寝ている子どもへの対応を考える

授業中に子どもが机にふせって寝ていることがあります。中学校では時々目にする光景です。その時の教師の対応はまちまちです。みんなの前で注意して起こす。その時、「朝ですよ〜」などと笑いを取って、あまり気まずい思いをさせないように気を使う方もいます。机間指導の時にそっと肩をたたいて起こす。その時、「体調が悪いの?」と優しく聞く方もいます。中には、何も声をかけずに無視をする方もいます。
起こされた子どもは、ほとんどの場合そのまま授業に参加し続けます。しかし、中にはまたすぐに寝てしまう子どももいます。そのような場合、単に眠たくて寝ていたのではないでしょう。授業がわからない、やる気がないといった別の要因があるはずです。起こせばよいわけではありません。教師が声をかけないのは、その子には声をかけても無駄だと思っているのかもしれません。どうするのがよいのでしょうか。

教師ではなくまわりの子どもに声をかけてもらうのが一つの方法です。「起こしてあげて」と優しく頼み、子どもが起きれば「顔上げてくれて、ありがとう」「起こしてもらえてよかったね」と笑顔で声をかけ、起こしてくれた子どもにも「ありがとう」と一声かけておきます。叱ることなく、子ども同士の関係をつくることにもつながりますので、どの子どもに対しても有効な方法です。友だちがかかわることで、やる気のない子どもも参加しようという気持ちになってくれます。とはいえ、またすぐに寝てしまうこともよくあります。そういう子どもの場合、その時間だけで解決することはできません。時間をかけて、他の子どもとかかわりながらわかる経験を積むことや、自分の居場所があることに気づかせることが大切です。
子ども同士のかかわりをつくるのにはグループ活動が有効です。グループの形をつくるためには机の移動が必要です。机の移動は参加につながります。友だちから、「○○さんはどう思う」と聞かれることで、たとえわからなくても友だちとのかかわりが生まれます。誰でも意見が言えるような課題であれば、答えてくれるかもしれません。「○○さんはそう考えたんだ」と受け止めてもらえれば、自分の居場所ができたように感じます。聞き合うといった、どの子どもにも声がかけられるような活動が子どもの関係をつくり、発言を認めてもらうことが居場所をつくることにつながります。

ある学校では、「授業中に寝ている子どもをなくす」を目標にしていました。レベルの低い目標ですが」と謙遜されていましたが、決してそうではありません。先生方はただ起こすだけではダメなことをよく知っていました。子どもたちの関係をつくり、居場所をつくることに学校全体で取り組まれました。もちろん今では、そんなことがあったことに誰も気づかないような学校になっています。
寝ている子どもへの対応とその反応から、教師と子どもの関係、子ども同士の関係といった学校の現実が見えてきます。子どもたちが「寝てるなんてもったいない」と思うような教室であってほしいと思います。

作業中に集中力を切らさないために

学級によって、子どもたちに作業をさせているときの集中力の違いがあります。課題の内容や学級の特性だけでなく、教師がその時どのようにしているかが大きく影響しています。

子どもが課題に取り組めていることを確認した後、教師が教卓で次の準備をしていたりするとどうでしょう。子どもの集中力が一時的に切れることはよくあります。顔を上げてまわりを見たときに、教師が他のことをしていて自分を見ていないことに気づくと、この状況を追認されたように感じ、しばらく集中力は戻りません。次に集中力を切らした子どもは、他の子どもも集中力を失くしていることに気づき、安心して息を抜きます。集中力を切らす子どもが次第に増え、学級全体の集中力が落ちてくるのです。

では、机間指導をしている場合はどうでしょうか。子どもたちのそばにて、よい意味でプレッシャーをかけているのですから集中力は持続されるように思います。しかし、机間指導のやり方が問題です。子どもたちの手元を見ながら漫然と移動しているのでは(俗にいう「机間散歩」)、先ほどの例と状況はあまり変わりません。教師のいる位置から離れている子どもには、プレッシャーはかかりません。集中力が切れたとき、子どもが顔を上げても教師の姿は目に入りませんし、その子どもに教師も気づきません。
集中力が切れている子ども、困っている子どもに対してその場で指導すればよいのでしょうか。教師が1か所に留まってミニ授業を始めてしまえば、どうしてもその子どもに集中してしまいます。他の子どもは目に入りません。また、わからなくて集中力を失くしている子どもは、教師が他の子どもを教えているのを見ると、自分も教えてもらうことを期待して自分のところに来るのを待ってしまいます。すぐに教師が気づいてくれればいいのですが、そうでないとおとなしく待っていることができなくなり、ごそごそしてしまいます。
机間指導は教師の死角を増やします。意識しないと全体の様子を把握することはできません。

大切なのは、机間指導をする、しないにかかわらず、全員をしっかりと見守ることです。集中力を切らした子どもがいれば、目で問いかけます。教師が見守ってくれることがわかれば、また課題に取り組みます。もし困っているようであれば、その子どもに対して友だちに聞くように指導したりします。この時、指導にあまり時間をかけないようにします。常に子どもたち全員を見守ることを意識します。このことを意識している教師は、机間指導で子どもの手元を見ていても、次の子どもへ移動する際に必ず死角をつくらないように全体を見回しています。個別に指導していても時々顔を上げて全体を見ています。

子どもたちは、自分が教師に見守られていることを感じることで安心して過ごすことができます。このことが子どもたちの集中力を持続させるのに大切です。子どもが作業に集中しているように見えても、気を許さず、全員を見守ることを意識してほしいと思います。
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