたとしましょう。トラブルを報告されても、毎度のことに「じゃあ、どうすればいいの?」と叫びたくなったり、「ああまたか」と何も感じないようにしたり、「いったいいつまで続くのだろう?」と、将来に悲観的になったりするのではないでしょうか。いつもトラブルしか報告されていないと、家族の気持ちは暗くなりますし、介護サービスや介護そのものに後ろ向きな気持ちになってしまいます。大切なのは家族が介護に前向きになれることです。そのため、よくわかっている症状については、あまり深く触れことはしない方がよいでしょう。それよりも、「笑顔が見られた」「食事を美味しそうに食べた」といった、ほんの些細なことでもいいので、「よかったこと」「できたこと」を伝えるようにしたいものです。もちろん、今までなかったような症状が出た時は、病状が悪化する兆しかもしれませんので触れないわけにはいきません。介護に携わっている方ならば今後どのようになるかの見通しも持てると思います。しかし、医者ではないので見通しといったことはこちらか伝えてはいけません。状況の客観的な事実だけを伝え、必要に応じてケアマネージャに連絡するようにします。もし、家族の方から相談されても、ケアマネージャを窓口として相談するように伝えます。窓口を一本化していないとトラブルのもとになるからです。

似たようなことは学校現場でも言えます。いろいろと課題のある子どもの保護者は、子どもを少しでもよくしようと努力していますが、必ずしもうまくいくとは限りません。そこへ学校からはネガティブな連絡ばかりが届くと、精神的に追い詰められていきます。学校や担任に悪感情を持ってしまうことにもつながります。意識的に子どものよかったところ、成長したことを伝えるようにすることが大切です。「いいとこみつけ」の発想です。保護者の気持ちを楽にして、学校と一緒になって子どもを育ていこうという気持ちになっていただくことが大切なのです。
トラブルが起こった時に対応の窓口を一本化しておくことが大切なのもおなじですね。

いつものことながら介護の現場で大切なことは、学校現場でも言えることに改めて気づかされました。
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