愛される学校づくりフォーラム 2016 in東京(午前の部)(その3)

愛される学校づくりフォーラム 2016 in東京(午前の部)(その2)」の続きです。

3番目の公開討論会は「『チーム学校』が機能するには」がテーマです。一宮市立今伊勢中学校事務長の風岡治氏が提案者です。立場によって「チーム学校」という言葉のイメージは異なっています。共通の「チーム学校」像をきちんと持つことが必要です。風岡さんからは、中央教育委審議会総会(第104回)「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」答申案(平成27年12月21日)の「チームとしての学校」像のイメージ図(答申案の14ページ)をもとに、「チーム学校」とは何かについての説明がされ、その上で、課題が提示されました。

そもそも外部スタッフや地域の方を巻き込むといっても、先生方がチームになっていなければ話になりません。このあたりまえのことが学校にとっては課題として突き付けられます。多様な価値観や経験を持った大人と接したり議論したりするという厚みのある経験が先生方には不足しています。現在検討中の新学習指導要領では子どもたちにこれからの時代を生き抜く資質・能力が求められます。一方、先生方は複雑・多様化した課題の解決を迫られるようになってきました。子どもたちと向き合う時間の確保が必要ですが、日本では”Non-Teaching Stuff”が諸外国と比べて圧倒的に少ないことも課題です。このような課題を解決するために、「チーム学校」を機能させる「マネジメントモデル」の構築が必要になります。
専門スタッフが助けるといった発想ではなく、先生方と協働するチーム作りが求められます。共通の目標を持って互いにかかわりながら動くことが大切です。愛知県では四役(校長、教頭、教務主任、校務主任)という言葉がよく使われていますが、そこに事務(長)が入っていないこともおかしなことです。同じ学校を支えるチームとして事務職員も当然その中に入るべきなのです。中央教育審議会の答申では学校内(専門スタッフも含む)を中心とした「チーム学校」が言われていますが、文部科学省は地域も含めた「チーム学校」を意識しているようです。いずれにしても共通の目標に向かって学校にかかわる人たちが「パートナーシップ」をキーワードに、平等な立場で協働することが大切になります。

このような提案を受けて討論が始まります。登壇した会員の中には保護者もいます。先生とは違った立場からの意見は、なかなか厳しいものです。会社はチームになっていなければつぶれてしまう。チームになっていなければ話にならないのです。学校は外部をもっと頼ったらいい。先生方の負担を軽減させたいと思っている方はたくさんいるのです。この意見には、厳しいけれど、学校を応援しようという温かい気持ちが感じられます。こういった地域の方の力をうまく取り込むことができれば学校にとってとても大きな助けになるはずです。
「チーム学校」は決して新しいことではないという意見もありました。これまでも、教頭が地域とのパイプ役として、地域の力を学校に取り込んできています。そういった実践はたくさんあるはずです。しかし、私にはこういった例は、「担当の先生と地域」「学校という大きな塊と外部」の協力といった関係に見えます。「チーム学校」が目指すのは、学校を構成している職員や専門スタッフ、そして地域などの外部の方々、その一人ひとりがチームの一員として同じ目標に向かって協働することだと思います。互いの顔が見える関係であってほしいのです。以前地域の協力者の方が、学校で先生とすれ違っても形式的な挨拶しかされないことを嘆いておられたのを思い出します。子どもたちを育てる仲間として認知されていなかったのです。

フォーラムに参加された方には、「チーム学校」が機能するために大切なことは何かを考えるよいきっかけになったと思います。今回のフォーラムには若い先生や学生もたくさん参加いただいています。「チーム学校」は管理職が考えることで自分とはあまり関係がない、そう思っていたかもしれません。しかし、今回の討論会を通じて、決してそうではなく、学校を支えるチームの一員として考えるべきことはたくさんあることに気づいてくれたと思います。もちろん私にとっても学びの多いものでした。

最後の公開討論会は、「愛される学校づくりフォーラム 2016 in東京(午前の部)(その4)」で。
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