授業深掘りセミナーのご案内

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授業深掘りセミナーの申し込みが始まっています。

今年度より、模擬授業の1つを授業の基礎技術を意識したものにしています。若手の先生や教員を目指す学生に役立つだけでなく、ベテランにとっては日ごろの授業を見直すきっかけになり、若手を指導する立場の先生にとっては指導のポイントが見えてくるようなものになると思います。また、全体での模擬授業の深掘りの他に、参加者がより主体的に学べることを願って、参加者同士がグループになり、講師や授業と学び研究所のフェローとともに授業を振り返る時間も設けます。今まで以上に、多くの先生方の学びに役立つものになることと思います。

そして、より多くの皆様が参加しやすいように、次のような割引料金が設定されました。

※リピーター割引料金:2000円(以前に参加いただいた方)
※紹介割引料金:2000円(リピーターまたは講師・研究所フェローの紹介で初めて参加される方)
※学生割引料金:1000円(小中学校の教員を目指す大学(院)生)

皆さんの参加をお待ちしています。

企業の研修で新人の成長を見る

4月に企業の新人研修で元校長先生3人と一緒に講師を1週間務めさせていただきました。社会人経験のある方(いわゆる第2新卒)も含む、総勢12人でした。

研修の前半は仕事をするための基礎となる知識面の講義が中心です。講師の方は授業技術に長けた方ばかりです。講義と言っても一方的なものではなく、切り返しで考えを深める場面や、互いに意見を聞きあったり考えを発表したりといったかかわり合う場面が随所にあります。
しかし、まだ互いの人間関係ができていないからでしょう。グループ活動の場面で、特定の者がしゃべり続けたり、ペアではしっかり意見を言えていた者が口を開かなくなったりといったことが見受けられました。そこで、研修の様子を見ながらプログラムごとグループのメンバーを意図的に入れ替えました。
最初のころは相性があるように見えても、次第に人間関係ができてくると誰とでも意見を交換できるようになっていきます。慣れもあるのでしょうが、組み合わせをいろいろと変えることでかかわり方を学んでいるようにも見えました。このことは、学校でも同じだと思います。私たちはこの子とこの子は相性が悪いから離そうといったことを考えたりしますが、多様な友だちとかかわることで子どもたちは成長していきます。経験を積むことで、再び同じグループになった時にかかわれるようになっていることもよくあります。相性が悪いと決めつけるのではなく、そういった友だちも含め他者とかかわり合う機会をたくさんつくることが子どもたちの成長にとって重要な要素だと思います。

後半は、課題解決の研修が中心です。今年度は新人にとってかなり難易度の高い課題を与えましたが、なかなか見事にこなしてくれました。
各グループのチームワークがよくなったことも上手くいった要因ですが、3つのグループが互いの中間発表や取り組みの様子から学び合えていたことが大きいと思いました。12人それぞれの持っているよさがよい形で課題解決に生かされていたと思います。
今回の研修がすぐに実践に役立つかどうかはわかりません。しかし、他者から学ぶことのよさ、大切さを知っていることはどのような仕事でも基礎となる大切なことです。そして何より、同期という素晴らしい財産をこの研修期間で得たことが大きな成果だと思います。これからの社会人生活で苦しむこと、悩むことがあるはずです。その時身近で相談できる同期の存在がきっと助けになることと思います。

彼らが社会人としてこれからどのように成長していくのかとても楽しみです。少し遠くからですが、彼らの成長を見守っていきたいと思います。

第6回教育と笑いの会申し込み開始

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今年も東京で教育と笑いの会を開催することになりました。

●期 日
平成29年7月22日(土)

●時 間
13時00分〜16時20分 (受付開始 12時30分)

●場 所
新宿永谷ホール
東京都新宿区歌舞伎町2丁目45-5
※JR山手線 新宿駅 徒歩7分/西武新宿線 西武新宿駅北口 徒歩1分/都営地下鉄大江戸線 新宿西口駅東口 徒歩5分

●参加費
3,000円

●定 員
100名 ※定員になり次第締め切らせていただきます。

●主 催
教育と笑いの会/授業と学び研究所

●協 賛
EDUCOM

●申込み
7月7日締切
詳しくはこちらから

今回は保護者の斎藤早苗さんとコンビを組んで漫才に初挑戦することになりました。今からプレッシャーに押しつぶされそうです。
今後、プロデューサーの玉置先生からの猛特訓が予想されます。
特訓に耐えきれたかは、是非当日会場で確かめていただければと思います。

子どもが活躍することを意識してほしい

先週、私立の中学高等学校で授業アドバイスを行ってきました。
この日は、新しく来られた方の授業を中心に学校全体の様子を見せていただきました。

高校1年生の現代社会は株式会社の学習の場面でした。
授業者は表情よく話をしていますが、どうしてもしゃべりすぎるようです。子どもたちはワークシートの答を写すことにエネルギーを使っていますが、資料を調べる場面などでは積極的に活動しますし、自然にかかわり合う姿も見られます。こういった活動を活かし、子どもたちの発言場面をもっと増やすとよいでしょう。授業者にどのような授業をしたいかをたずねたところ、自分が生徒の時に受けた授業のように、先生が一方的に説明して終わるようなものではなく、子どもたち自身が活躍するようなものにしたいということでした。とても、よい授業観だと思います。ただ、実際の授業とその思いがずれているのが残念です。子どもたちが自分で考えて活動するような課題を考えることが必要になります。
例えば株式会社の学習であれば、「売れそうな商品やサービスのアイデアを考えたけれどつくるのにたくさんのお金がいる。あなたならどうする?」といった問いかけから、会社形態や資金調達について考えさせてもよいでしょう。最近よく耳にするようになったネットファンディングなどを題材にして、株式の仕組などを調べさせるというのも面白いと思います。
授業に対する方向性は間違っていないので、子どもたちが活躍するためにいろいろな工夫をしてほしいと思います。この学校では、子どもが活躍する授業を色々な方が実践されています。こういった授業を参観して参考にするようにアドバイスしました。

高校2年生の英語は子どもたちが自分で文章を考え英語で発表をする授業でした。
子どもたちが発表文をつくっている時に、集中していないことが気になりました。課題が自分のものになっていないように見えます。どうやって文をつくればよいのかといったことがよくわかっていないように見えます。また、この課題の目標や評価基準がはっきりと子どもたちに伝わっていないために、つくった文をどうやってブラッシュアップすればよいのかがわからず、書き終わったあと手の動かない子どもが多いようです。
途中で授業者が”Picture Card”を見せて説明をしますが、授業者が一方的にしゃべっているだけで子どもたちの顔が上がりません。この課題に対する意欲が教室から感じられませんでした。
指名された子どもが起立しても子どもたちはほとんど反応しません。前に出て発表をするのですが、発表者は手元の原稿を読み、一方聞いている子どもたちはほとんど顔が上がりませんし、メモを取る姿も見られません。決して子どもたちの関係が悪いわけではないと思います。発表者側、聞く側双方の目標が明確になっていないのです。発表後拍手は起こりますが、発表に対する評価や価値付けの場面は全くありません。2人目の発表の時には拍手もほとんど起きませんでした。
また、発表の時の授業者の視線も気になりました。視線が定まらないのです。発表者を評価しようと見ているわけでもなく、子どもたちの聞いている様子を見るでもなく、ゆらゆらしているのです。
こういったことから、授業者と子どもたちのコミュニケーションがうまく取れていないように感じます。課題は何か、具体的にどうなればよいのかといったことをきちんと子どもたち伝える必要があります。何をやればよいのかわからなければ子どもたちの意欲も高まらないのです。本人としては伝えているつもりでも、一方的にしゃべるだけでは伝わりません。課題の目的、目標を明確にし、子どもたち伝えるには何が必要かをきちんと意識してほしいと思います。

高校2年生の数学は相加平均と相乗平均の関係の授業でした。
2数の相加平均≧相乗平均の証明を授業者がしています。授業者を見ずに板書を写している者、話を聞かずに下を向いたりよそ見をしたりしている者と、子どもたちの姿勢が定まらないのが気になります。子どもたちはただ授業者の示す結果を受け入れるだけで、どのような視点で考えるのか、この不等式がどのような意味を持っているのかといったことを考える場面がありません。この証明を通じてどのような数学的な見方・考え方を子どもたちに身につけさせるのかを明確にして授業に臨む必要があります。
不等式の証明という視点では、今までどのようなやり方で証明をしたのか、どんな数や式の性質を使ったのかを子どもたちに問いかけ、考えさせることが必要です。「差が≧0を証明する」「( )2≧0」といったことをまず子どもたちから出させる必要があります。√の扱いも2乗すると消えること、両辺が正ならば2乗しても大小関係の同値性が保たれることを使うのか、a≧0ならばa=(√a)2を使うのかといった選択肢があります。教科書がどのやり方で証明しているのかは別にして、こういった視点で子どもたちに見通しを持たせ、自分がこれだと思う方法で証明に挑戦して共有するといったことが必要です。
また、2数が正である条件が証明の中できちんと押さえられていないことも問題です。授業者はa=(√a)2、√(ab)=√a√bを使って証明しましたが、2数が正であるからこのことが成り立つことには触れられていません。これでは数学的には不完全ですし、条件の持つ意味がわかりません。また証明を始めるにあたって、2数が負であればどうか、異符号であればどうかといったことも問いかけ、2数が正の場合に意味のある議論であることにも気づかせたいところです。
相加平均≧相乗平均の意味を考えるということでは、周囲の長さの和が一定の長方形において面積が最大になるのは正方形であることを表わしていることに気づかせ、そこから証明を考えさせるといったこともできます。正方形の一辺の長さをaとした時に周囲の長さが一定の長方形の2辺はa+b、a−bと表わせることを使うのです。平均の持つ意味を見つけることもできます。また、「面積ではなく体積で考えるとどんなことが言えそう?」と問いかけることで一般化できそうなことにも気づけると思います。
教材一つからでも多様な数学的な見方・考え方を学ぶことができます。すべてをやれというのではありません。授業者が何を学ばせたいのかを意識して授業を組み立ててほしいのです。
こういったことを授業者には伝えました。今後授業にどのような変化が起きるのか楽しみです。

この日は、高校2年生と高校1年生の様子を中心に参観しました。
2年生は昨年に引き続きよい状態でしたが、新年度を迎えたという緊張感があまり感じられませんでした。先生方も子どもたちの状態がよいので新たに何か求めているというようには見えませんでした。子どもたちのポテンシャルはもっと高いはずです。次のステップを意識して、子どもたちにより成長を求めてほしいと思います。
1年生は年々意欲的な子どもたちが入学しているように感じます。学校への期待、授業への期待も大きいように見えます。オリエンテーション合宿を終えて、人間関係もよい状態になっています。子どもたちはかかわり合うことができるのですが、そういった場面つくることを意識していない先生方も目につきました。今は意欲が高いので、子どもたちは受け身でも授業に集中しますが、期待外れだと感じると意欲が落ちる危険性もあります。このよい状態を維持するためにも、子どもが活動し、活躍する場面を大切にしてほしいと思います。

この日は、中学校に今年度予定されているタブレットPCの導入について相談を受けました。担当の先生は、いきなり高いレベルを求めるのではなく、現実的に活用できることを意識されていました。オタク的な夢物語ではなく、一歩ずつ手の届く範囲から進めていこうという姿勢はとても素晴らしいと思いました。今後、色々な形でサポートをさせていただくことになりますが、どのようなものになっていくのか、私自身もとても楽しみにしています。
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