概念や数学的なものの見方・考え方を大切にしたい

前回の日記の続きです。

2年生の算数は、2の段のかけ算の授業でした。
子どもたちはコの字型に机を並べて、授業を受けています。授業者は子どもたちのノートを見ようと机間指導をしますが、コの字型で机がくっついているので中に入りにくくなります。また内側の列の子どもを見るのに机の前から見ることになりますから、どうしても死角が大きくなります。コの字型は子ども同士がかかわり合うことや、授業者が全体の様子を把握するのに向いていますが、机間指導をしながら個別指導をするのには向かない隊形です。隊形に応じた指導、または指導に応じた隊形を意識することが必要です。

問題演習の答え合わせを、○をつける人と式を書く人、答を書く人に分けて指名します。できるだけたくさんの子どもを活躍させたいのでしょう。○をつける人は、この問題で大切になる言葉や数字に○をつけるというものです。文章題を解くのにこういったやり方する方も多いのですが、なぜそこに○をつけるのかという根拠がはっきりしません。定型の問題を解くためにしか使えない方法です。文章に書かれた状況を理解し、その状況を抽象化していく過程が大切です。また、式を書く人と答を書く人が違うというのは子ども同士がうまくつながらない可能性があります。式を書いた人の考えを説明するといったかかわり方に変えるとよいでしょう。
式を書いた子どもがその説明をします。授業者は5個ずつがいくつ分かを問い返します。子どもたちはもうずいぶん練習をして、すぐにかけ算だとわかるのかもしれませんが、まだ定着していない子どももいるかもしれません。まず、文章が表わす状況を図などで半抽象化し、それを元にかけ算の式になることを理解させるといった活動も視野に入れるとよいでしょう。

子どもたちを起立させて、5の段の九九の練習をします。黒板に5の段の九九が提示されています。大きな声が出ているのですが、口の開かない子どもも目につきます。自信のある子どもには後ろを向かせて、繰り返します。全体で声が出ているのですが、後ろを向いている子どもが必ずしもきちんとできているわけではありません。しかし、口は見えないので誰ができていて誰ができていないのかはわかりません。全体練習は、声ではなく全員の口の開き方を見ることが大切です。後ろを向く代わりに目を閉じるように指示するという方法もあります。口の開き方、目を開くかで定着度がわかります。
授業者は、全体に対して拍手しながら「素晴らしい」とほめますが、子どもたちはあまりうれしそうにしませんでした。全体でほめられても自分がほめられたと思わなくなっているのかもしれません。

2人乗りのゴーカートを使って2の段のかけ算を学習します。まず1台に2人乗せて「何人ですか?」と問いかけます。「2×1は」と子どもたちが挙手をしている時に言葉を足します。図や数図ブロックを使えば答はすぐにわかります。何人乗っているかの答ではなく、この答を出す式が2×1の掛け算として表わせることを理解することが大切です。指名した子どもは「2×1は2です」と答えます。これは式です。細かいことかもしれませんが、授業者は「何人ですか?」と問いかけています。式に続いて、「だから2人です」まで答えさせたいところでした。
式が2×1で表わせることの確認はせずに、1台から4台までを考えるように指示します。かけ算の答がいくつになるかが学習の中心になっています。九九を覚えることがゴールなのですが、扱っている事象がかけ算になることをしっかりと押さえることが必要です。今はかけ算の学習だから迷わずにやれますが、求めるものが何算を使えばよいのかに気づくことはそれほど簡単なことではありません。かけ算とはどのようなものかを理解させることをもう少していねいにやりたいところです。

授業者はゴーカートが2台になったら数図ブロックをどう置くかと問いかけて、作業させます。大切なことは、2の固まりで扱うことや2ずつ増えることです。しかし、すぐにいくつになったか答を聞きます。これでは、かけ算の概念とブロック操作が結びつきません。
子どもたちは挙手をしますが、手を挙げない子どもも目立ちます。わからないのか、答えたくないのか、どちらなのか気になりました。授業者はコの字の奥の方に行って気になる子どもに「ゴーカート2台、2台」と声をかけますが、死角が大きくなります。コの字型はこの授業者のスタイルにはあっていないように思いました。
いくつになるかではなく、まずブロックがどのようになるかを全体で共有することが大切です。ただ並べるのではなく2つの固まりを意識して並べさせることとでかけ算の概念を理解させるのです。かけ算とブロックの関係がきちんと理解できれば、答はすぐにわかります。その上で、掛ける数が変化する時、答がどのように変化するのかをブロックをもとに気づかせるのです。

4台までの答を確認した後、「何か気づいたこと」と気づいたことを書かせます。その前に、「1台に何人?」「いつでも?」「2台になると2人がいくつ?」「3台になると?」といったやり取りをしておくとよいでしょう。
子どもから「2ずつ増える」といった考えが出てくれば、「何が増えれば?」といったことも問い返すとよいでしょう。こういった場面で関数的な視点を育てることも大切になります。

九九を覚えることはこれからの計算の基本となる大切なことです。しかし、単に覚えさせるのであれば、暗唱の時間をたくさん取ればよいのです。そうではなく、こういった九九の答を考える場面をつくるのは、その作業を通じてかけ算とはどういうものかを子どもたちに具体的に理解させることや数学的なものの見方・考え方を身につけさせるためです。このことを意識して授業を組み立ててほしいと思います。

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