最新更新日:2024/04/26
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令和6年度が始まりました。1年間どうぞよろしくお願いいたします。

ちょっといい話 9月2日(金)

泣ける話ちゃんねる

 負けんなよ

 僕は小さい頃に両親に捨てられて、いろいろな所を転々として生きてきた。小さい頃には「施設の子」とか「いつも同じ服を着た乞食」とかいろんな事言われた。たまに同級生の子と遊んでいて「○○君の家に行こう。」となっても、僕が遊びに行くとそこの家のお母さんが「○○君と遊んではいけないって言ったでしょ。」と子どもを叱ってる声が聞こえ、僕を汚い物を見るような目で「○○は今日遊べないの。」というようなことが日常茶飯時でした。僕は弱い人間なので、そんな事が重なるうちに独りでいる事が1番傷つかず、1番楽なのだと思いました。けど、僕にも言いたい事は一杯あった。汚い服、同じ服着ていても僕は、人の物を盗ったり、傷つけたりはしてない。両親はいないけど、僕にはどうする事もできないんだよ。僕だっておとうさん、おかあさんが欲しいんだよ。僕はなるべく人と接しないように生きてきた。自分の心を守る為にそうせざるを得なかった。独りで生きていく、誰にも迷惑をかけずに……。高校に進学した時だった。朝学校につくと僕の机に「死ね」、「乞食」、「貧乏神」、「親無し」等あらゆる悪口が書かれていた。僕は目の前が暗くなった。僕が何かしたのか、僕が何か……。ただ立ち尽くすのみだった。その時僕の目の前から机が無くなった。クラスでも人気者のYが僕の机を抱え上げていた。僕は机で殴られるのかと思い、目を閉じた。「行くぞ!」とYがぶっきらぼうに言い、廊下に出て行く。僕は後に従った。Yは技術室に行き、紙やすりで僕の机の落書きを消し始めた。Yはただ一言だけ「つまんない事に負けんなよ。」と言い、黙々と紙やすりで落書きを消している。「放課後もう1回ここでニス塗ろうぜ。そしたら元通りだ。」と言ってにっこり笑ったYを見て僕は泣いた。Yは照れ笑いをしていた。
 Yは6月に結婚する。おめでとう。君がいなかったら今の僕はいない。恥ずかしくて面と向かっては言えないけど、幸せになって欲しい。そしてこれからも親友でいて欲しい。今まで本当にありがとう。
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