英語科で学校独自のメソッドができつつある

昨日の日記の続きです。

昨日の日記で、社会科で課題の蓄積が大切だと述べましたが、蓄積という意味では、英語科がこの段階に入ってきました。
1年生の英語の授業は、前回と同じくGDMで教科書の学習内容を身につけるものです。高等学校の内容についてGDMの実践はほとんどありませんから、先生方が協力してその”situation”を毎回つくることになります。今回は事前に考えた内容をGDMの研究会で披露し、参加者の意見を元にブラッシュアップしたものでした。日々の授業でこれをしていくのですから並大抵の苦労ではありません。チームで当たっているので何とか乗り切っているのです。先生方のエネルギーの素は子どもたちの姿です。この日も子どもたちはとても集中して授業に臨んでいました。
子どもたちがペアで練習する時に、言葉をまる覚えしてしゃべろうとしていないことがよくわかる場面がありました。2人とも”situation”を表わした黒板を見ながら言葉を発しているのです。”situation”を表現しようとするので、”situation”を確認することが必要なのです。
この日学習する文法事項は”gerund”(動名詞)です。
2人の子どもを指名して一人の子どもには”A to Z”、もう一人は”Z to A”で”alphabet”を黒板に書かせます。書いている途中で、”I am writing alphabet from A to Z.” ”I am writing alphabet from Z to A.”とこの”situation”を表現させます。この時子どもが、”I am writing on …….”と言いかけました。”on the blackboard”と表現しようとしたのでしょう。授業者が求めていたものではありませんが、”situation”を自分なりに表現しようとしていることがわかります。言葉として英語が使えるようになってきています。続いて、全体で”○○san is writing alphabet from A to Z.” ”△△san is writing alphabet from Z to A.”と確認します。まず” participle”(分詞)を使って表現をしました。
Aから書いた子どもの方が早く書けます。早く書けたことを確認してから、”Writing alphabet from A to Z is easy.”と”gerund”を自然に導入します。続いて、この日使う教科書の文に使われている”difficult”を”Writing alphabet from Z to A is difficult.”という形で導入します。なかなか見事な導入です。もし、”difficult”が初出であれば、”Writing alphabet from Z to A is not easy.”を間にはさんでから、”difficult”を使って言い直せば、自然に意味がわかると思います。
続いて、男の子と女の子がかかれた絵を見せます。一人の男の子は女の子に囲まれています。もう一人の男の子は独りぼっちです。”A boy is among girls.”とこの状況を最初に練習した”among”を使って表現します。”He is happy. He will go home with many chocolates.”と続けた後、今度は、”relatives”(関係詞)を使って表現させます。” A boy who is among girls will go home with many chocolates.” “A boy who is at the desk will go home without any chocolates.”と2人を上手く対比して表現します。全体で練習しますが、うまく言えない子どもが少し目立ちます。授業者はここでペアを使って練習させました。子どもたちは、ペアを組むことですぐに話せるようになります。文法事項がわかっていないのではなく、言葉がスムーズに口から出ていなかっただけだったのです。
“The boy who is at the desk goes out the room. He doesn’t say good-bye.”という”situation”を”gerund”を使って”The boy who is at the desk goes out the room without saying good-bye.”と一文で表現します。”without any chocolates.”を上手く対比させて使うことで自然に”without 〜ing”の形を導入しました。見事でした。
ストーリーはこの後女の子が一人、先ほどの男の子の後を追いかけてチョコレート渡すというハッピーエンドでした。バレンタインデー直前らしい楽しい内容でした。子どもたちに女の子のセリフを考えさせると、”This is for you.” “I made this for you.”と色々な表現をします。自然な英語が身についてきているのを感じます。
英語の歌を聞いて気持ちを切り替えた後、教科書の本文のキーワードを抜いたワークシートを配って埋めさせます。この日学習したことを使うことでできるはずです。解答は”listening”で行います。まわりと確認しながら聞き取ったあと、全員で読みます。一部の子どもの口がしっかりと開いていないことが少し残念でしたが、どの子ども最後まで参加していました。教科書の本文については、「聞く」「読む」がムダなく凝縮されています。訳をしなくても、子どもたちはその意味がわかっているようです。本文の内容を要約することを宿題にして終わりました。子どもたちは、自分できちんとやってこられるようです。
毎回このように”situation”を考えて授業をするのは本当に大変だと思います。授業者はまだ内容をこなすので手一杯で、子どもの様子を見て臨機応変に対応する余裕がありません。それでも子どもがつまずいた時のペアの使い方などは、前回よりも上手くできていました。確実に進歩しています。
この授業を続けていくことは大変でしょうが、継続することで子どもにも先生方にも大きな力がついていくことと思います。来年度は、今年以上に多くの先生方がGDMに挑戦するようです。英語でこの学校のメソッドができつつあるのを感じます。その誕生の瞬間に立ち会えていることに大きな喜びを感じます。

この日、授業研究ではありませんでしたが、高校2年生の習熟度別の下位クラスの英語の発表を見ることができました。名古屋の観光プランを考えてグループで発表するものです。とにかく、子どもたちがメモを読むのではなく、前を向いて一生懸命に話していたことが印象的でした。発表者も聞いている子どもたちもとてもよい表情です。苦手な英語にこのような表情で一生懸命取り組んでいる姿を見られるのはとても素晴らしいことです。このような授業が増えていくことで、子どもたちが学ぶことに前向きになってくれることと期待します。

時間の関係もあり、この日行われた公開授業の検討会の参加者は少数でしたが、授業改善に対して前向きな先生方は確実に増えていると思います。教科の特性などもあり、全く同一歩調という訳にはいかないと思いますが、大きなベクトルを揃えて進めていけたらと思います。
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