日記のススメ
まずは詩をひとつ紹介します。

鉄筆のうた　深沢 義旻
　ものをかくことへの抵抗は
　 自分をさらけ出さなければならないところからくる。
　ものをかくことのくるしさは
　 自分をごまかすことのできないところからくる。
　ものをかくことのつらさは、
　 自分の思考をまとめることの未熟さを思い知らされるとこからくる。
　だが、人間が人間であることの尊敬を失わないためには、
こうしたことに耐えなければならない。
　人間は、自らの意志で、自分を昨日とちがった人間につくりかえていく努力を、
　　　　 死ぬまで続けていかなくてはならない。

　コミュニケーション能力を高めるためには、インプット（情報の入力）とアウトプット（情報の発信）意識的に行うことが大切です。アウトプットの中でも、書くことは思考力や表現力を高める上で極めて重要だとされています。書くことを鍛える良い方法として日記をお薦めします。私も、肌身離さずもっている手帳に毎日日記を綴っています。手帳ですから、２００字程度、原稿用紙ならば半分程度の文章です。
　書く内容については、自分がしたことや出来事ではなく、１日の中のある場面で自分が感じたことや考えたことを率直に書きます。誰かが見たり、読んだりすることはありません。自分だけの記録として書き付けていくのです。
　例えば、私の日記には、雑誌の中にあった心に残る言葉や読んだ本の感想、自分が挑戦したいことや頑張りたいこと、体重や体脂肪率、買物の記録などが雑然と書き記されています。この日記を初めて４年目になりますが、古い手帳を読み返してみると、自分の考え方や価値観の変化やその時々の自分の心の状態などが分かり、自分の歴史を書き残したような気持になります。また、１日の終わりに毎日これを書くことで、その日を振り返りながら、明日への希望や期待、目標をもつこともできます。
臨時休業が延長され、生徒諸君は各家庭で主体性をもって生活することになります。自分を振り返りながら、創造性を高める活動や学習を自分で見出すためにも、ぜひこの日記に取り組んでみて下さい。校長先生、日記始めましたよ！と語ってくれる君たちを楽しみに待っています。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　４月７日　　勝　村　偉公朗